第11話 王命果たすべし
「なら話は早い」
そう言って、王様は立ち上がった。
「大臣、先方に対し、すぐに『魔術師の服』の布地の可及的速やかな複製の依頼も併せて行うのだ。王名による公文書として、正式にだ」
「御意」
大臣が答えた。
「筆頭魔術師殿。ルイーザの先ほどの案を受け、リゴスの魔法学院に対し、2つ頼みがある。『魔術師の服』の複製が本物と同じ効果を発するかどうかの検討が可能か、が1つ目。
2つ目が、『魔術師の服』を素材として扱う技について検討をお願いしたい。『始元の大魔導師』殿が、円形施設内部の法具に使われていた痕跡があると申していたではないか。今の円形施設にはなんの足しにもならぬやもしれぬが、それでもいにしえの技を突き止めておくは必要なこと。そこからさらになにか新たな技が生まれるやもしれぬ」
「御意、申し伝えます」
ヴューユさんの返事に、王様はため息をついた。
これ、こっちの世界で、あまりに影響が大きいことに今さらながらに気がついたんだな。
それでも王様は続けた。
「まだまだ魔素についても、考えるべき余地があったと思う。魔法学院のラーゼスであれば、今の話から『魔術師の服』の布地の活用について、我らの想像のさらに先のことを考えつくやもしれぬ
また、このことにつき、リゴスの王にも話を通せ。彼の御仁にないがしろにされたと思わせてはならぬ。当然、他の王にも配慮し、事の次第を伝えよ。貿易品目についても検討いただきたい、とな」
「御意」
ヴューユさんが答え、大臣も答えた。各国の王様に公文書を出す分の仕事は、大臣の管轄だしな。
「ナルタキ殿。ナルタキ殿の世界につき、改めて話を聞かせていただきたい。先方の双海殿と菊池殿についても聞かせてもらいたいのだ。
おそらくは、ルイーザの意見、ナルタキ殿の世界を見てきたからゆえに生まれたものであろう。そちらの複製及び大量生産について、聞かせてもらいたい。余もおおよそは理解しているつもりだったが、改めて聞く必要がありそうだ」
「わかりました。ですが、それにあたり、一度召喚をお願いしたいのです。私の向こうの世界の部屋にある卒業アルバムを。これを見れば、双海と菊池について、もっと思い出せると思うのです」
「ルイーザ、ナルタキ殿のこの頼みについて対処を」
「御意」
ルーが答え、俺も合わせて答えた。
「そうだな、あとできることは……。
エモーリとスィナンも、魔素の扱いはわかっているはず。エモーリは魔術を記録する機械を作っているし、スィナンは円形施設の修理に携わっていたからな。こういうことは、早めに広く投げておかないとどうにもならぬ。
ギルドのハヤットにも声を掛けておけ。魔術師の仕事の配分、今はハヤットの管轄ゆえにな」
「わかりました。必要そうなところには、すべからく伝えておきます。エモーリとスィナンであれば、ナルタキ殿の世界へのダーカスからの輸出品目、さらに考えてくれるでしょう」
ルーが答えて、王様は満足そうに頷いた。
「それでは先方からの回答が来次第、次の会議を招集する。念のために言うが、内政と異なり外交は失敗できぬ。それを胸に、次の会議まで各々、励め。
王命果たすべし」
俺たち、揃って右手を胸に当てた。
第12話 思い出話
に続きます。




