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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第15話 双海の目論見


 うなずいたヨシフミは、そのまま続けた。

「美岬さん、今まで僕は、薔薇十字の秘儀を盗もうとする傭兵あがりとかと、かなりの数を戦ってきましたけどね。さっきのは、一番えげつない攻撃でしたよ。

 テレビで料理作ってにこにこしている人と、同じ人とはとても思えません。

 こっちの方が本当の姿なんでしょ?」

 それに対する美岬の表情は、押し隠していてもどこか嬉しそうだった。


「……こっちも事情があったのよ。それにもう、引退した身なのは本当だから。

 ……まぁ、現役の時なら当てられたと思うんだけど、引退してよかったわ」

「……坂本が霞んで見える」

 そう言葉を返す美岬に、一番驚いた顔をしているのは悠だった。自分の母親が戦う姿など、想像もしていなかったに違いない。しかも、同級生の空手部主将の坂本でも遊ばれてしまうだろうほどの強さなのだ。格闘技はやったことのない悠でも、それは膨大な時間を費やして積み上げたものと、一目で見て取れるほどの実力だった。


「そうかもしれませんね。

 双海さんと菊池さんはもっと手段を選ばなさそうだった。マジで敵に回したくないと思いましたよ」

 そう言われて、美岬は一転して酷く傷ついた顔になった。

「詳しくは話せないけど、優しい人なのよ。本当に、優しい人たちなのよ。

 だから、えげつない手も採る。だって、そうしなかったら、自他ともに苦痛が長引くでしょ」

「……なるほど。よくわかりました」

 ヨシフミはそう答え、納得もしていた。


 双海という男は、一見、自分の妻子を事件に巻き込んだように見える。

 だが、すでに子の悠は当事者だ。そして、引退したといえども、妻の美岬の能力に疑いを抱いてもいない。さらに、この程度であれば、現役に戻るわけではないという厳密な見切りもできている。


 そして、今回の一番の目的は……。

 あえて事前情報を与えないことで、瑠奈とヨシフミ、美岬と悠に個人的な信頼関係を結ばせることだ。互いに自分の情報を開示しあうというのは、信頼関係の醸成に最も手っ取り早い方法だからだ。

 双海自身はある程度公式の関係であり、美岬と悠とは私的の関係とすれば、より深く瑠奈とヨシフミを知ることができるのだ。


 それだけではない。

 その信頼関係ができる過程を見せることで、星波との信頼関係の構築にもつなげるということも考えていないはずがない。

 異世界から来た人間に、こちらの世界の常識は通用しない。とはいえ、同じ人間同士なのだ。関係感情の動きには共通したものがあるはずと、双海は考えている。まして、公式には大使としてのルイーザがいるのだから、星波との関係は私的なものでいい。


 魔法の知識についても、ルイーザからの情報と星波からの情報の突合がされるだろう。これは、情報の確度を上げる目的だけではない。

 魔法が社会に根づいているとしたら、私的な利用もあるはずだし、そのあたりは公式には聞きにくいものもある。つまり、これはより深くダーカスの社会をも知るためなのだ。


 ヨシフミは、双海の考えを理解したうえで、その手に乗る決心をしていた。なぜなら、利益の方が大きいからだ。ヨシフミとしても、双海たちからと星波からと、得られる情報の量が桁違いになるのだ。


「第15話 星波の報告」と予告しましたが、変更です。何話かあとになっちゃいました。


第16話 敵を知る

に続きます。

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