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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第27話 人類の暗黒史


 そのまま1分ほどが過ぎたところで、考えがまとまったのだろう。星波が口を開いた。

「1つ、疑問があります。

 6万人の生命分の生気(プネウマ)を使って短剣が物質化がされたとなると、先ほどの瑠奈さんの言葉、『いつだって足らなくて、貯めておける量があったことなんか一度もなかったんだから』と矛盾しますよね。

 もしも大量にあって、なんらかの方法で物質化できるものだとしても、1度は溜め込まないと形があるものにはならないんじゃないですか?

 だから、その方法はあったはずです。でなければ、その短剣は本当に生気(プネウマ)から作られたのか、という疑問も生じます。

 それから2つ目ですが、6万人分の生気(プネウマ)を魔素として考えると、さすがに私たちの世界の魔素だとしても、膨大な量だと言えます。そこまでの量を使っての実験は、魔法学院でもきっとやったことはありません」

「他の疑問はともかく、生気(プネウマ)から作られたのは間違いない」

 瑠奈の言葉に、星波はさらに続けた。


「だとすると、1回限りの現象に対処できたということになりますよね。これってものすごく難しいことではないでしょうか?」

「言われてみれば、UFOが飛んできて1回目撃しただけなのに、それが何かを正確に突き止めて捕獲できたってくらい難しいな」

 そう言ってヨシフミも腕を組んだ。


「アンタだって、自分の身体だけで人体実験してヴァンパイア化に成功しているじゃん。何人も人体実験に供して、ようやく成功するかどうかなのに」

「いや、僕のは違う。

 事前に調べられるだけ調べたし、医学や薬学だって、併せて調べられるだけ調べた。事前準備ができていたんだよ。

 つまり、あの短剣を作るためには7万人が殺されることを事前に知って準備していたか、そもそものあの事件を起こした側にいたかのどちらかなのを疑わざるをえない。でなきゃ、あの短剣の出どころがぜんぜん違うか……。

 もちろん、あの短剣には世話になっているから存在自体を疑いはしないけど、それとこれは話が違うでしょ」

 そう反論されて、瑠奈の顔も悩ましいものなった。


「ヨシフミの前提は、さらにもう1つ大きな疑問を含んでいるのに気がついている?

 2つの前提、両方に言えるんだけど、大量の生気(プネウマ)を物質化する方法がその時代、1380年代にはすでに確立していたっていうことになる。

 だけど、それ以前に、そこまでの大虐殺が立て続けに何回も起きたってことが信じられない。そもそも人口って昔になるほど少ないんだから、その少ない人口から何回も何万人も削るって……」

 瑠奈の言葉に、美岬が短く答えた。


「唐、安史の乱、755年から763年、死者3600万人」

「えっ!?」

「ローマ、ガリア戦役、紀元前58年から51年、100万人。

 1380年代以前で、まだまだたくさんあるけど……」

「ちょっと待ってよ!」

 瑠奈の声は悲鳴に近かった。


「私たちは、そういうことが起きないようにって考えている。だから、そういう歴史も学んでいる。

 もちろん、私の言っていることは、条件を満たしているということだけで、それだと確定できるものじゃない」

「……逆にですが、最古の虐殺はいつですか?」

 星波の質問に、美岬は再び答えた。


「最古まで行くと、正確さはわからない。あくまでそういうものだと伝えられてきた話になっちゃんうけど……。

 前1200年以前の青銅器時代、旧約聖書の申命記やサムエル書に、カナンでの先住民虐殺が書かれている。

 秦の歴史では、長平の戦いで40万人を生き埋めにしたとか、彭城の戦いでは20万余が殺戮されたとか……」

 星波は、目をつむり祈りを捧げた。


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