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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第43話 魔法とは……7


 瑠奈は続ける。

「とはいえ、そういう環境でもノートパソコンやスマホなら、簡易な太陽電池の直流電源で用は足りる。そもそもUSB電源は直流だしね。でもね、大抵のプリンタはコンセントからの交流電源が必要なのよ。バッテリー駆動のモバイルプリンタもあるけど、主流とは言いがたい。おまけにバッテリーまでわりと短いスパンで廃棄物になっちゃうし。

 それに、異世界で定期的に補充インクを買い続けなきゃってのが、一番の問題でしょうね。リサイクル技術もないんだから、最初っから入れない方がいいってのは1つの見識だと思う。

 それに対して、昔なら数千万円もしたような自動現像機、今なら廃棄されるのを捨て値で引き取ってこれる。それを1か所置けるだけで、ダーカス世界の需要量なら完全に満たせる。

 ……ああそうだ、ダーカスにはまだデータサーバもないよね。そうなると、ネガで保存できた方がデータの維持保存にも不安がない」

「……なるほど」

 とりあえず、悠は圧倒されて頷かざるをえない。インフラで買うものの選択が制限されるなど、言われるまで考えたことがなかったのだ。


 これは、悠の視野が狭いことを意味しない。ただ、この場で星波とともに最年少の世代に属しているということを示していた。最先端の科学技術の産物を享受していて、過去の機器とそれらの改良の経緯自体を知らないのだ。だから、それらの是非を問うことなど、できるわけがない。


「でも、写真現像は廃液が出るんじゃないの?

 川に流しちゃったりしたら、問題になるんじゃ……」

 と、確認したのは瑠奈だ。

「ダーカスのスィナンが、大規模な施設を持っているんです。

 スィナンは錬銀術をやっていた関係で、ダーカスの化学の専門家になっています。父と本郷さんは、最初から環境を汚さないということに敏感でした」

 星波はそう答え、さらに納得したという表情になった。


「私、思い出しました。

 父は、物資の移動はできるだけ一方通行にしたいと言っていたんです。金は仕方ないけど、ダーカスの産物をこちらの世界に持って来たくはない、と。

 特に、同じものを大量に移動し続けるのは避けたいと言ってました。ダーカスが、こちらの世界に依存することになるし、バレるきっかけになるからだって。それに今の話だと、そのプリンタインクもリサイクルに出すとなれば、不自然なまでに大量になると思うんです。

 それに、写真に頼る必要は近いうちになくなります。こちらには、不特定多数にイメージを与える魔法はすでにあるんです。それを紙などに形として残すことは未だにできていませんが、魔法技術のさらなる研鑽でそれも可能になっていくでしょう。もう、理論はできているんですから。

 だから、それまでの『つなぎ』を父は用意したんだと思います」

「……なるほどね。

 うっかりすると、ダーカスではデジカメすら過去の遺物になってしまうのか。きっと、データ保存についても、魔法工学みたいなもので考えているんでしょうね。こちらのパソコンを持ち込みすぎると、データ移行の手間が増えてかえって足を引っ張りかねないよね。

 鳴滝さん、本当にいろいろ考えているんですね」

 美岬の言葉で、星波は少し得意そうな表情になった。


第44話 魔法とは……8

に続くんでしょうねぇ……

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