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082 頼もしいなぁ♡

 道中、ツユ(と、おまけに俺)はオネエさんに、エアレーについて解説してもらっていた。


「そうなの。だから、エアレー自体はそんなに脅威じゃないのよ。問題は、その魔力に釣られてやってくるバジリスクとか、コカトリスとかなの」

「ほえぇ、そんな魔物が寄って来るのか。ベルンからここに来るまでの道中、遭遇しなかったのは幸いだった」


 …………なんか、オネエさんとツユが頭の良い会話をしている。

 バジリスクとかコカトリスとか、良く分からない魔物の名前がいっぱいだ。

 でも名前だけは日本に居た時にも聞いた事があったな。

 なんだっけ、鶏と蛇が合体した生き物とか、そんなだった気がする。

 てかそれが正しかったとして、そんなヘンテコ生物が脅威なのだろうか。


「怖いわよねぇ。私達じゃあ解毒できないから、万が一そいつらが出てきたら、即刻撤退するわよ」

「そうだな……」


 え、なに、解毒!? 鶏、毒放つのかよ。

 隣で頷くだけの機械と化していた俺。

 毒という単語を聞いて、密かに驚愕する俺を他所に、オネエさんとツユの会話は続いた。


「ロイ君ロイ君、君の杖、ゴツゴツしててかっこいいね!」

「そ、そうだろ? …………てか近い! 離れろ!」


 後方では、おねショタがわちゃわちゃしている。


「カゲト君は、ナイトだったよねぇ」

「おう!」

「頼もしいなぁ♡」


 前方では、ぶりっ子がカゲトを口説こうとしている。

 …………いや、誰に対してもああいう話し方なので、もしかしたらメロエさんにそういう気は全く無いのかも知れないが。


「そうそう、それで思い出したのだけれどね。ツユちゃん、ミツルちゃん、この間──」


 言いかけて、オネエさんは勢いよく後ろの茂みに視線を移した。


「…………どうした?」

「なにかありましたか?」


 俺達の疑問に。


「ツユちゃん、あっち方向に空間把握」


 何かを察したツユは、何も言わず、言われた通りに魔法を発動した。

 発せられた魔力の波動は、木々を掻き分け拡がってゆく。


「…………何も居ないな」


 少しして、ツユの返答。


「あら、そう? 確かに気配を感じていたのだけれど…………。ごめんなさい、勘違いだったみたいね」


 少し前方を進んでいたメロエさんとカゲトが、戻ってきた。


「ジェーンちゃんが間違えるなんてぇ、珍しいねぇ〜」


 メロエさんが、ゆったりとした口調で言う。


「本当に居なかったのか?」


 今度はロイが、ツユに問うた。


「あぁ。念の為もう一度やってみようか」

「いや、大丈夫。魔力は温存しておいた方が良いものね」


 オネエさんはツユの申し出を断ると。


「さ、気を取り直して、エアレーの討伐に向かいましょ」


 再び、歩き出す。

 俺達はオネエさんを追って、草原へと足を進めた。



 ***



 少し歩くと、やがて木々の無くだだっ広い草原へ出た。

 ディテクの町に来る途中に通った草原だ。

 川を挟んで奥、目視できる範囲にぼんやりと、生物の集団が見える。


「ここからでは何頭居るか分からんな……。空間把握で……」


 ツユが群れの方向に掌を向ける。


「いいえ、やめた方が良いわ。彼ら、魔力に敏感なのよ。気づかれちゃう」

「じゃあどうすれば良いんでしょうか……?」


 俺は訊いた。


「そうねぇ……メロエちゃん、頼める?」

「りょうか〜い!」


 メロエさんが手に持った、アクセサリーがジャラジャラとついた杖を器用にクルクル回すと。


「ハイド・ザ・マジック!」


 俺達に、何かの魔法を発動した。

 それと同時に、体の内部に仄かな暖かみを感じる。


「これは……?」


 俺はメロエさんに訊く。


「体外に自然放出されてる魔力を抑える、認識阻害の魔法だよぉ〜。これで、魔力に敏感なエアレーちゃん達に気づかれないってわ・け♡」


 なるほど…………?

 なんとなく理解はした。理解はしたのだが、そもそも魔力が体外に自然放出されている事自体初耳である。

 でも確か、初めてコンマさんに会った時の凄い威圧感は魔力の放出によるものだった。

 あれってわざと放出してたんじゃなくて、自然に漏れ出る魔力の量を意図的に増やしてたって事だったんだな。

 今更ながら知る新事実である。


「この魔法、なんか暖かく《ポカポカし》ねぇか?」

「常に体から出てるものを、魔力の膜で塞いでるからね〜」


 メロエさんの回答に、ロイが補足する。


「この魔法な、使い続けるといずれ爆発するんだぜ」

「「「爆発!?」」」


 俺とカゲトとリメアの言葉が被った。


「ちょっとロイちゃん! 脅かさないの!」

「痛っ! チョップすんなし!」


 痛がるロイをスルーして、オネエさんは説明を続ける。


「理論上の話よ。一日中かけるわけじゃないんだから、心配する必要はないわ」

「なんだ、びっくりしたぁ」


 リメアが安堵の息を吐く。


「なんだお前ら、ビビってんのか?」


 ロイが挑発してくる。


「ビビってるよ!」

「ビビってねぇよ!」

「ビビってないわよ!」

「やっぱり、ビビって…………なんか一人、素直な奴が居たな」


 はい、俺です。

 正直者のビビりです。


「あ、そうそう、ミツルくぅん」

「なんでしょう?」

「バフの事なんだけどねぇ、今の魔法使ったまま重ね掛けしちゃうと魔力が漏れ出ちゃうから、いざ勝負! って時に発動してくれると嬉しいなぁ〜」

「了解です」


 エアレーの目の前まで、バフは使うなって訳ね。


「作戦はどうするのだ?」

「よし、じゃあ私の考えた作戦を話すわよ」


 皆がオネエさんの周りに集まる。

 それを確認したオネエさんは、説明を始めた。

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