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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

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第7話 打ち明け話4


 美岬はそこで話を戻した。

「もう、私のことはいいよ。それより悠、同級生の宮原さんと北本さんは、悠の志願を止めていたらしいじゃない」

「……聞かれていたの?」

 そう言う悠の耳は真っ赤になっていた。うすうす、こんなことだろうとは思っていたのだろう。だから、盗み聞きされていたことへの怒りより、母に異性のことを問われる恥ずかしさの方が先に立っているに違いない。


 それに、逆に聞かれていなかったとしたら、それはそれで悠は失望していたかもしれない。どのような意味でも徹底している世界なのを、すでに悠は感じ取っていたからだ。でなければ、悠が「並榎」の名字を名乗ることもなかったはずだ。

 それに考えてみれば、「双海」と「並榎」、漢字の意味でいえば繋がらなくもない。「双」と「並」は同じ意味にもなるし、「海」と「榎」は海と陸のもので反対のものだ。そして、共に古い地名でもある。


「聞かいでか」

 そうつぶやいた美岬は、星波を見て申し訳なさそうな顔になった。

「ごめんなさい。話が横に逸れちゃったね。

 話を戻すから……」

「いいえ、ここもダーカスも、人の気持ちってのは変わらないんだなあって、それがわかったのがありがたいです」

 星波の言葉は、その心情をストレートに表していた。


 星波の父と母も、ダーカスでは普通の人間ではなかった。自分のためにいろいろと考えてくれているのは知っていたけれど、だからと言って、星波なりの苦労のすべてをなかったことにできるようなものでもない。そのあたりの葛藤は、どこの世界でも同じなのだ。


「そう言ってくれて、ありがとう」

 星波の返答に美岬は礼を返し、そのため息はようやく止まった。

 美岬にも、星波の育った環境への推測はついていたのだろう。


 話を戻すと言った、美岬の言葉は嘘ではなかった。一転して美岬はてきぱきとした口調になった。

「とりあえず悠は、学校に入り込んできた蒼貂熊(アオクズリ)と戦った経験がある。だから、敵を肌で知っている。あとでその時の戦いの詳細を聞いておいてね。この先どうなるかわからないから、早めに聞いておいた方がいいと思う。

 国内で大惨事になる学校が多かった中で、悠たちは最後まで戦い抜いて、ほぼ全員が生還した。だから、これはきちんと参考になる話だと思う」

「わかりました」

 さっきまで、ため息をついていた人間と同一人物とは思えない口調に、半ば圧倒されながら星波は答える。

 これは星波としても、願ってもない話である。ルーの大使としての公式ルートでは聞けない話が、経験者からダイレクトに聞けるのだ。


「それから、今晩はお客さんが来る。私も会ったことはないんだけど、晩ごはん食べながら話しましょう。(しん)が言うには、『魔法が使える人たち』らしいよ」

 星波は、王様たちの会議の中身は聞かされていた。だから、こちらの世界で、少しでも魔素への理解がある人材が探されていることは知っている。

 そうだからこそ、星波は美岬に確認せずにはいられなかった。


「……母が話を聞いた方がよくはないですか?」

 星波の問いに、美岬は微笑んだ。

「プライベートを守らなきゃなのよ。『魔法が使える人たち』のね。ダーカスからの公人と会ってしまったら、マスコミが放っておかないでしょ。

 それに今晩の話自体は、真も来日した大使も聞くことになる。だって、言ったでしょ。この部屋は、すべてモニターされているって」

 そう、たしかに言っていた。そこで星波は、ふと不安になった。

第8話 相互理解

に続きます。

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