第20話 俺の策
第21話 俺はどうする?
に続きます。
俺は、自分の思いつきについて話した。
「こちらには複数の王国があります。それが足並みを揃えて見せる必要はないんじゃないですか?
たとえばリゴスの王様とならば、ツーカーで話が通じます。その上で、ダーカスとリゴスは日本に対する考えが違う、と。
……で、リゴスとエディ、ダーカスとブルスとサフラの二大勢力で意見が割れていることにすれば、この世界全体としての安全度は高まるんじゃないでしょうか?」
「だが、戦さに勝った場合、リゴスとエディに問題は生じぬが、敗戦処理となった場合、ダーカスとブルスとサフラは存続できぬやしれぬぞ」
うん、大臣の心配はもっともですなぁ。
「大丈夫です。
勝ったら即日、名義だけダーカスとブルスとサフラはリゴスとエディの保護下に入り、負けたら名義だけリゴスとエディはダーカスとブルスとサフラの保護下に入るのです。ま、降伏して見せるってヤツですね」
「……き、汚たねぇ」
ほらほら大臣、いけませんよ、本性が出ちゃってますよ。
「ナルタキ殿の暮らしていたところは、そういう武将の領地に近かったのです。もちろん、昔の話ですけれど」
そうそう、ルーの言うとおり。真田一族の領地は住んでいた市の隣の町なんだ。
兄弟で豊臣方と徳川方に分かれて戦い、勝った方が負けた家族の命乞いをするってね。これ、汚いなんて言わないで欲しいなぁ。生き延びるための知恵ですよ、知恵。
で、こんなの基本中の基本だよね。
うん、言えるときはそうないんだから、今こそ偉そうにしとかないと。
「となると……。
これでおおよその問題は回避できる案ができたな。大臣、公文書をこの結論に沿っての書き換えをお願いする。双海殿と菊池殿に、大使館開設についても問うのを忘れずに。
それからトプ、大使館付き武官の選定を頼みたい。できれば1回限りかつ未熟な魔法であっても構わぬから、魔法を使える者がよい。ナルタキ殿の世界の武器を考えれば、剣は役に立つまい。基本的に警備は向こう任せになろうが、それに任せ切りは避けたい」
……だよね。ルーの身になにかあったら……。あったら、俺は……。
とてもじゃないけど、話したり書いたりして説明できるような状態じゃ済まない。きっと、狂乱の魔導師って奴になって、世の中すべてに復讐を誓い、実行するだろうな。
俺、魔法は使えなくても魔素は使えるんだから。
魔素を溜め込んだコンデンサはいくらでもあるし、呪文は蝋管式の記録機械で各種記録済みだ。それも最上級のそれらを持ち出せば、世界のすべてを焼き払うことだって……。
「……ナルタキ殿、ナルタキ殿!」
「えっ!?」
「なぜそのような顔をされて、黙っていらっしゃるのですか?」
気がつくと、目の前にルーの顔があった。
「ルー以外の誰かじゃダメなのでしょうか?」
俺はそう聞いたけど、真っ先に首を横に振ったのはルーだった。
「私はグループLですよ」
そう言われて思い出した。
ルーは、この世界が復興されるとき、王様と魔術師さんたち、技術者さんたちとギルドを横断的に結ぶ役割を果たしていたんだ。その有効性たるや……。ああ、双海と菊池もルーと同じ仕事しているんだな。
そうか、だからルーは行くと……。自分であれば、ダーカスを始めとするこの世界のことについて判断ができると。逆に、自分でなければ双海と菊池に対抗できないと、そう思ったんだ。




