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060 お前…………悪魔だよ……

 辺りが薄暗くなって来たので、俺達はこの木陰で夜を越す事にした。


「この倒木、ベンチみたいだな!」


 言って、カゲトが勢いよく座る。


「痛ぁ!」


 それを見てリメアが笑う。


「カゲトったらバカじゃないの? そりゃ硬いに決まってるじゃない!」

「そんな笑わなくたって良いだろ? このっ!」

「ギャハハ……ギャー! やめて、その気持ち悪い虫、私に近づけて来ないでー!」


 そろそろ陽も完全に落ちそうだな。


「暗くなったら用心するのだぞ。突然魔物に襲われる可能性もあるからな」


 ひぇぇ……。


「俺、テレポートで帰っても良い? 明日の朝には、ここに戻って来るから……」

「アドベルンに戻るのか? 別に良いぞ。だがその場合、我らは夜明けすぐに出発するから、お主は一人でディテクまで来い」


 そう言ってニヤニヤと笑うツユ。


「ご、ごめんごめん冗談だって。ここで寝るから置いていかないでぇ」


 ツユは俺を揶揄って遊びながらも、バックパックから懐中電灯を取り出す。

 そして二つの金属板を挿入した。

 辺りがほんのり灯る。


「なんかテンション上がるぅ!」


 リメアが騒ぎ出す。


「マジそれな! キャンプ見てぇだ!」


 便乗して、カゲトもはしゃぎだした。


「二人とも、魔物も出るんだから……」


 俺は二人を落ち着かせる。


「で、ツユ。夜ご飯はどうするの?」


 またおつかいを頼まれるだろうと思って訊いてみるが。


「狩るぞ」

「分かった。皆何が……え?」


 狩る?


「狩るぞ」


 俺が放心していると、再び一言。


「え、なになに? 狩猟? 良いじゃない! やりましょ!」


 リメアがツユの話に食いつく。

 狩猟ったって一体どうすんのさ。


「はいはいはい! 私に良い考えがあります!」


 な、なんだ? リメアがやけに食い気味なんだよなさっきから。


「実は新しいスキルを考えたんだ! 私にやらせて」


 ツユは少し考えた後。


「分かった」


 と承諾した。

 こうして、俺達はリメアに着いていく。


「お、いたいた」


 リメアが正面を指差す。


「なんだあれ、うさぎか?」


 カゲトの言う通り、見た目はうさぎだ。

 だけど……。


「カゲト、ここは異世界だよ? あれがただの"うさぎ"だと思うかい?」

「いや、ミツル。あれは……」

「ツユ、まだ言わないで」


 俺はツユを手で制すると。


「なぁカゲト、あの魔物の名前当てるゲームしない?」

「お! 良いじゃん! やろうぜ」


 お、乗ってきた乗ってきた。


「だからあれは魔物では……」


 何かを言いかけるツユの唇に手を当てる。


「まだ言わないで。よし、じゃあ俺から……」

「ちょっとミツル、早くしてね? 逃げられちゃう」


 さて……うーん……。

 見た目はただのうさぎなんだよなぁ。

 でもなんか耳が長いような……?


「ロングイヤーズラビットだ! ……どう?」

「ちがう」


 くっそぉ違ったかぁ!


「次は俺だな……ううう…………鼻がピクピク動いてるから、鼻が良い……とかか? ……グッドスニッファーラビット」

「ちがう」

「くそー!」


 遊ぶ俺達を見て、リメアが呆れたように言う。


「ねぇ、もう良い? あの子仕留めちゃって」

「もうちょっと待って! もうちょっと……」


 俺はリメアを引き留めるが。


「此奴らは放っておけ。仕留めて良いぞ」


 ツユに一蹴されてしまった。


「よし来た!」


 そう言うと、リメアはそろりそろりと木陰から顔を出す。

 そして、自分の前方に魔法陣を創り出した。

 暖かい光が、魔法陣から漏れている。


「なにそれ。なんか中入ったら回復しそう」

「シーッ! ミツル、静かに!」


 あ、はい。

 すんません。

 こちらに気づいたうさぎ(仮)が、一目散に逃げていく。

 ただ一羽だけが、リメアの魔法陣に興味を示した。


「クゥクゥ」

「よしよし、良い子ね〜。こっちよ〜」


 やがてうさぎが魔法陣の中に入ると……。


「ほっ!」

「ぷぅぅぅ!!!」


 魔法陣が煌々と輝き、うさぎを焦がしてしまった。


「どう? ばっちり捕獲できたでしょ」


 リメアがこんがりなうさぎの両耳を掴んで持ち上げる。


「「「…………」」」


 俺達は絶句した。

 これが自称女神のする事なのか……?

 騙し討ちとか、あまりにも非道だ。


「リメア……お前…………悪魔だよ……」

「ちょっとミツル! 悪魔って言った!? あんな下賤な種族と一緒にしないでくれない!?」

「いや今のは引くって! 騙し討ちとか女神のする事じゃないって! あれ道徳的に良いの!?」

「これは自然の摂理だよ? うさぎの神様もお赦しになるわ」


 にしたって……。


「そうだミツル。答え合わせだが、こいつは正真正銘、うさぎだ。魔物では無い。専門家では無いから種類までは分からんが」


 あ、そーすか。

 今言われても頭に入って来ないよ……。

 というかツユもこの状況でそれ言うの、随分とタフだな。


「因みにさっきの技の名前は、ホーリーライト・トラップだよ。かっこいいでしょ」


 え、かっこいい……か? 安直なワードすぎない?

 というかそもそもその技、もう悪辣極まりない技って印象しか無い。

 絶対"ホーリー"ではないな、それ。


「凄! かっこいいなそれ!」


 と、俺が考えている事など露知らず。

 カゲトがリメアを褒める。


「でしょー!」


 リメアが鼻をフンスと鳴らす。


「とりあえず戻るか」

「やったー!」

「メシだメシー!」


 三人は、言うと元来た道を戻っていく。

 皆意外と平然としてるよなぁ。

 冒険者ってやっぱり、このくらい図太くないとやっていけないんだろうなぁ。

 そんな事を思いながら、俺は皆の後を追った。

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