表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/78

襲撃と襲撃

「せいっ!」


 大学から一度帰宅して準備を整えて、ダンジョン庁にて合流した(あおい)先輩とダンジョンへと潜り、ただ今十九階層。

 ()()()()遭遇した十数匹のダンジョンバットの群れを相手取る最中、ふと戦斧を振るう葵先輩の方に目がいってしまう。


 淀みなく、遊びのない戦斧捌きで、的確にダンジョンバットを撃破していく葵先輩。

 こうして戦いを見ていると、葵先輩と青柳トワはやっぱり少し違うなと思わざるを得ない。


 基本的な戦斧の振り方こそほとんど同じだけど、たまに出る声や戦闘スタイルは配信中と随分異なっている。

振るう得物が愛用の夜魔斧(ノエル)ですらない、飾りのない、魅せを重視しない堅実な戦い方。今日が技の練習を目的としていないのもあるが、はっきり言って配信映えのしない淡々とした戦闘だ。


 まあでも当たり前だよな。

 青柳トワが普段見せるような、フィクションの中から飛び出してきたみたいなロマン溢れる魅せプが常なわけがない。むしろこういう堅実な戦い方こそ、彼女の本質だとさえ思えてしまう。

 それこそホムラやびっくりハンマーなどの一級探索者のように、ああいう存在からファンタジーな生けるフィクションなどそうはいない。もちろん葵先輩もだって見劣りしない……おっと危ない、余計な思考はなし。こっちもとっとと片付けないと。


 特に時を止める危機もなく、迫るダンジョンバットの数匹を危なげなく処理し、小さく息を吐いてから剣を収める。

 あちらがどうかと目を向ければ、流石というべきか葵先輩はとっくに戦闘は終了させており、地面に落ちた魔動石を拾い終えようとしている。


 まったく敵わないな。こういうの見てると、本当に二級になれるのか不安になってくるよ。

 

「お疲れ様でした。以前に比べて、大分余裕が出てきましたね」

「ありがとうございます。先輩にそう言ってもらえるなら、試験に向けての自信になりますよ」


「それにしても、今日は不思議なほどダンジョン生物が少ないですね。今のが上層に入ってから初めての遭遇なんて、流石に少なすぎる気がします」


 葵先輩のどこか浮かない声色での疑問に、俺も「そうですね」と同意を返しながら悩んでしまう。


 上層に入って結構な時間経つというのに、今のダンジョンバットが今日初めての戦闘だった。

 本来ならばこんなことはありえない。上層だって死者出るくらいにはダンジョン生物が出る場所、狩るのにすら困るなんてこと初めての経験だ。


 そもそも今日は元々十九階層まで潜る気はなく、調整のつもりで比較的浅い場所で軽く狩って時間を潰したりする予定だった。

 だというのに、何故かダンジョン生物の影も形も気配もなく。間の悪いことに採掘用の装備は持ってきていなかったので、何とか収入を得るべく進んできたらこんな所まで来てしまったというわけだ。


「時田くん、今日は切り上げませんか? 曖昧なんですが、嫌な予感がするんです」

「……そうですね。周囲に気配がないですし、これ以上いても儲けにならなさそうです」


 もちろん二級試験への条件、千五百時間を満たすのならこのまま居座っていた方が絶対にいい。

 敵が出ないのならむしろ好都合。最悪ピクニックしてたって時間を加算出来るのだから、そこら辺に座って葵先輩と雑談でもしていた方が遙かにお得ではある。


 まあでも、今日はちょっとそんな気分にはなれそうにない。

 今日のダンジョンの様子がおかしいのは事実だし、何より二級探索者様がそう言うんだ。ここは素直に従っておくのが明日も健常に過ごす秘訣ってもんだ。


「すみません。俺が中層まで行けたら、普通に狩れたかもしれないのに」

「い、いいんですよ! 一緒にダンジョンに潜れるんですから、むしろ嬉しいのはわたしの方……な、何でもないです! 忘れてください!」

 

 帰路に就きながら稼ぎの邪魔にしかなっていないことを詫びると、葵先輩はあわあわと両手を振りながら否定するも、ほとんど最後まで言い終えてから顔を真っ赤にしながら更に慌てて否定してくる。

  

 最近の先輩の言葉や仕草のほとんどに、どうにも俺の心が揺さぶられて仕方ない。

 まるで漫画やアニメで見るような、脈ありのヒロインのような態度。自意識過剰なだけなのだろうが、それでもすごくドギマギしてしまい、めっちゃ気合いで取り繕っている俺がいる。


 でもでもだって、だって仕方ないじゃん。

 だって葵先輩は同じ大学の先輩なのに可愛くて、かつて数日だけだが同居さえしたことあって、あまつさえ頬でもキッスされたことのある女性だぞ? 

 そんなん、ホモでもなければ意識しないわけがないだろうが。というかホモでもしなきゃおかしいね、心に竿持ってる限り間違いなく()っちゃうね。ふんだっ。


「あ、あのあの! この後なんですけど! せっかくなので、一緒にご飯でもどうですか……?」

「あー、あー……すみません。非常に、ひっじょーに魅力的なお誘いなんですけど、今月もう余裕がなくて。外食はちょっと難しいです」


 せっかく先輩が誘ってくれたというのに、心の底から惜しがりながらも断らざるを得ない自分が憎くて憎くて仕方がないが、憤った所で財布の中身が増えてくれるわけでもない。

 安定の貧困。今日も帰ったら余ってるパスタを茹でて、家にある調味料で適当に味付けて食べるだけ。添えるおかずは特になしで飲み物は水道水、そしてシャワーは一日五分。


 何と味気ない、とても人生最後の青春たる大学生とは思えない色なしの生活だこと。

 それもこれも、全部この前ノートパソコンがぶっ壊れてしまったせいで買い換えざるを得なかったせいだ。……いやまあ正確に言えば、酔って帰った俺が寝落ちしてコーラ零してやらかしたのが原因だからどうしようもないんだけどさ。


「な、なら奢らせてください! お金なら、わたし余裕があるので!」

「ははっ、そういうわけにはいかないですって。またお金貯まったらこっちから誘わせてください」


 人として正しい選択をしたはずなのに、どうしようもない罪悪感に胸を締め付けられてしまう。

 こういうときの相手が火村(ひむら)さんだったら遠慮なく集れるんだけど、葵先輩にそうするわけにはいかないからなぁ。


「…………しゅん」

「……あーでも考えたんですけど、さっきの魔動石分があれば軽く食べるくらいなら平気そうなんで行きません?」

「っ!! で、でも、わたしに気を遣わなくてもいいんですよ……?」

「大丈夫ですって。家にはへそくりもありますし、現代社会で本当に食えなくなることなんて稀ですから。それに、俺も先輩とご飯行きたいですから」


 隣でしゅんと、餌を貰えなかった小動物みたいに落ち込んでしまう葵先輩。

 そんな哀愁漂う姿に、どうしたものかと頭を抱えること数秒。

 ついに根負けした俺は、首に手を当てながら先ほどの言葉を訂正すると、先輩は先ほどまでの失意に満ちた様子から満面の笑みへと変わってくれる。


 ま、最近パスタばっかりで飽き飽きしていたからな。ここらでぱーっとやるのも一興だろうよ。

 ちなみにへそくりなんてものはない。今日ちょっと奮発するとして、ダンジョンに潜れず家のパスタを食べきったらその後は雑草取って素揚げする日常に突入だ。ある意味健康的かもね。


「そうと決まれば、とっととダンジョンから出ちゃいましょう。ところで、何食べたいです?」

「え、えーっと! あの、そうだ! 最近美味しそうなイタリアン見つけたんです! 今からでも予約取れるかなぁ……?」 


 彼女は閃いたとばかりにスマホと睨めっこし出す様を微笑ましく見つめながら、俺もまたイタリアンという単語に思いを馳せてしまう。

 

 イタリアンかぁ。しっかりと味の付いたパスタとトロットロのチーズが乗ったピッツァ……へへへっ、想像しただけでも幸せで口内に涎が溜まっちゃう。

 それにワインも嫌いじゃない。ブルスケッタにリゾット、デザートには濃厚なティラミス……うーん、金ないってのにいくら使う気なんだこの貧乏人めが。


 恐らく想像した中の一皿、もしくは二皿でも食べられれば御の字だろうが。

 それでも久しぶりすぎるまともな食事だろうと胸を弾ませながら、互いに少し歩の大きくなった足でダンジョンを歩き、件の事件があった十六階層を抜けようとしていた。


「やあやあお嬢さん。ちょっと訊きたいことがあるんだが、構わないかな?」


 そのときだった。燕尾服を着た笑顔の美男子が、気障ったらしい声色で話しかけてきたのは。


「え、えと、えっと……!」

「ふふ、そんなにたじろがないでくれ。可愛いお嬢さん?」

「か、かわっ……!?」


 やはり褒められ慣れていないのか、頬を赤くして、しどろもどろになってしまう葵先輩。


 整った中性的な顔つきに染み一つない肌は、男というよりかは男装の麗人というやつに近く感じる。

 コスプレしてダンジョンに潜ってる女性を最推しにしてる俺が言うのもあれだが、とてもダンジョンで着るような服とは呼べない風貌の人だった。

 

 まあ恐らくだが、この人もダンジョン配信者(ライバー)なのだろう。

 少しでも数字を上げるために、コスプレイヤーみたいな恰好とVTuberさながらキャラ付けをしながら、安全マージンの中で鮮やかに敵を倒すタイプの探索者。

 ガッチガチに装備を整えてから命懸けでより深くへ潜るより、兼業して儲ける方がずっと安全で効率の良い金の稼ぎ方なのだから流行るのも当然だろう。


 面白いことに、こういったタイプのダンジョン配信者(ライバー)は日本特有に近い傾向である。

 より深く、そしてより強く大きいダンジョン生物とのバトルの需要が高い海外とは少し異なり、配信者自体を求めている層と噛み合っている故の流行だ。文化の違いって面白いよね。

 

 でもこの人、それにしたって妙だ。

 なんていうか言葉と目が噛み合ってない。声は跳ねているのに生気はなく、瞳は死んだ魚のように濁っている。何より俺が隣にいるというのに、葵先輩しか認識していないと言わんばかりに一直線。


 ……もしや俺、眼中にない感じ? 人とさえ認識されてない、路傍の石ころ的な扱いってこと?


「ふふっ、ふふふっ、嗚呼、本当に可愛らしい。食べちゃいたいくら──」


 二人だけの空間にむっとしながらも、燕尾服の美男子の手が伸びて、おもむろに葵先輩の首筋に手を置こうとした。

 その瞬間だった。突如薄気味悪い感覚に総毛立ち、それと同時に本能的に時間を止めてしまったのは。

 

 どうしたのかと、世界が止まったことに遅れて気付いた俺は、自分の異常さに少し戸惑ってしまう。

 怯えるように震える手。鳥肌が立ち、走ったわけでもないのに呼吸が荒くなってしまっている。

 まるで間一髪で死神の鎌から逃れられたような、お化け屋敷で脅かされた後みたいな、そんな気味の悪い安心感。


 暴発(おねしょ)とは、我ながらなにやってんだか。

 あれか。葵先輩を取られかけて嫉妬でも爆発してしまったか。俺の物でもないってのに、負け犬極まりない拗くれた思考回路だなおい。

 

「なんだってんだか……これじゃ、(かのう)先輩のこと笑えねえな」


 自分の醜態が嫌になりながらも。止めてしまったものは仕方ないと。

 しばし落ち着くために大きく深呼吸をして、一応平静を取り戻したので時間を動かそうとして、けれども不思議と戻す気になれない。


 なのでとりあえずこいつが噂の殺人鬼で、葵先輩に何かあったりしたら大変だと。

 言い訳がましい独り言を呟きながら、一応の確認だけして──予想外過ぎた場面を目撃してしまう。


「なんだこいつ。手が、変形してる……!?」

 

 無礼にも葵先輩の綺麗な首筋に触れようとしていたはずの、燕尾服の美男子の手。

 ──否、手であって手にあらず。

 深く濁った緑の、人の皮膚とは到底思えない色をした刃が、葵先輩の首を切り落とそうとしているみたいに振るわれかけていた。

 

 どういう、何らかの魔法(マジック)か? それとも、もっと別の何か……?


「あれ、えっ?」

「何だお前! いきなり襲ってきやがって、どういうつもりだこのクソ女……あっ?」


 疑問は無数に湧けど、ひとまず謎の女から葵先輩を引き離すのを最優先として。

 葵先輩を相手の間合いから離し、剣を抜いてから時の流れを戻し、声を荒げて問い詰めようとした。


「──い……あれ、あれあれ。おかしいな。今いけたと思ったのに、おかしいな。おかしいです、な」

 

 刃と化した腕にこびり付いた血を舐めながら、こくりと首を傾げる燕尾服の美男子。

 先ほどまでと違う、無機質で、まるで抑揚のない平坦な声。

 言葉はあるのに、人であるはずなのに、機械のように心がない声。まるで形だけ模しただけの、人の皮を被った何かとしか思えなかった。


 ……何となくだが分かる。こいつは多分、まともに取り合っちゃいけない。

 例え相手が人で道を踏み外すことになろうと、葵先輩に時間停止がバレようと、絶対にここで殺しておくべき化け物だ。

 

 二言目を待たずに時間を止めて、立ち尽くす美男子のバラバラに解体する。

 刃から伝わってくるのは、ネトネトしていて芯のない手応えのなさ。

 まるでダンジョンスライムを斬ったときのような、或いはこんにゃくみたいなタイプの食材に包丁を入れたときみたいな、いずれにしても肉ある生物から感じていいものではなかった。


「……ふうっ」

「な、え!? ど、どうなってるんですか……!?」


 まあともあれ、止まった時間(とき)の中ではどんな相手も大差なく。

 所詮は常人サイズなので、いつぞやのドラゴンやゴーレムよりも簡単に四肢と首を切り離し、剣に付いた緑の粘液みたいなのを綺麗に拭いてから時間を戻した。


「な、いきなり、バラバラに……?」

「な、なんか知らないですけど、助かったみたいです……はっ?」


 何も知らぬ先輩と同じように、迫真の演技力で一般人面してその場を乗り切ろうとした。

 だが、一件落着したはずの目の前で起きている信じられないような光景に唖然としてしまう。

 

 何だこいつ。バラバラになっても死なないどころか、切り離された四肢がくっついてやがる。

 あり得ない。こんなの人間じゃない。何なのかは分からないが、とになく下手に動かれる前に処理するべき……!!

 


「──忍法影縫い。残念っすけど、しばらくの間、あんたらは地面とお友達っす」


 

 慌てて剣を強く握り直し、再度時間を止めて今度こそ仕留めようとした。

 その瞬間、高めの声が聞こえたと同時に三本の短剣が俺達全員の影に突き刺さり、何故か金縛りにでもあったみたいに身動きが取れなくなってしまう。


「……やあやあ、酷いじゃないか。僕はどこからどうみても、立派な人間だというのに」

「良いこと教えてやるっす。普通の人間は訊かれでもしなきゃ自分を人間と言い訳しないんすよ。んじゃバイナラ」


 俺達と燕尾服の美男子の間に着地してきたのは、真っ黒なボディスーツを身に纏った謎の人物。

 軽い口調と共に燕尾服の美男子の首を飛ばしたそいつは、胸の辺りに腕を突き刺し、何かを探すような素振りを見せた後に引っこ抜いてしまう。


「あれ、あれあれ、僕、僕、ボク、ワタシ……」

「はいおしまい。何人喰われたのかは知らないっすけど、どうかゆっくりお休みくださいっす」


 燕尾服の美男子は今度は再生することなく、崩れるように人から緑の怪物に変わり、まるで普通のダンジョン生物のように霧散していく。

 ボディスーツの人物は、そんな怪物の死に様に一度手を合わせてから、興味をなくしたとばかりにこちらへと意識を向いてくる。


 烏羽色の髪を靡かせる、美少年とも美少女ともとれる顔をした謎の人物。

 細くしなやかな手足に、真っ黒でピチピチなボディースーツを身に纏った平坦な胴。

 更には腰の刀に俺達の影を刺し、当人が握っている得物はクナイ。そして最も目立つ、首に巻かれた鉄の首輪はエロゲーにでも出てくるくノ一みたいな恰好だった。


 すごい変態っぽいけど、助けてくれたから多分味方のはず。

 ……いやでも動きを止められている以上、新たな敵の可能性だって十二分にあるよな。

 

 相手の恰好がどうであれ、いずれにしても結構まずい状況だ。

 拘束相手に時間停止はめっぽう不利。相手の出方を窺いつつ、どうにかこの場の主導権を握るための対策を考えないと……!!


「な、何者ですか? 助けてくれたことにはお礼を言いますけど、それと今は別です」

「うは、まじ? 普通の人間にうちの影縫いが破られるとか、久しぶりすぎてちょっと滾っちゃうんですけど」


 未だ動けない俺と違い、いつの間にか拘束を解いていたらしく、俺の前に出てくれた葵先輩。

 先輩が戦斧の先端を向けながら警戒と共に問いを投げると、ボディスーツの人物は口笛を吹いてから持っている得物──クナイを上に放って掴み直してから、ペロリと無駄に艶めかしい仕草で唇を舐めてみせる。


 まずい、まずいまずい! こいつが何者であれ、なんかすぐに戦闘が始まっちゃいそうなのは色々とまずい!

 せめて普通に動けるようになれば、両者の装備を剝いで一旦落ち着かせられるのに。

 どうしようどうしよう。こうなれば時間を止めて、何時間かかってでもこの金縛りを解くしかない──。


「どうっすか? こんな所で会ったのも縁ですし、一つ軽く手合わせでもしませ──いだぁ!?」

「何馬鹿なこと言ってやがんだ! 立場分かってんのかアホが!」

「いだっ! な、何するんすかゴリラパイセン! あんたの拳じゃうちの頭が割れちゃうっすよ!」

「ゴリラじゃねえっつーの! ったくどうしてお前は突っ走るんだ、馬鹿ナナシがっ!」


 葵先輩と忍者風。互いに警戒しながら見合い、きっかけ一つでおっ始まりそうな緊張感。

 そんな破裂する寸前の風船のような、一触即発の状況を破ったのは、忍者風の頭に落とされた拳骨であった。


「や、ヤシロさん?」

「……よう、久しぶりだな葵の嬢ちゃんに時田のあんちゃん。なんかまあ、お前らも難儀なことに巻き込まれるタチだな。同情するよ」


 頭をさする忍者風へ怒鳴りつけ、やれやれと呆れながらこの場の決着をつけたのは見覚えのある男。

 熊のように大柄で、筋肉の鎧を着ているとさえ思えるほど屈強な肉体を誇る益荒男。

 ヤシロ。かつてダンジョンタウロスの一件で世話になった、謎多くも強き探索者であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ