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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第三章 電気工事士、がんばるぞ

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第17話 王の根拠


「なに、簡単なことよ」

 王様はそうこともなげに言う。

「ダーカスからの返答次第で、双海殿と菊池殿は板挟みも先方でのより使える駒としての評価を受けるかが決まる。

 ナルタキ殿の世界の言葉だが、『交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が有能なら ば何一つ与えず返せ。交渉の為に隣国から使者が来て、もしその者が無能ならば大いに与え、歓待せよ。そうすれば、隣国では無能な 者が重用され、有能な者が失脚する』と言うらしい。

 今回は、それの逆を行う」

 ……そんな言葉があったんだ。


 俺は知らなかったぞ。どーもみんな、王宮図書館で本を読むのが早いんだよね。俺も読もうとは思っているんだけど、なかなか追いつけ……。だって眠くなっちゃうんだもんな。コーヒー豆も出回りだしているけど、こっちでは元々がエディ王室の門外不出の飲み物だったから、生産の絶対量がなかなか増えないんだよ。


 で、俺のそんな横道に入った思考にはお構いなく、ルーが言う。

「片桐且元(かつもと)大蔵卿局おおくらきょうのつぼねですね」

 それを聞いて、俺はますますわけがわからなくなった。なんでみんな、俺より日本史に詳しいんだよ?


「そのとおり。ナルタキ殿の世界の故事だ。

 豊臣からの和解の使者が、片桐且元と大蔵卿局の2人だった。徳川家康は、その2人に正反対の対応をした。その結果、良い知らせを持ち帰った大蔵卿局は重く遇され、悪い知らせを持ち帰った片桐且元は、賤ヶ岳(しずがたけ)七本槍の1人でありながら冷遇されて大阪城から退去し、結果として豊臣は大きく力を削がれた。

 斯様(かよう)に、これは効き目のある手なのだ。そしてこれは、逆に使っても有効なはず」

 さらに王様が力説し、大臣は納得の表情になった。小声で言うけど、俺も納得した。


 で、俺は、100年も前から知っていたって顔しながら言った。

「双海と菊池の日本での立場を上げてやることで、私と個人的つながりのある2人の発言力を増し、ダーカスの代理人にしてしまえということですね。

 ですが、それほど甘いものでしょ……」

 と、ここまで言いかけて、さっきのルーと王様の会話を思い出した。「ルー、そなた、覚悟はあるのか?」「娘のセナはもう、独りで生きていけますから」ってやつ。ここでいきなりその会話の意味が俺にも理解できた。電球が頭の横でぴこんって光ったみたいに。


 俺は言いかけた言葉を強引に軌道修正した。

「ですが、それほど甘いものでしょうか。軍事同盟の手土産をもって、ルーを大使として日本に送り込むにしても、双海と菊池が……」

「そこは、本郷殿を使うのです」

「は? ……そういうことだ」

 俺の理解はここで止まった。

 どういうこと?

 ルーはなにを考えているの?


 でもとりあえず、あとはルーが説明してくれることに期待して、俺は「そういうことだ」と知ったかぶった。説明してくれなかったら、この会議が終わったあとにルーを問い詰めよう。「始元の大魔導師」様は、デクノボーなんだからな。そんな二重三重の先読みにはついていけないんだよ。


 そんな俺の考えを知ってか知らずか、ルーは補足説明をしてくれた。

「本郷殿は家族を残してこちらに来ています。その際に事故があったため、向こうでは死者扱いです。戸籍等もすでに死亡になっているとか。そして、本郷殿の妻と子以外は、そのことを知りません。本郷殿の老父、老母は未だに悲しみの日々を送っています」

 うん、それは知っている。

第18話 ルーの策

に続きます。

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