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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第三章 電気工事士、がんばるぞ

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第18話 ルーの策


 ルーの言葉に、王様も同意した。

「そうなのだ。

 そこについても前々から余はずっと気にしていた。ダーカスが本郷殿の両親に不要な悲しみを与えてしまっているのだからな。だが、今回の判断はそのような甘い根拠からではない。

 本郷殿を生かしたこの世界の治癒魔法をも、取引材料にできるということだ。本郷殿はその治癒実例となる。

 そして、これで双海殿と菊池殿は、こちらの手の者同然と言ってよくなる」

 そこまで言われて、俺は理解するために考え込んだ。


 ……そういうことか。

 日本に「大使館」を作り、治癒魔法というものがあると、そしてその治癒実例もあるとなったら……。しかも、即時性がある。病人も怪我人もすぐにその場で治ってしまうとなったら……。

 治療希望者は世界中から殺到し、とんでもない行列をダーカス大使で魔術師でもあるルーの前に作るだろう。そして、ルーは魔素のコンデンサを向こうに持ち込めば、1日に100人以上の治癒ができる。


 もしかして、呪文の目的語を「この部屋の病人」とかにできれば、1000人だって可能かもしれない。

 だけどまぁ、そのためには魔素を貯めたコンデンサの大量輸送が必要になるから、実現性は低いけど。こっちの世界が立ち行かなくなっちゃうしね。


 ともかく日本政府は、「大使館」の混乱を避けるために、お役所が1つ必要になるほどの対応が必要となるだろう。で、その担当は、さしあたっては双海と菊池だ。発言力を大きく増した2人は、混乱を避けるためにルーの言いなりになって日本政府と交渉してくれるだろう。

 しかも、病人は数が多い。この問題は永遠に片付かないし、「病人のため」を盾にとったルーの発言力は永遠に増すばかりだ。世論は圧倒的にルーを支持し、ダーカスは有利なんて立場じゃないな。圧倒的じゃないか。


 しかも、医学とはいえ、魔法技術の盗用による軍事転換が怖いから、最初から味方同士と規定する同盟をするのが条件としたら……。日本国内の「軍事同盟」反対派も表立っては反対しにくくなるし……。

 こういうとき、魔法の効果ってとことんスゲーな。


 だけど……。

「だけど、コレ、既存の医学やっている人たちから猛反発喰らいませんか?」

 俺の質問に、ルーは首を横に振った。

「そうはならないでしょう。

 まずは1日に100人以上治癒したとしても、ナルタキ殿の世界の規模が大きすぎます。100人の病人のうち、99人は従来の医学に頼るしかありません。1000人だとしても、話はそうは変わらないでしょう。

 それに今さらの説明ですが、治癒魔法とは生き物の身体を元の正常な状態に戻す魔法です。したがって老化は防げませんし、遺伝子疾患にはまったくの無力です。そのような病気に対しては、既存の医学の方がはるかに効果的です」

「……なるほど」

 まぁ、そうだな。


 俺が元々いた町の病院だって、えげつないほど混んでいたもんな。あの混みようが日本中で展開されているんだから、100人や1000人くらい減っても焼け石に水ってなもんだろう。

 ……治癒魔法は、俺のいた世界だと、極めて希少価値が高くなっちゃうんだなぁ。人口が多いってのは、それだけで大変なんだ。

 ああ、ついでに思い出したよ。この世界に来てすぐのとき、ルーに無理やり治癒魔法を唱えさせて二日酔いを治したのは、恐ろしく贅沢なことだったんだよな。


「となると、こちらからもう1つ、『軍事同盟』が必要だって話ができるんですけれど……」

 ふと思いついて、俺は提案する。

「なにかな、ナルタキ殿」

 王様の問いに俺は答えた。

第19話 大臣の懸念

に続きます。


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