095 キーッキーッキーッ
暗視が使え、尚且つ近接戦闘職のオネエさんが先頭。
同じく暗視持ちのツユがしんがり。
そして懐中電灯を持ち、魔法職のロイを筆頭に、俺、リメア、カゲト、メロエ師匠が暗視持ちの二人に挟まれる形の陣形を取っていた。
「キーッキーッキーッ」
「うひゃあ!!」
「ミツル、ビビり過ぎだ。ただのコウモリではないか」
ただのコウモリだぁ!? コウモリなんか殆ど見た事ないよ!
「相変わらずビビりねぇミツルは」
「俺の住んでた所じゃ結構見かけたぜ? コウモリ」
それにしたって怖いよ。逆になんで皆は大丈夫なんだ? あれか? 危険察知能力が欠如しているのか?
「あ、ミツルったら今失礼な事考えてるね?」
「そうだよ。てか何で分かったし」
「いつも言ってるじゃない。アンタすっごく顔に出やすいんだから」
嘘でしょ? 俺、そんなになのか?
「俺、やっぱりすごい顔に出てる?」
「うん」
もうやだ。俺絶対嫌いな人の前で嫌な顔してるよ。
本当、悪い癖だな。今すぐ治したい。
「てかアンタ『そうだよ』って失礼ね!」
「だって何で皆そんなに精神強いの!? 俺今怖くてちびりそうだよ!」
「大丈夫だよ。ミツルがお漏らししても鼻で笑ってあげるから」
「何が大丈夫なのさ!」
「お主ら、あまり大声を出すな!」
やべっ
「「すみません……」」
つい大声を出してしまった……。
「賑やかで楽しいねぇ、ロイ君」
メロエ師匠がフフッと笑っている。
「そうか? 俺は喧しいとしか思わないが」
「相変わらず連れねぇ奴だぜ」
「お、おい! くっつくな筋肉ソード!」
ロイがカゲトを呼ぶ時のあだ名、ロングソードだったり筋肉ソードだったり、多種多様なんだよな。
「ロイ君ツンデレだからぁ、本当は嬉しいんだよぉきっとぉ」
「そうなのか! うりうりぃ、可愛い奴めぇ」
「んなっ……やめろ! 暑苦しい!!」
賑やかだなぁ、ほんと。
「……なんか私、ふと思ったんだけどさ、この洞窟ちょっと変じゃない?」
リメアが疑問を呈する。
「変、と言うと?」
「何と言うか……その、歩きやすいというか……」
「うーん、言われてみればそうなのかな?」
地球で生活してた時に洞窟観光とか行ったこと無いから、測りかねるな。
でもテレビとかで見た『幻想的な洞窟』というよりかは、なんで言うんだろ……嫌に規則的というか? やたら歩きやすく一直線に長いというか……。
「それには私が答えよう」
ダンジョンオタクのツユが声を上げる。
「このダンジョンは元々、アンデッドが多かったと書いてあったな?」
そうだったね。
「アンデッドは基本的に暗い所やジメジメとした所を好む。そして中には、自らその環境を整える種もいる」
「それってまさか、スケルトンとかが自分で掘ったって……こと?」
「ああ」
穴を掘るスケルトン……。
ちょっと面白いかも。
そんな感じで、せっかく恐怖が和らいだのだが。
「皆、静かに。ツユちゃん、前に来てちょうだい」
オネエさんの声に、場が緊張に包まれる。
「どうした」
「あっち、いつものやつお願いできるかしら」
「分かった。──空間把握」
ツユが、お馴染みの魔法を前方に放った。
魔力の波動が放たれる。
「捉えた。恐らくあれは……ミノタウロスだ。二頭いるぞ」
ミ、ミノタウロス!?!?
あの、牛頭のヤバい神話生物ですか!?
「こちらには気づいていないな。魔力の低い奴らは先制攻撃が仕掛けやすくて助かる」
ツユさんったらなんて呑気なことを言うんだ。
ツユはバッグからなにかを取り出す。
「対獣系魔物用のマジックアイテムだ」
ツユが錬金術で生み出したアイテムだ。
「これの命中を合図に、一斉攻撃を仕掛けるぞ」
「「「「「「了解」」」」」」
ツユを先頭に、俺達はミノタウロスへと近づいた。




