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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第一章 相馬県立鷹ケ楸高校

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第22話 方針決定


「いい案だと思うが、蒼貂熊(アオクズリ)の目は6つもあるから油断はできない。視野は相当広いと考えないと……」

 と、これは岡部だ。

「しかも、飛んでくる矢を掴み取るってのは、よほどに動体視力もいいってことだ。そうなると、人間の常識での視線誘導だとマジで自殺行為になる」

 なるほど。奥の補足も、まったくもって言うとおりだな。


 で、僕、また案を出す。

「じゃあ、いっそのことだけど、体育館と体育別棟の状況はどうなっている?

 普段、体育別棟にいる体育の先生と音楽の先生、職員室かな?

 それとも蒼貂熊の侵入が急だったから、そのまま別棟に隠れているかな?

 体育館あたりまで蒼貂熊を引っ張れれば、間違ってもこっちは見えない。で、体育の先生と音楽の先生は、蒼貂熊を誘き寄せたあとはそのまま隣接した弓道場の倉庫に逃げてもらえばいい。ナンバー合わせの南京錠だから、番号はわかっている。で、倉庫は鉄筋コンクリート造りで鉄扉だから、かなり長い時間耐えられるはずだ」


 と、言うのは、我が校の音楽室は体育棟にある。体育と音楽は音が大きい。だから、校舎から別棟として離してあるんだ。そうでないと、体育の授業でのバレーボールとか、音楽の時間の男子たちのヤケクソの合唱とかが、やたらと情緒なくうるさいことになってしまう。


 僕の言葉に、鴻巣は再びスマホを握った。

「すぐ、確認を取ろう。

 だけど、今の案は現状に対してオーバークオリティなんじゃないか?

 実行可能なら稼げる時間が桁違いだし、その余裕から考えて間藤と中島を校外に避難させることも可能だろう。無理して保健室と連絡をとって、痛み止めの薬を手に入れる必然性もなくなる。

 実行時には、間藤、中島と一緒に1年生も逃がせられるだけ逃がしたい。もっとも、蒼貂熊の行動との兼ね合いだし、1年生が逃げた先で襲われたら元も子もない。間藤と中島は救急車に移動して終わりだが、1年生は隠れるところが必要だからな。

 で……」

「言いたいのは、まずは実行するタイミング、ってことだよな?」

 僕の確認に、鴻巣は深くうなずいた。


「作戦決行は消防署と連絡が取れて、救急車が来てくれる時間に合わせて、だろうな。だけど、ニュースのとおり日本中で蒼貂熊が出没していると、この市でだって負傷者どころか死者が続出しているだろうし、救急車がいつ来てくれるかはまったく読めない。そもそも今は、110番も119番も繋がらないんだからな」

 それはそうだと思う。


 それに、消防署に連絡がついたとしても……。

 トリアージの判断で、間藤と中島の順位は低いかもしれない。この死者が続出している状況では、いくら中島が苦しんでいても「骨折程度で」って言われてしまいそうだ。

 それに、僕たちの他に瀕死の10人の現場があれば、瀕死かもしれない間藤だってたった1人と言われて、そちらの現場が優先されてしまうに違いない。

 だから、救急車が来てくれるタイミングは、本当に読めない。


「そうなると、やっぱり当初案のとおり、せめて痛み止めは保健室から持ってくるべきだな。そうしないと中島に、いつ来るかわからない救急車を待ってひたすら痛みに耐えろって言うことになる。さすがにこれじゃ、可哀想が過ぎる」

「そのとおりだと思う。じゃあ、これで、痛み止めは入手、脱出までは準備して待機、作戦の方向は決定だな」

 僕の言葉を、鴻巣が確定させた。

第23話 異議

に続きます。

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