表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/81

055 調査団一行②

「ギャラリャリャリャリャ!!!」


 そいつが現れたと同時、盗賊の罠が発動。

 ロープがそいつの体に巻きつき、拘束した。

 倒れた先には、忍者の巻いた魔器菱(まきびし)


「ギャラララリャァァ!!」


 魔器菱がグサグサとそいつに刺さり、悲鳴を上げる。


「ギャリャァァ!!」


 間髪入れずに、団員が今まで練り上げた渾身の魔法、スキルを放とうとするが。


「あ、あれ!?」

「なんだ!?」


 各々の魔法が離散し、スキルが消失する。

 私は奴をみて、状況を把握した。


「魔力を……吸い上げている……!」


 あらゆる属性の魔力が、奴の元に流れ込んでいる。


「皆さん! 魔力乱流です! 辺りの流れが乱れてます!」


 グラスが大声で告げる。

 私はその言葉に、補足をした。


「奴が乱流を引き起こしている! 魔力は奴に流れ込んでいるぞ!」


 一筋の汗が頬を伝う。

 天使のような見た目で、頭には輪がある。

 だが、輪は白と黒が流動し、目玉は今にも溢れそうだ。

 天使のゾンビ、とでも言うべきだろうか。

 その(おぞ)ましい姿の怪物は、ロープでの拘束を解こうと、もがいていた。

 魔法で編まれたロープは、奴に触れて吸収され、融解し始めている。

 これでは、時間の問題だ。

 そんな時、何かの魔法と共に、奴の動きが鈍くなった。


「これは……!」


 デバフフィールドだ。

 私は、発動主の方を振り返る。


「私はデバッファーですよ? デバフや吸収の類いは効きませんとも」


 いくらデバッファーといえど、耐性の習得にはかなりの鍛錬が必要である。

 ピロード氏が相当の手練れなのは、もはや言うまでも無かった。


「おりゃぁぁぁぁぁぁあ!」

「ギャラギャラララ!!」


 コンマ氏も、奴の元へと走り出し、両手の剣から斬りつける。


「お前ら! 何ぼーっとしてんだ! 魔法やスキルがなくとも、近接の奴らは攻撃出来るだろうが!」


 私はその言葉に、ハッとした。

 得体の知れない魔物。

 魔力を吸収し、魔法やスキルの発動を無効化する。

 だが、コンマ氏の攻撃は確かに奴に届いている。

 倒せないわけじゃないはずだ。


「総員、構えろ! 魔法系統職の者は下がっているんだ!」


 私が言うと、バッファーと探検家が後方に下がる。

 それと同時、近接攻撃班と斥候班による、攻撃が始まった。


「ギャラリャリャリャァァァァア!!」


 ついにロープが解け、奴が反撃に出る。

 私はそれに割って入り、盾で受け止めた。


「っ……!」


 一撃が重い。

 デバフが掛かっていてこれなのだから、恐ろしい。

 私は盾を押し返す。

 いつもならスキルで反撃できるのだが、押し返すことしかできないのがもどかしい。


「おりゃあ!」


 と、後方で状況を観察していた探検家が、ダメージのポーションを投げる。


「ギャッ!?」

「団長! ポーションなら無効化されません!」


 その言葉に真っ先に反応したのは、コンマ氏だった。


「よしっ、少し持ち堪えてろ! 店からポーションありったけ持ってくる!」


 そう言ってコンマ氏は奴から離れようとするが。

 後退しようとした一瞬の隙を、奴は見逃さなかった。


「ギャラリャリャラリャラリャァァ!!」


 鋭い爪の斬撃が、襲う。

 動きは鈍いが、それでもコンマ氏に届くまでは十分な速さだった。


「まずった……!」


 コンマ氏の、小さな悲鳴が聞こえる。

 だが。


「させませんよ」


 奴の腕の動きが、さらに鈍った。

 すんでのところで、回避する。


「助かった、ピロード」

「気をつけてくださいよ。効果を一瞬上げるだけでも、疲れるのですから」


 ピロード氏の額には、汗が滲んでいる。

 そろそろ、魔力切れが近いのだろう。

 早く奴を倒さねば。

 コンマ氏は、魔法の使える範囲まで走ると、テレポートで消えていった。


「ギャラララリャァァ!!!」


 と同時、奴の手のひらに、魔力の塊が生成される。

 白と黒。

 やはり、流動している。


「防衛班、集まれ! 何か来るぞ!」


 魔法剣士が防衛魔法を使えない以上、盾を持つ我らで受けるしかない。

 私は、魔法職以外の防衛職を集めると、構える。


「ギャラリャリャラリャラリャァァ!!」


 奴の放ったそれは、私の盾に命中した。


「うおっ……っ」


 重い。

 スキルも使えない以上、自分の身一つで受けなければならない。

 盾がバキバキと悲鳴を上げる。


「うおっ……りゃあ!」


 盾を斜めに逸らし、魔法を受け流す。

 それは森に入り、大きな爆発と共に消滅した。

 その爆発の方向から、大きなバックパックを背負ったコンマさんが戻ってくる。


「団長さん! しっかり周囲を見てくれ! 危うく当たるとこだったぞ」

「すみません、これが精一杯でしてな」


 コンマ氏はバックパックの中から、ポーションを取り出す。


「ほら、手伝え! これ全部投げるぞ!」


 コンマ氏の呼び掛けに、後方で待機していた魔法職の者達が集まる。

 そして、ポーションでの猛攻撃が始まった。


「ギャラララリャァァ!!!」


 少しずつだが、確実に奴の体力は減っている。


「とどめだぁぁ!!」

「ギャァァァァァアアア!!!」


 最後の一撃を決めたのは、ストルだった。

 大剣の斬撃が、奴の首を刎ねる。

 やがて、奴は煙となって消えた。


「はぁ……はぁ……」


 近接攻撃班の者達は、かなり体力を消耗したようだ。

 魔力吸収が行われなくなり、やがてあたりに魔力が戻る。


「回復魔法が使える者は、怪我人の元へ頼む!」


 私の声に、魔法職の者と回復のポーションを持ったコンマ氏が、駆けていった。

 私はピロード氏の元へ向かう。


「大丈夫ですか?」

「えぇ。かなり魔力を消費しましたが……」


 汗はかいているものの、立つ力は残っているようだ。


「団長さん。それよりもコンマさんを止めなくて良いのですか?」

「止める? なぜですかな」

「ポーション代、すべて請求されますよ? あの人はそう言う人です」


 私はそれを聞いて、慌ててコンマ氏を止めに行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ