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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第三章 電気工事士、がんばるぞ

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第7話 回答期限


 王様は肩をそびやかして言う。うん、高い声でも、こうすると威厳が出るなぁ。

「勝てない相手と結ぶとは言っておらぬぞ。

 どっちが恩を高く売れる相手か考えてみよ、と言っておるのだ。

 自らの力で勝てると思っている者に助力など申し出ても、次の標的にされるが関の山。だが、不利なときに助けおうた仲は、先々まで裏切りとは無縁ぞ」

 ああ、なるほど。

 尻馬に乗って同盟したって大切にされないってのは、戦国時代にも良くあったことだったな。歴史の授業で教わった、親藩とか譜代とか外様とかのことだよね。先行き不透明な時代からずっと味方だったら、当然のように大切にされるんだもんな。


「それに、ナルタキ殿の世界からの書簡には、ナルタキ殿の世界の武装についてはまったく書いてはおらぬ。これを無力と取るは、あまりに早計であろう。地上に太陽を呼ぶ技術と、こちらの魔素の技術を混ぜ合わせたら、どのような新たな技が生まれるか想像もつかぬ。だが、片やどれほど超越していたとしても、敵が持つは所詮魔素の技術なのではないか。

 となれば、いつかは自力で得られよう技であろうし、それを得たとても先々での爆発的発展は望めぬ」

 なるほど、納得です、王様。


「それにな、武装について書かぬは、脅しに読めぬように礼を尽くしたものかと余は思う。書かれずとも、私たちはナルタキ殿から聞くことができるからの。それも相手は良くわかっているはず。

 それに対し、ナルタキ殿の世界に攻め込んだ敵のやり口は、奇襲といってよい。礼のかけらもない。話の通じぬ敵であれば、恒久的和平は無理であろう」

 おおお、王様、ありがとうございますですぅ。

 これで元いた、生まれ育った世界に顔向けができます。まぁ、いじめられもしなかったけど、いい思いもたいしてなかった世界だったけど、それでも俺を作ってくれた世界だもんね。


「それはわかりました。王の判断は良しとして……」

「だからといって、ナルタキ殿の世界に(くみ)しすぎるのは良くないと?」

 大臣が再び王様に話しかけたけど、王様はそれを遮るようにして逆に聞き返した。

「なんらかの保険は、掛けておいた方が良いと臣は思います。与すこと自体については、どうこう言うつもりはありませぬ」

 大臣の返答は、それはそれで俺にも納得できるものだった。「保険」ってのは、俺の世界から得た知識と制度なんだけどね。


 俺のいた世界に味方してもらえるのはありがたい。だけど、それでこの世界が滅びるのは俺だって避けたい。申し訳なさすぎるもんね。

 王様、ちょっとの間考えて、再び大臣に聞いた。

「ところで、回答はいつまでだったかな?」

「10日の間と」

「では、まずは筆頭魔術師殿の案による返答を、次の便で送れるようにしておけ。その答えが来なければ、こちらとしても返答ができぬ、としてな。その返答を待つ間に、大臣の懸念を拭えるような材料はあるか?」

 王様の問いに答えたのはルーだった。


「今の我々にできることは少なく、逆にそれがゆえに手は決まってしまっています」

 ルーの言葉に、王様は前かがみになった。

「聞こうではないか。ルイーザの考えを」

「まずは大臣の懸念、完全なる払拭は無理かと。なぜなら。交渉ができぬ相手とは、そもそも取引ができませぬ。その上での保険の話となります」

「それは当然のことだな」

 みんなも頷いたけど、ルーの話はまだまだ前提だな。

第8話 ルーの案

に続きます。

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