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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第33話 状況証拠


 もう、この場の会話では、魔素と生気(プネウマ)は同じものとして扱われていた。もちろん、いかに似ている物質であったとしても、最終的には違う可能性はある。誰もがそれはわかっていても、話の効率化のために、つい省略してしまうのはやむをえないことだった。


「昔、地球に魔素が多い時代があったというの、補強できる状況証拠はありそうですね」

 と、これは悠。

「例えば?」

 美岬の質問に、悠は答える。


「うーん、地球に金、多すぎじゃないですか?

 だって、地球はどろどろに溶けていたのが冷えて地表ができたんですよね。そしてまだ、地球の中は高温のままです。ということは、重い金は地球の核に沈み込んでいってるってことです。なのに、地表に出てくるのは可怪しくないですか?

 マグマが対流で上がってきて火山で地表に戻ってくるにしても、金はそのマグマを作る物質の中でも特に重い。なのに、そんなふわふわと上がってくるもんなんでしょうか?」

 さすがにこの質問に、すぐに答えられる者はいなかった。地学について勉強した経験を持っている者がいなかったためだ。


「つまり、人類が掘り出した金は、かなりの部分で魔素からできた賢者の石由来なのではないか、と?」

 ようやく聞いたのはヨシフミだ。

 悠の思いつきは、皆に発想の転換を強いたのだ。


「はい。とはいえ、そういう金は地表に極めて片寄って存在したはずですから、採掘も楽で、もう取り尽くされているとは思うんですけどね。Y0utubeでも、金をパンニングする動画がいっぱいあって、金を集める人間の執念みたいのを感じるんです」

「だけど、真からは、賢者の石由来の金の純度は途方もなく高くて、すぐにわかるって言われているけど……」

 と、これは美岬。やはり、双海真から美岬へは、詳細な情報が伝えられているようだった。


「それはそうなんですけど、金ほど人為的に他の金属を混ぜられてきた金属もなかったわけで。24kよりは、18kで売った方が儲かりそうな気がするんですよね。昔になるほど金の純度を追求できなくなるし、色味に影響が出ない範囲でなら、混ぜれば混ぜるほど儲かったはずです。

 だから、純度の高いまま残されなかった、ってのはあるんじゃないかな?」

 悠の推論には説得力があった。ダーカスでのように忌み嫌われるまでにならなかったら、「金とは混ぜものをされるのだ」と言っていいのだ。


 悠の推論に応じたのは瑠奈だった。いくらか表情が硬い。

「うん、それはあると思う。

 というかさ、ニュートン、万有引力の発見で名高いけど、実は錬金術師だったんだよね。しかも、王立造幣局長官になっている。どうやら、金の流通を確認したかったらしいんだよね。実際に、偽金造りの大物を摘発して、ニュートンが長官やっている間は贋金づくりはできなかったらしいの。

 実際に、錬金術で作られた金の監視のためって説があるけど、こうなってくると符合が怖いよね」

「ニュートンは、そんな人だったんですか?」

 悠の質問に、瑠奈は答える。


「曰く、『最後の魔術師』、曰く、『片足は中世に置き、片足は近代科学への途を踏んでいる』と評価されている人物よ」

「まさか、そんな……」

「教科書だけだと、イメージが湧かないでしょうね」

「……」

 瑠奈に言われて、悠は返答に困ってしまっていた。

第34話 エネルギー史

に続きます。

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