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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第39話 魔法とは……3


 星波の言葉に、ヨシフミが問いを重ねる。

「わからないなりに、それでもいろいろ考えているようですが……。

 なんか仮説程度でもいいので、説明できる説はあるんですか?」

「本郷さんが、『魔素の放射には右旋波、左旋波の2種類があるんじゃ』とは言ってましたが、それも誰もよくはわからないんです」

「電波?」

 そうつぶやいた悠も、なんとなく聞いたことがあるような、ないようななので、それ以上続けられない。


「でも、もしかしたら……。

 あの短剣は、消える方ではない魔素で作られたのかもしれないね。残りやすいものであれば加工しやすいっていうのは言えるでしょうからね」

 瑠奈も言う。

 やはり、これも思いつき以上のものではない。


「星波さん、そちらの魔素はダーカスでどのように使われているんですか?」

 そう聞いたのは美岬だったが、星波は首を横に振った。

「ダーカスでも、こちらの魔素はほとんど利用されていないのです。王位継承の儀式とかで豊穣の女神像に回復の泉の水を掛けるとは聞きましたが、それ以外にはなにも……」

「うーん、話を聞く限り、消える魔素の方が使いやすそうだもんね。使わないものは研究が遅れても仕方ない」

 美岬の言葉は、感想でありながらも芯を突いていた。


「というか、私もこういう話になるとは思っていなくて……。魔法学院ならば、なにかわかるかもしれません。父と本郷さんの仮説は伝わっているはずですから」

「じゃあ、その確認をお願いします。

 それがわかれば、けっこうおもしろいことになりそう」

「そうなの?」

 美岬の予想に、悠が確認する。自分の母が、なにに対しておもしろがっているのかまではわからなかったからだ。


「現代においても、オカルト絡みの話は尽きないでしょ。これもさっきから話しているけど、時代によって魔素の量が違うからというのもあるんでしょうけど、モノ自体も入れ替わっているというのもあるかもしれない。

 仮に魔素Aと魔素Bとしてよ。最初は地球に両方とも豊富だった。

 その時代に、あちこちに宇宙に召喚とか派遣とかで人類は散らばっていった。だけど、魔素Bがなくなり、魔法が使えなくなり人類は宇宙の中でつながりを失った」

「なるほど。

 でも、それだと魔素Aと魔素Bを持ち出さなくても、同じストーリーは描けるんじゃない?」

「いいえ、それじゃダメなのよ」

 悠の反論に、美岬はさらに自分の考えを話し続けた。


「さっきの星波さんの治癒魔法は、確実なものだったよね。だけど、こちらでのおまじないとかは、そういうものじゃない。いつだってあやふや。効き目があったりなかったり。

 でね、問題はその『あったり』なのよ。その『あったり』の説明のためには、魔素Aが不安定な形で残っていて、その極めて使いにくい魔素Aを使える人間が稀にいたから、と言える」

「それは、単なる確率論でも説明できるし、さっきの錬金術の話の蒸し返しだよね?」

 批判的な口調の悠の言葉に、美岬は大きくうなずいた。


「その錬金術の話からの演繹よ。

 錬金術師1人だけでも成功例があったから、何百人もの錬金術師が人生を棒に振った。

 同じように治癒とかのいわゆる一般的な魔法で、1人だけであっても魔素Aを使いこなせる成功例があったら?」

「えっ。それって……」

 絶句したのは悠だけではない。瑠奈もヨシフミも言葉を失っていた。

第40話 魔法とは……4

に続きます。


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