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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第二章 人外のふたり

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第23話 取引


「ゆっくり2人で相談するがいい。

 我々は君たちに協力を求めたい。だが断るのも自由だ」

「断ったら殺すの?」

「殺さないと言っても、信用はするまい?」

「すべてを聞いていて、生体モニターまでしている相手ですからね。できないわ」

 瑠奈はそう言い切った。


 今の回答は、ヨシフミに聞かせるためという意味合いが濃い。見張られているぞ、と伝えたのだ。だが、それでもヨシフミの姿を見て安心したのは事実だった。


 ヨシフミも、瑠奈の姿を見て安心したらしい。

「どうする?」

 目の色に不安はあっても、口調まではビビっていない。そこに限っては瑠奈は安心した。だが、事態はより悪くなった。おそらくは、瑠奈とヨシフミを会わせることで、より多くの情報を得ようというのだろう。

 くやしいが、どうしようもない。話さないわけには行かないし、話せばすべてを聞かれてしまう。


「とりあえず、シャレにならない相手よ。なにがあろうと、私かヨシフミのどちらかでアラートは出さないと……」

 どこに出すかは言う必要がない。ヨシフミは良くわかっている。

「それなら出した。助けに来てくれるかはわからないけど、守りはすでに万全」

 ヨシフミの返答に瑠奈は安心した。


 もちろん、アラートが出ているはずはない。でも、今の会話をを聞いている監視者たちはそうは決めつけられないはずだ。相手の組織の規模はわからないけど、一定の力を削ぐことにはこれで成功するはずだ。

 ヨシフミはよくわかっている。瑠奈の心配は杞憂だった。ヨシフミは一人でも戦える。

 おそらくはなにもせずにここまで連れてこられたのも、瑠奈の安全の確保のために、合流を真っ先に考えたからだろう。

 

「で、協力って、する気?」

 ヨシフミの問いに、瑠奈は答えられない。なぜなら、どんな一言も口に出した瞬間に利用されてしまうだろうからだ。

「うーん、わかんない」

 これが、悩んだ末の無難な瑠奈の返答である。我ながら、芸のない曖昧な答えだ。


「協力すれば、ここから出られるかな?」

「協力するという証拠に、知っていることを洗いざらい話す必要があるかもね。それに、2人同時には出られない。私なら、どちらかを人質にして、裏切られたときの保険にする」

「洗いざらいって……。悪用されたら困るし……」

「悪用するような相手ではないみたいだけどね。相手の名乗りが信じられるならば」

「なるほど。

 ここで話は堂々巡りになるわけだ」

 ヨシフミはここで、瑠奈の置かれた立場まですべてを理解したようだ。


「相手の名乗りが信じられるならば、についてだけど……。

 協力関係を結ぶには、なにが必要なんだろう?」

 ヨシフミの問いに、瑠奈は答えられない。他人を信用することは難しい。ましてや2つの秘密結社の人間が、出会い頭にお互いを信用するのは不可能と言っていい。


「出てきてくれませんか?

 話があります」

 ヨシフミが大声を出した。ヨシフミなりに、考えついたことがあるらしい。で、それはこの環境で瑠奈に話したら効果が薄くなってしまうようなにかなのだ。


「なにかな?」

 スピーカーを通しての声が響いた。当然のことだか、2人の会話はしっかり聞いていたらしい。

「取引しませんか?」

「取引の申し出自体は歓迎だが、中身次第だな」

 瑠奈は思う。まぁ、そのとおりだ、と。

第24話 Give and Take?

に続きます。

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