表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/278

第19話 魔素と生気(プネウマ)


「……仕様としての弱点、という可能性ですか?」

 ヨシフミがそうつぶやき、悠は深くうなずく。

「前に母から聞いたのですが、米は機械で刈るから、それに適するように背を低く育種をしてきたと。それに対して、酒米の品種はそっちの角度への育種が進んでいなくて、背が高くて機械での稲刈りが大変なんだと聞きました。

 でも、背の高い品種と低い品種が混じれば、高い方が光合成できて絶対的に有利だ、と。

 これと同じように、弱点としても他の見方では有利……、というより『便利』になるような身体の作りってことはあるんじゃないでしょうか?」

蒼貂熊(アオクズリ)が、魔素とか生気(プネウマ)を集めるための生き物だという可能性を前提としたら、ってことですよね?」

 ヨシフミの確認に、悠は再びうなずく。


「瑠奈さんの言うとおり、自然の進化である可能性はあると思いますけど、蒼貂熊がそういう生き物だとしたら、その魔素とか生気(プネウマ)とかの回収手段があるんじゃないでしょうか?

 身体の弱点ってのは、器官の中心ってこととも言えますから、その可能性、ありませんか?」

 その質問に、ヨシフミの表情はさほど変わらなかったが、瑠奈は辛そうな顔になった。


「昔、歴史上のできごとでだけど、大量虐殺の際に大量の生気(プネウマ)を集めた事例があるのよ。|クリスチャン・ローゼンクロイツ《C.R.C.》が中東に行く前、1380年代のことだけど、70,000人もの人間の生首のピラミッドが作られた。10,000人分ほどは回収できなかったけど、60,000人もの人間の生気(プネウマ)が練り合わされて、1本の短剣が作られた経緯がある」

 部屋の中は静まり返った。


 誰もが、衝撃を受けたという顔になっていた。瑠奈ですら想像するのがおぞましく、口に出すには辛い歴史上の事件だったのだ。だが、ヨシフミだけが、人類の蛮行に対して距離を置くことができた。みなが人間でいようとする中で、唯一人間以外を志したのがヨシフミだったからだ。そして、前から知識として持っていたということもあって、動揺が少なかったのだ。


「人類史の中で、生気(プネウマ)の物質化が行われたのはその事例だけよ。他にはない。

 ともかく、人間から生気(プネウマ)を奪うには、殺すのが一番手っ取り早い。それに関しては、洋の東西、規模の大小を問わずたくさんの例がある。本当に、考えたくもないことだわ。

 でも、他の生き物で、生気(プネウマ)を集めるための仕組みがあるなら、殺さなくてもいいのかもね」

 部屋に、瑠奈の声だけが響く。


「じゃあ、蒼貂熊の弱点は、魔素とか生気(プネウマ)を集めるための穴、だとか?」

 という悠の質問に、ずっと黙ってきた星波が口を開いた。

「私は、魔素をコンデンサに入れてここまで持ってきています。その出し入れに、身体に穴を開けてというのは、考えたこともありません。呪文で、手から好きに出し入れができるからです」

 それに対して、瑠奈が聞く。


「魔素と生気(プネウマ)が同じものだとして、というか、私はほぼ同じものだと考えているけど、そもそも呪文ってなに?

 言霊みたいに、口に出しただけでそういうことが起きるとは考えられない。なんらかの因果関係があるはずよ。

 呪文の音の波が影響しているの?

 それとも、呪文を唱える術者の心理状態を整えるためのものなの?」

 そう聞かれた星波は考え込んだ。


挿絵(By みてみん)


第20話 魔法の文法

に続きます。


本日は、挿絵入り。

花月夜れん@kagetuya_ren さまにいただきました。

感謝です!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ