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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第二章 人外のふたり

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第36話 大車輪


 その時は、双海たちに生気(プネウマ)などという知識はなかったし、そもそも諜報の世界にそんなものを持ち込むことなど考えられなかった。

 だから、諜報のセオリーに従って、ラクスマンうんぬんは全部鳴滝のウソだと判断した。過去において実際に、どこからかの出物の金をロシアからと偽った詐欺事件があったのだから、極めて真っ当な判断だったのだ。


 もちろん、組織としてそれなりの裏取りはしたし、その結果と矛盾しないつじつまの合う説明もこじつけた。

 鳴滝が売りに出した異常に純度の高い金については、アメリカの軍産官学すべてから関わりについて否定(ネガティブ)という回答が来ている。また、鳴滝にどこかで自力で生きようとしている痕跡もあったこと、同行の女性の身元が割れずとも鳴滝が連れて逃げている線もあったことから、双海と菊池はあえて成滝を見逃すことにした。

 もちろん、そのために双海と菊池はロシア大使館(まみあな)に誤誘導のための情報を1つ流している。善良な元同級生への(よしみ)のためだ。


 なぜなら、この問題を追求することで、東京湾のどこかに鳴滝とその女性の死体が上がるという事態を避けるため。次に、ロシアからの非公式協議でその金を返せという交渉が始まると困るからでもあった。ここまで精製した金なのだから、軍用と考えざるを得ない。それをそのまま渡せるはずもないではないか。



 だが、内山瑠奈から得た生気(プネウマ)の知識と蒼貂熊(アオクズリ)が入り込んでくる異世界への開口部、この2つを組み合わせたら、鳴滝の件はまったく違う様相を呈する。

 鳴滝はどこか別の世界に行き、そこでは生気(プネウマ)が豊富で結果として金の入手が極めて容易、ということだ。

 そうなると、同行の女性も異世界の人間ということになる。さらにそうなると、異世界との行き来の経路が身近などこかにあるということにもなる。

 そして、その異世界の地は文明がここほど進んでおらず、生活物資についてはこちらの方が進んでいる。でなければ、そこまで買い物をする必要はなかったはずだ。


 一瞬でここまでの考えをまとめた双海と菊池は、瑠奈とヨシフミを放ったらかしにして、大車輪の勢いで部下たちに指示を出しだしていた。

 双海の組織は、各省庁から警察、自衛隊に及ぶ。その総力を上げねばならないという判断だった。


 その指示は、以下のようなものだ。

 鳴滝の身辺を再度洗い出すこと。鳴滝は、本籍地が市役所になっている。つまり、出生に事情がある。そのため、肉親とされる人間が1人もわかっていない。可能ならば、そこまで遡ること。

 鳴滝のクレジットカードの使用履歴確認。さらに、銀行口座の履歴確認。

 鳴滝のアパートについては、即座の令状発行と家宅捜査。

 異世界への通路があるはずなので、その位置の洗い出し。

 鳴滝と共同で会社経営していた本郷の、未亡人と息子についても身辺を洗うこと。その結果次第で、こちらも令状発行と家宅捜査。こちらについては、異世界との交流の証拠保全のために、どれほど拙速でも構わないと注を付けた。金を売っていたりしたら、即時の身柄拘束と家宅捜査になる。ネットでの買い物履歴等も、もちろん押さえるよう指示を出している。ほぼ行方不明の鳴滝に比べたら、居場所がはっきりしているのだから当然のことだ。

 

 次々と下される指示を聞いていて、瑠奈とヨシフミにもなにが起きているのかの理解が追いついてきた。

 この国に潜んでいる異世界絡みの存在は、瑠奈とヨシフミ以外にもいたのだ。

第37話 関与確定

に続きます。

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