表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/82

056 前見てないからそんな事になるんだよーう! ぎゃっ!?

「……ねぇ皆、なんか魔力の流れが変じゃない?」


 気持ち悪い感覚というか……。


「そう? ミツルの気のせいだと思うけど」

「そうかなぁ」


 リメアに言われ、渋々納得する。

 先程、カラスから逃げ延びた俺達は、尚もディテクまでの街道を進んでいた。

 俺って結構薄情なのかも知れないなぁ。

 と、時々思う。

 さっきカゲトがカラスを真っ二つにした時、グロいなぁくらいの感情しか持たなかった。

 魔物を倒す時だって、死んだら煙になって消えちゃうから、あんまり罪悪感はない。

 だけどイノシシを踏みつけて殺した時とか、クエスタの腕を切り落とした時は、なんともいえない罪悪感に襲われた。

 俺って結局、どう思ってるんだろう。


「おいミツル、どうした?」


 カゲトに声をかけられ、ハッとする。


「い、いや、なんでもないよ。ちょっと考え事」

「ふぅん」


 カゲトに訝しげな顔で言われる。


「お主、その調子で大丈夫か? ここは魔物も出るのだ。しっかりしろ」

「うん」


 ツユに言われ、周囲を警戒する。


「ツユちゃんったら、そんなに気ぃ張らなくても大丈夫だよ」


 呑気なことを言いながら、スキップをするリメア。


 ──ベチャッ。


「ベチャ?」


 突然した音に、リメアが足元を見る。

 そこには、リメアに踏み潰されたスライムがいた。

 やがてそいつは、煙となって消える。


「ほら、魔物も出ると言っただろう。スライムで良かったな。警戒しておけ」

「は、はぁい……」


 ツユに言われ、シュンとなるリメア。

 こんな調子で、俺達は歩みを続けた。

 アドベルンを出て一時間程だろうか。


「疲れたぁ……」


 リメアが音を上げる。


「リメアは貧弱だなぁ。俺はまだまだ行けるぜ」


 カゲトがリメアを挑発する。


「俺も行けるよ。まぁリメア、運動してなさそうだし、バテてもしょうがないよね」


 俺もその挑発に便乗するが。


「あんたも苦しそうじゃない」


 げっ、見抜かれてたか。


「そんな事ないよ?」

「汗凄いけど」


 俺は言われて、額を拭う。

 ……確かに凄い汗だ。


「俺、汗っかきだから」

「こんなに寒いのに?」


 そうだった。

 まだ二月の始まりだ。

 疲れている以外で汗をかくはずもない。


「やっぱり疲れてるんでしょう?」


 リメアに顔をずいと近づけられ、後退る。


「そそ、そんな事は……」


 この女神、頭の悪さで忘れそうになるけど可愛いんだよな。

 あんまり顔を近づけないでください……!


「お主ら、あと二時間は歩け。そうしたら昼休憩にしてやる」

「「あと二時間!?」」


 俺とリメアは、ほぼ同時に発言者の方を振り返る。


「あぁ、あと二時間だ」


 しょぼくれる俺達に。


「もっと運動しろよな」


 なんてカゲトが言う。

 ……うるさいな! わかったよ!



 ***



 それから一時間程。


「クタクタだよぅ……」


 リメアは手を前でブラブラさせて、フラフラと歩いていた。


「リメア、しっかり! ゾンビになるにはまだ早い!」


 俺はリメアの肩を揺すると、そう揶揄う。

 いやだって、クマは濃いわフラフラ歩くわで、ガチゾンビみたいなんだもの。


「ミツル、あんたそんな事言ってる暇あるの? そっちもめっちゃガクガクしてるけど」

「俺はまだ余裕だけど?」


 嘘である。

 足の感覚がもう無い。


「ミツルこそ、もう疲れちゃって……ふぎゃっ!」


 リメアが俺を揶揄おうとして、突然止まったツユの背中に激突する。


「ギャハハハ! 前見てないからそんな事になるんだよーう! ぎゃっ!?」


 そんなリメアを、ここぞとばかりにイジってやると同時、俺も正面の木に激突する。


「お前ら……」


 カゲトの呆れた声が後ろから聞こえてくるが、癪なのでスルーを決め込んだ。


「ミツルったら! 木にぶつかるなんて! バッカじゃないの!」


 くそっ、ケラケラ笑いやがって!


「リメアだって、ツユに思いっきり突っ込んだ癖に!」

「お主ら、少し静かにしろ!」

「「す、すみません」」


 ツユに一喝され、俺とリメアは咄嗟に謝る。


「なんだツユ? なんかいたのか?」

「あぁ。……空間把握」


 ツユが手を前に突き出し、魔法を放った。


「……やはり魔物だな。ヘルハウンドだ」


 うげぇ、魔物?


「魔物って、街道に出てきたりするものなの?」


 リメアがツユに問いかける。

 確かに、魔物側だって、人間に近づく理由が無ければ街道なんかに出て来ないよな。


「あぁ、奴らは魔力を糧とするからな。魔法持久力が高い者を襲ってくる。もしかしたら、ミツルに引き寄せられたのかも知れない」

「え?」


 今なんつった。


「じゃ、じゃあ、ミツルを囮に……」

「おいリメア、冗談でもやめてよ、怖いって」


 カゲトが俺達の会話に、呆れたように言う。


「俺が盾役するよ。ツユ、どうすりゃ良い?」


 うへぇ、頼もしい。

 カゲトイケメン。


「まずは音を立てておびき寄せてほしい」


 そう言うと、錬金を始めるツユ。


「今度は何作ってるの?」

「目潰し用の砂だ。こうやってこれとこれを混ぜてやると、目に入った時とんでもなく痛い砂が出来る」


 いいながら、地面の砂とバックパックから取り出した砂を、魔法を使い掌で調合するツユ。


「というかツユちゃん、すぷれっとさんだー、だっけ? 強い魔法使えるじゃない。なんでわざわざ錬金術なんか使うの?」


 リメアの疑問に、ツユが答える。


「私だってかなり無理しているのだぞ。前も言ったが、魔力の半分は持っていかれる。だからお主らには強くなって貰わんとな……」


 お、おいリメア、なに墓穴掘ってんだ。

 これ絶対、ディテクに着いたら運動させられるやつだぞ。


「よし、出来たぞ。ヘルハウンドは夜行性だ。ミツルの魔力に誘われて見にきたという所だろう。今はまだ日も出ているし、上手くやれば怪我なしで勝てる。皆、準備は良いな?」


 ツユの言葉に、皆頷く。


「よし、戦闘開始だ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ