インク
夜 日記を書く時
どのインクにしようか いつも迷う
今日にふさわしいのはどんな色だろう
いいことも
わるいことも
なんでもないことも
それぞれ 様々な色をしている
どんな色
どんな温度
どんな音
文字にできるのは一部分だけでも
一日のいろいろな出来事を
ほんの少し 紙に閉じ込められるように
白い紙にインクが滲む
うすく こく
ペンの軌跡が今日を刻む
いつか読み返す日が来ても
いつまでも読み返さないとしても
わたしだけの今日が ここにある
今日が積み重なって
たくさんの色が混ざり合って
わたしを つくる