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065 どうしよう。寝れない

「ねぇ、ミツル? まだ起きてる?」

「ん? うん」


 リメアに声をかけられ、答える。


「どうしよう。寝れない」


 どうしようったってなぁ。


「目を閉じて羊でも数えてれば、自然と眠くなってくるっしょ」


 俺は欠伸をしながら答える。


「羊を数えるのってね? 英語でsheepとsleepの発音が似てるからなんだって」

「へぇ」

「つまりだよミツル君。この世界の言葉で羊を数えても意味がないのだよ」

「じゃあ英語で数えれば」

「私の第一言語、英語じゃないし」


 いや、知らん。


「言語習得の神聖術とかでなんとかしなよ」


 俺は適当に返事をし、リメアと反対の方向に寝返りを打とうとして……


「アンタだけ寝るのやめてよね」

「うるさいなぁ。じゃああの二人と見張り続けてれば良いじゃない」


 俺は二人を呼ぼうと声をかけようと


「おー……」


 して、リメアに口を塞がれた。


「もごもご……なにするんだよ」

「ねぇ、せっかくだからツユちゃんとカゲトを観察してみない?」

「観察?」

「私達がいない時、どんな話してるか気になるでしょ」


 女神が悪い顔してる。

 でもまぁ


「気にならないって言ったら嘘になる」

「でしょでしょ。ほらミツル、何話してるか盗み聞きしてやろうじゃない」

「よし乗った」



 ***



「で、そんなアホな事をしていたから寝不足なのか」

「「はい……」」

「お前ら、もしかしなくてもバカか?」


 お前に言われたくない。

 ……とは、言えなかった。

 だって、実際にバカな事をしていたのだから。

 クソぅ。

 あの時リメアの口車に乗せられてさえいなければ……!


「今日含めてあと三日もあるのだ。その調子で大丈夫なのだろうな?」


 ツユが見定めるような目付きで俺達の事を見てくる。


「だ、大丈夫大丈夫! あっ、そうだ! 私これから天界に報告に行かないと。じゃあまた後でねー!」

「ちょっ! リメア! てめぇ!」


 …………逃げやがった。

 リメアが消えた事で、二人の視線が一気に俺に集まる。


「えっ、ええっと……。皆、朝ご飯にしよっか!」


 リメアが帰ってきたらどうしてやろうか。



 ***



 と言うわけで、俺達三人は朝ご飯の準備に取り掛かる。

 うさぎの皮を剥いで、丸焼きだ。


「ファイア」


 ツユの魔法が薪に点火し、燃え上がる。

 その上にうさぎ肉を吊し、某ゲームみたくクルクル回すのだ。

 少しすると、良い匂いがしてきた。


「芳ばしい……! じゅるり……」

「まだ食べるなよカゲト。リメアが帰ってきてからだからな」

「分かってるよ」

「ミツル、そろそろ良いのでは無いか?」

「そうだね」


 ツユに言われたので、クルクルするのをやめる。

 カゲトと息を合わせて、うさぎ肉をお皿に乗せた。


「四等分……と、思ったけど、リメア短剣も持っていっちゃったから切るもんないな」


 どうしたものか。


「俺のロングソードはどうだ?」


 いや、ロングソードはちょっと……。


「良いではないか、やってみよう」


 おっと、ツユさん。

 いつもの流れと違うぞ。

 いつもならツユがカゲトの暴走を止めるところだろう。


「良し! 持ってきたぜ!」


 そんな俺の心情など露知らず。

 カゲトとツユは、ノリノリで取り掛かる。


「せーのっ!」


 ロングソードが振り下ろされ、うさぎ肉が豪快に二等分される。


「よし、もう一回やるのだ」

「おっしゃ!」


 再び振り下ろされ、見事に四等分された。


「お前凄いな、剣捌きの精度」

「だろ?」


 まぁおいしい肉汁の部分かなり飛び散ってるけど。


「取り分けるぞ」


 ツユの指示に従って、お皿に取り分ける。

 最後に味付けをして、完成だ。


「随分と豪快だね」

「そこが良いんだろぉ?」


 分からなくは無い。

 あとはリメアが天界から戻ってくるのを待つだけだな。

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