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大食の侵襲 -異世界からの肉食獣-  作者: 林海
第一章 相馬県立鷹ケ楸高校

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第121話 閑話休題、先行隊1


 地域防災センターにたどり着いたあと、岡部は真っ先に食料と水を探した。

 生物にとって生存になにが必要か、岡部はよく理解していたのだ。


 探し物はすぐに見つかった。

「各クラス、代表は食料を取りに来てくれ。水は重いから、何人か補助も必要だ」

 そう声を張り上げると、各クラスの学級委員が列を作った。

 岡部が自発的にこのような行動をしたのは、高校では初めてのことである。蒼貂熊(アオクズリ)は岡部の性格を変えたのだ。岡部自身、自覚もしている。そして、岡部の見るところ、並榎を始め皆そうなのだ。


 岡部の横で行田が、無言で配布を手伝ってくれた。

 だが、今まで岡部と行田はまともに話したこともなかった。同じクラスにはなったことがないし、生物部と物理部では部活上の交流も生じなかったのだ。


「さて、ここで食って寝ているだけで済むと思うか?」

 岡部のいきなりの問いに、行田は首を横に振る。

「済むかもしれない。済まないかもしれない。どちらに賭けると聞かれれば、賭けたくない方に、だ」

「だな」

 そう話に割り込んできたのは細野だ。


「考えたくはないが、並榎たちが全滅する可能性はかなり高い。それに備えるのは当然のことだ」

「それはわかるが細野、今食い物を探して歩いた範囲では、当然のことだが武器なんかなかったぞ」

 岡部の問いに、行田が答える。

「学校にもなかったじゃんか。だけど、俺たちはなんとかしたんだ。ここは学校よりはるかにいろいろなものがある。工夫のしどころはあるはずだ」

「……それもそうだな」


 そう呟いた行田は、災害用の乾パンを咥えたまま立ち上がった。

「なんかあるか、探してみる」

「俺も行こう」

 水のペットボトルをズボンのポケットに無理やり突っ込みながら細野が言う。

 岡部も無言で立ち上がっていた。


「食い物以外では、簡易トイレとか、懐中電灯とか、ラジオとか、そんなものばかりで武器になりそうなものは何もないぞ。そもそもある程度の大きさのあるものが少ない。簡易トイレと台車が双璧で、あとは細々したものばかりだ。あとは大きくても避難所開設のときのパーテーション用くらいで、箱いっぱいに布が入っている……」

「その布でぐるぐる巻きにできないか?」

 細野のため息混じりの声に、岡部がなんとか返す。その岡部も、自分が言っていることが名案だとは思ってはいまい。


「ああ、できるさ。蒼貂熊が巻き終わるまでじっとしていてくれたらな」

「けっ」

 行田の皮肉交じりの答えに、岡部は唾を吐く勢いで顔を背けた。苛立ちを隠そうともしない。これだけの物資がありながら、武器になりそうなものがないことに苛立っているのだ。


「だが、ちょっと待て。

 布なんて、それだけじゃ何の役にも立たない。箱にそう書いてあるから俺たちもパーテーション用と理解しただけで、この布だけ渡されたら途方に暮れていた。つまりさ、パーテーションになるってことは、この布に組み合わされる骨組みがあるってことだ」

 行田の問いに、岡部の首がぐるりと回った。ついさっきの殺気立った対応が嘘のように表情が輝いている。


「そのとおりだ。絶対ある。探すんだ。まずは箱の底まで。

 骨組みを組み立てるってことは、ジョイントとか全部揃っているはずだろ?

 短時間でバリケードかなんか作れるかもしれない」

「岡部、一足飛びに上機嫌だな。だけど、そこまで期待できるかはわかんないぞ。骨組みったって、樹脂かもしれないし」

 そう言う細野の声は、すぐに行田の声に打ち消されていた。

当たり前っすがw、第122話 閑話休題、先行隊2

に続きます。

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