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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第二章 人外のふたり

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第39話 バディ

第39話 到着

の予定でしたが、加筆しちゃいました。


 双海の言うとおりで、鳴滝に(やま)しいと感じることがないとしたら、可能性は2つだ。

「異世界が複数ある可能性と、鳴滝が騙されている可能性だな」

 端的に菊池が言う。


 すなわち、蒼貂熊(アオクズリ)が送り込んでくる異世界と、鳴滝が行った異世界は違うところだということだ。そしてもしもこの2つの異世界が同じだとしたら、鳴滝は完全に騙されているということになる。

 鳴滝は、この世界を滅ぼそうなどと考える人間ではない。ただ、黙々とどこかの世界を救おうとするかもしれないが、その逆はありえない。


「まぁ、鳴滝なら騙されても仕方ない。おどおどしているくせに、疑い深くはないんだよな、アイツ」

 双海の言葉は明快だった。明快だったのだが……。

 双海の言葉は希望的観測を多分に孕んでいた。


 ただでさえ異世界なんてものへの開口部が開いて、世界はすったもんだしているのだ。その異世界がいくつもあるなんてことになれば、人類の作り上げた人類の政府組織は処理能力のキャパを越えてしまう。

 そういう意味で、無意識にも、鳴滝が騙されている可能性の補強をしてしまっているのだ。鳴滝が騙されやすいのは事実であっても、異世界の数とは関係ない。このあたり、鋼鉄のように鍛え上げられていても、双海もやはり人間なのだ。


「だがな、鳴滝はともかく、本郷が騙されるだろうか?」

 菊池も人間だ。だが、互いに弱いところを補い合うのがバディである。

 菊池は自称しているとおり、歴史を専門としている。組織に受け継がれた、過去の文化財も管理している。それはもう、歴史の教科書をいくつも書き換える証拠となるようなものだ。そんな菊池は、繰り返されてきた人間の失敗を熟知している。

 その分冷静さが勝り、組織を率いるのに必要な「熱さ」を伴うカリスマには欠ける。


 とはいえ、この質問自体に違和感を感じたのは、この場の全員だった。

「本郷は交通事故死している」

 双海の断言に、菊池はそのまま疑問を被せた。

「それは本当なのか?」

 と。

 一瞬、ヘリコプターの轟音の中なのに、静寂が場を支配したと思うほどの緊張が機内を漂った。


「所轄に調書があるぞ」

 双海がそう言うのに、菊池は平然と返した。

「欺瞞で死体を残して姿を消すなんて、基本中の基本だろうが?

 俺たちが調査したわけでもないのだから、疑うのは当然だ」

「……DNA鑑定もしてあった」

「騙す手段がないわけではない。

 それに交通事故が本当だとしても、異世界の医療技術がわからない以上、死んだと決めてかかからない方がいい。身体が半分になったらこちらの世界では死だが、異世界では回復できるかもしれない。内山さんの言うことが正しければ、そしてそれは正しいと俺は思っているが、単純に身体が半分になるというぐらいだったら、薔薇十字の秘儀だったら回復させられるかもしれないじゃないか。

 さっきのヨシフミ氏のカップ洗いの行動を見れば、思い込みの危険は十分に自覚したはずだ。あれを目の当たりにしたら、この世の物理法則なんぞに思考が縛られていたら危ないって思ったろうに」

「……否定はできないな」

 その感情を絞り出すような双海の返答に、菊池は自らも同意のため息で応え、話し続けた。


「そもそもだ。

 本郷の残された妻が金売買に携わっているということは、鳴滝との縁が切れていないということだ。となれば、いくら行方不明の鳴滝でも、金の持ち込みのときは本郷の残された妻と接触していなければならない」

 ここまで聞いていたヨシフミは、さすがに黙っているままでいいのかという気がした。

第40話 到着

に続きます。


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