第52話 作戦会議……発見
「あなたたちは、そういうやり方なのね。
で、先入観がないと、なにかいいことがあるの?」
瑠奈の質問に、美岬が答えた。
「いいことかどうかは単純に言えないけど……。でも、疑問が湧いた。
ヨシフミさんも、コウモリになるときは体重が軽くなるって言っていたわよね。質量保存則は、科学の絶対的な真実と言っていい。そんな簡単に、10倍だの、10分の1だのになっていいわけがない。
ヨシフミさんの話を聞いたときは、ヴァンパイアはそういうものだと思っていたけど、ヨシフミさんと瑠奈さんの2人とも体重変化が当たり前ということになると、これはきちんと矛盾なく説明ができる科学的な法則があるはず。
というか、ないとおかしい」
そう言われて、瑠奈とヨシフミの表情が固くなった
それぞれ自分自身のことでありながら、あまりに当たり前すぎて十分に深く考えたことがなかったのだ。もちろん、まったく考えなかったわけではないし、ヨシフミはこの場で自分の考えを話してもいる。
だが、言われてみればまったくそのとおりである。ヨシフミは、自分の変化と瑠奈のそれを同じ原理ではと考えたことなど一度もなかったのだ。言われてみればなぜ自らその発想に至れなかったのか、腹立たしい。
そこで、星波が口を開いた。
「もしかして、別の身体を召喚しているってことにならないですか?
……そして、空間を重ねるようにして身体と意思を重ねている」
これは魔術師だからこその発想であり、言われてみればそれしか説明が可能な仮説はない気がした。
「前にも話したけど、僕はヴァンパイアの身体は、半分別の次元に繋がっていると思っていた。だから体内での時間の経ち方は体外と違うし、実体はそちらに置いて影だけをこちらに残すようなもんなんだと。その影がコウモリの形ってだけだと。だけど、星波さんの説明は筋が通っている。
半分別の次元に繋がっているって、それが間違っているとは思わないけど、それがどう繋がっているかなんて考えたこともなかった」
ヨシフミの言葉に、星波も答える。
「……あの、私も、こちらに来ていろいろと考えさせられているんです。
召喚・派遣、それは私の常識では円形施設を通して行うもので、その他の手段があるなんて考えたこともありませんでした。召喚・派遣は莫大な魔素を使うので、セフィロトの力がなければできないと、そうでなければ魔術師の命を賭けた術式に頼るしかないと、そう思っていたんです。
ですが、蒼貂熊は、異世界に続く常設の開口部から入ってきてますし、体内に召喚するシステムなんてのも考えたことがありませんでした。
ともに、どれほどの膨大な魔素を使っているのか、背筋が寒くなります」
「だからね、先入観はよくないのよ。
今回の問題は複雑かつ重要で、間違いが許されない。だから、真は私たちに情報を与えないという手段を採ったのだと思う」
「なるほど。
……認めざるをえないわ」
瑠奈が総そう白旗を上げたところで、悠が口を開いた。
「僕も思いつきで言いますが……。
蒼貂熊後頭部の装甲自体が、蒼貂熊の身体を固定するパーツという可能性はありませんか。固定してから、魔素を回収する、というような。
蒼貂熊を捕まえて実験するなら、その可能性も調べて欲しいです」
そのリクエストに対し、美岬が確認の問いを投げた。
「それはどういうところからなの?」
作戦会議……提案
に続きます。




