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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第25話 星波の説明


「悠、書記をお願……」

 美岬の言葉をヨシフミが遮った。

「僕がやります。絶対に僕の方が記述が早いですし、悠くんは議題に沿って発言してもらわないと」

「ヨシフミさんも、蒼貂熊(アオクズリ)を倒したんですよね?

 なら、ヨシフミさんの意見も……」

 悠の反論に、ヨシフミは真顔で答えた。


「僕なら、筆記しながらでも話せます。

 それに、僕が蒼貂熊を倒したのは、皆さんの参考になりません」

「どういうことですか?」

 悠の問いに、ヨシフミはあっさりと答えた。


「僕は、苦労してないからですよ。蒼貂熊を空に投げ上げて、墜死させました。こんなの、僕以外の誰もできません。だから、僕の意見は参考になりませんよ」

「蒼貂熊を空に投げ上げって……。体重が1tはありますよ」

「ヴァンパイアは、『怪力無双、変幻自在、神出鬼没』なんですよ。1tぐらいのものを100mくらい投げるのは、全然問題ないです。もっとも、足場が脆いと無理ですけどね」

 ヨシフミの答えに、悠は半ば呆然となりながら質問を続けた。


「僕もヨシフミさんのようにヴァンパイアになれば、同じことができますよね?」

 (はや)って言う悠に、ヨシフミは冷ややかと言っていい口調で告げる。

「人類が死に絶え、そこからさらに何十億年も先、地球が膨張した太陽に飲み込まれるその日まで、孤独に生きる蛮勇があったらどうぞ」

「……」

 悠は黙り込む。さすがに、それでもヴァンパイアになりたいとは即答できなかったのだ。


「また話が横道に逸れてます。話を戻そ」

 瑠奈の声で、悠は目が覚めたという顔になった。検討の時間はあると言っても、それは今晩という時間があるということしか意味しない。何日ものんべんだらりと話し続けることではないのだ。


「では、私から、私の世界について説明します」

 そう瑠奈の言葉を引き取って、話し始めたのは星波だ。

「ダーカスで魔素は、セフィロト(大の月)からスノート(小の月)へ流れているものです。2つの月の配置によって、地表にも魔素がおりてきます。つまり、天体現象なんです。人間の身体でも微量の魔素は生産されていますが、天体の生み出す魔素は桁が違います。地に降る魔素はその場を焼き尽くし、不毛の地に変えていったのです。しかも、その場では『賢者の石』が生成され、金属資源をすべて金に変えてしまうのです。なので、私たちの世界は、鉄も銅もいつも不足しているんです」

 星波の説明がまだまだ続くと察しているので、誰もなにも言わない。だが、「金属資源をすべて金に変え」で、その場の全員が息を呑んだ。


「それから、私たちの世界はその魔素を貯める技術ができていて、魔法だけでなく産業をも成り立たせています。ただ、あまりに便利なせいで……、私たちの世界は1000年ほど前に1度滅びているんです。父が言うには、たとえば農業暦に合わせて魔法で雨を降らせると、灌漑施設が不要になる、と。だけど、雨は無制限に降らせることができるわけではなく、あくまで年5回の雨を農業暦に合わせて配置し直すだけなんです。魔法でも、無から有は生じませんから。

 なので、その雨が年1回になったとき、収穫はいきなり0になるんです。魔法に頼った社会は、劇的に破滅するんです」

 またもや、その場の全員が息を呑む。こちらでは、生気(プネウマ)が少なく、そんなことには決してならない。星波の話は、あまりに想定外だったのだ。

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