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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第55話 作戦会議……配分実行


 美岬は言う。

「まぁ、それは、猫の首に鈴をつけるような話ね。最初にどうやってその装置に固定するのかって問題がクリアされないと、固定されたあとにいくら大人しくなっても意味を持たない。

 でも、実際、それは面白いかもしれない。もしも悠の思いつきが正しいとすれば、装甲で固定された状態の蒼貂熊(アオクズリ)は、仲間同士の会話ができないかもしれない。だって、その固定が前提で造られているのだから、仲間に助けを求めるってことはありえないでしょう?

 それに、蒼貂熊(アオクズリ)は雑談するほどの知能はないように見えるし、管理上も静かな方がいい。魔素の収集機としての蒼貂熊(アオクズリ)のメンテも、この固定の中に含まれているはずだからね。そうなると、全身麻酔に近い状態まで想定できる。

 こちらとしては、悠の観察で判明しているけど、蒼貂熊(アオクズリ)は仲間とのコミュニケーションで低周波を使うとかいろいろな知見があったけど、人類の可聴域外での通話は、こちらの監視側からの体感としてのシャットアウトが難しい。黙らせられるなら、それに越したことはないってことが言える」

「そうでしょうか?」

 それに異議を唱えたのは瑠奈だ。


「あ、会話を止められる方じゃないです。最初にどうやってその装置に固定するのかって方です。

 私もヨシフミも、蒼貂熊(アオクズリ)の動きを止めるスイッチがあるなら、そこをピンポイントで攻撃できますよ。私たち、戦ってかろうじて勝つってわけじゃないですから。ただ、それでも蒼貂熊(アオクズリ)がバディだかカップルだかで動くなら、2頭を同時に相手することになるわけですから、こういう手があるのは助かります。

 なんせ勝つだけなら簡単でも、無傷で生け捕りってのは相当に手加減が必要で難しいですからね。2頭同時にとなるとその難しさも増します。手段は多い方が確実ですから」

 その瑠奈の言葉に、さらにヨシフミが付け加える。


「そうですよ。僕たちが襲ったバディの蒼貂熊(アオクズリ)が、他のバディに助けを求めるかもしれませんからね。同時に黙らせられたら、その方が安心です。

 それに……。大っぴらにしていないだけで、研究用の蒼貂熊(アオクズリ)の標本もあるんでしょ。そこであらかじめ、装甲部分の形状を調べておくことだってできるじゃないですか。フックとか固定のためのなにかを見つけることはできると思うんですよね」

「それが、真空吸着みたいな方法だったとしても?

 極端な話、固定する方法は取っ手みたいなものじゃなく、滑らかで平らな面でってこともありうるのよ。

 そうなると、接続部分かの判断は極めて難しくなる」

 美岬の指摘に、ヨシフミは胸を張った。


「ヴァンパイアの力を舐めちゃいけません」

「心強いわね。

 じゃあ、ヨシフミさんなら、装甲からそういう固定機能の痕跡を見いだせると?」

「たぶん嗅覚は美岬さんの旦那に敵いませんけどね。他の感覚は僕の方がずっと鋭いですよ。それに、固定機能の痕跡を探すのが難しくても、固定と同時に動きを止めるスイッチが想定できるなら、固定機能の部分よりそのスイッチを装甲上に探した方が話が早い。生体だから、トグルスイッチみたいなのが付いているというより、神経が1本伸びてきているとかでしょう。そういうのを探すのは、お手のものです」

「ヴァンパイアって、MRIの検査みたいな体内透視ができるのですか?」

 悠の質問に、ヨシフミはにやっと笑った。


第56話 作戦会議……参加要請

に続きます。

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