表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第四章 星波、日本にて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/278

第5話 打ち明け話2


「……父さんだけでなく、母さんも、なのか?」

「逆よ。私が(しん)をこの世界に引き込んだの」

 悠の絞り出すような問いと美岬の返答に、星波は同情を禁じえない。

 自分も世界を救った『始元の大魔導師』の娘ではあるが、まだ父親がなにをしたのか、なにをしているのかを知っている。だが、悠は自分の両親がなにをしているか、まったく知らずに育ったのだ。


 星波は、この話の行き先の予想もつかなかったが、双海真の家に住むということだけは聞かされていた。だから、双海家の家族関係は理解している。

 つまり、真と美岬が結婚し、悠が生まれたということだ。だが、悠は祖父母の使っている偽名を名乗っていたらしい。悪意ある者からの市役所等の公的機関へのハッキングに備え、さらに息子に対しても自分たちのことを隠していたということだ。

 ここの家は、どんな家族の形を作ってきたのか、星波には想像もつかなかった。


「じゃあ、なんで母さんは、料理研究家としてテレビに出たりしているん?

 顔がバレたらまずいんじゃない? 目立たずにいた方が……」

「逆よ。今はもう、顔を隠して匿名での活動は通用しない。卒業アルバムをネットで上げられてしまったら、それだけですべてが終わってしまう。なのに、それを阻止するのはほぼ不可能でしょ。何度も、この問題は起きてきたのよ。

 なら逆に、引退を機に存在を明らかにしちゃえばいいのよ。私が一番最初に誘拐されたのは、高2のときだったかな。他国の機関だったけど、まぁ、相手がプロであれば、ある程度以上、公になっている人間に手は出さないわ」

「……納得」

 悠は頷くしかなかったようだ。


 美岬はさらに話を続ける。

「私が真を巻き込んでしまったんだけど……。それでも真は頑張って、私たち以降の世代、悠からは組織から開放されるようにしてくれた。

 なのに、まさか悠から志願したなんてね。それこそ、想定外だった」

「まさかって……、コレ、学校で会った、黒服の男たちの話なの?」

 ようやく、悠の中でなにかが繋がったらしい。


「ええ。

 悠と話した彼は、菊池慧思(さとし)。父さんのバディよ」

「ヒントを出されたからね。学校の図書館で、昔の卒業アルバムで見たよ。それで、父さんとその菊池さんは卒業年度が一緒だったんだ……」

「だからこそ、菊池くんと悠は会わせないようにしてきたのに、まさかその菊池くんに志願の意思を伝えるなんてね。

 ……本当に、運命ってのは皮肉なものよね」

 美岬のため息混じりの声は、星波の耳にはきわめて切実なものに聞こえた。


「菊池くんは、あの場ですごく悩んだって言ってた。

 だけど、一蹴しても悠は喰い付いてきた、と。とはいえ、麻疹みたいなもので、その期間が過ぎてしまえば考え直すだろうと考えたから、熱を冷ますために毎日10km走れと言ったそうよ。普通なら、それでめんどくさくなって熱が冷める、と。

 そしたら、毎日欠かさず走りだすって……」

「たまに帰って来る父さんも、それに母さんだって、毎日欠かさず走っているじゃないか。だから、そういうもんだと思っただけなんだけど……」

 美岬のため息混じりの話が、ため息ばかりのなかに言葉が紛れ込むという状態になった。

第6話 打ち明け話3

に続きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
前半の「並榎」君と今章の「悠」君? つながりが気になるw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ