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052 男と添い寝して何が楽しいんだよ

「なんでこんなところで添い寝してるの?」


 目を開けると、クマが濃くなったリメアに睨まれていた。

 隣を見ると、ツユが眠っている。


「ふぁ〜。皆! おっはよお!?」


 カゲトが出てくる。

 そして、俺とツユを見て驚きの声をあげた。

 カゲトが近寄ってきて耳打ちしてくる。


「どうやってツユと添い寝した? 俺もおんなじ方法試してみるから」


 こいつは呑気だなぁ全く。


「じゃあまずはツユと喧嘩しないと」


 俺の発言に、ハテナを浮かべるカゲト。


「んんっ」


 ツユも目が覚めたようだ。


「ちょっとツユちゃん? なんでこいつと添い寝してるわけ」


 リメア、こいつ呼ばわりは傷つくぞ、俺。


「添い寝?」


 ツユが俺の方を見る。


「これが添い寝? 何か勘違いをしていないか?」


 リメアとカゲトが、俺達を見て。


「昨日まで喧嘩してたのに、添い寝ですかあーそうですか」

「俺だってやってみたい」


 いやいや、本当に違うって。

 いや、添い寝と言われればそうかもしれないけど、そういうのじゃないって。


「じゃあ私だって、カゲトと添い寝しちゃうもんね!」


 リメアがカゲトの腕を掴んで言う。


「うっひょーマジで!? だ、そうだツユ。俺達添い寝しちゃうもんね!」


 本当になんなんだこいつら。


「…………何? 俺達に嫉妬してるの?」

「そんなわけないじゃない!」

「そんなわけねーだろ!」


 あーそうですか。

 嫉妬ですか。


「じゃあなんだ? リメアは俺と添い寝したかったと」

「カゲトは私と寝たかったのか?」


 俺とツユは、ニヤニヤしながら二人に尋ねる。

 だが二人は。


「「いや、ツユ(ちゃん)と添い寝したかった」」


 あーそうかよ! 分かったよ!



 ***



「悪かったよミツル。俺も、ミツルと添い寝したいなぁー?」

「男と添い寝して何が楽しいんだよ」

「わ、私も添い寝、したいなぁー?」

「思って無いだろ」


 気を使われているのがむしろ悲しい。


「まぁミツル、ほら、元気出せ」


 ツユが俺の背中をさすってくれる。

 もう……ちょっとくらい期待したって良いじゃんか……。

 ちょっと落ち込み気味のまま、ギルドのドアを開ける。

 ギルマスに、ディテクまで行く事を伝えるのだ。


「あ、ちょっと待って。その前に私、お父さんに連絡しないと」


 そう言って、リメアが天界にテレポートする。

 リメアを待っている間、ツユに魔法と剣の練習をしてもらった。

 リメアが帰ってくると、ギルマスの所に向かう。


「んぁ、ミツルさん。おはようございます」

「おはようございます」

「今日はなんでしょうか? 薬草採集?」

「あんなクエストもう行かん! 今すぐ取っ払っても良いくらいだ!」


 ちょっ、ちょっとツユさん。

 そんなヒートアップしなくても……。


「えっと……ミツルさん、何かあったんですか?」


 ギルマスが俺に耳打ちしてくる。


「いやぁ、それがですね。コンマさんにお金騙し取られちゃいまして」

「騙し取られた!?」


 大きな声を上げるギルマス。

 冒険者達の注目が集まった。


「こほん。どう言う事ですか?」

「いやぁ、半ば脅迫紛いにポーションを買わされたと言うか……」


 それを聞き、ギルマスは額に手を当てる。


「薬草採集のクエスト、剥がしておきます。あと、コンマさんにはキツく言っておきます」


 ギルマスが、申し訳無さそうに続ける。


「ギルド職員という立場上、経営の事に関して強くは出られないですが……」

「いえ、大丈夫ですよ」


 と、言ったものの、正直お金は返して貰いたい。

 全部返品するから。

 でもまぁ、警備隊でも無いのに注意してくれるのは、ありがたい……と、思っておくべきだろう。


「元ベテラン冒険者なんですよ、あの人。私も長い付き合いですが、恩着せがましい所があるというか、助けた相手には見返りを要求しても良いと思っている節があるというか……」


 ギルマスが困った顔で告げる。

 そして、俺達にしか聞こえないように、静かに続けた。


「あなた達は比較的まともなので忠告しておきます。冒険者って、変わり者が多いんですよ。無闇に信じない方がいいです」


 そっかぁ。

 まぁどちらかと言うと荒くれ家業だし、ファンタジーな職業とはいえ、やっぱり闇の部分もあるよな。


「で、話がずれましたね。どんなご用件で?」


 そうだった。

 忘れてた。


「僕達、ディテク公国まで行くことになりました」

「なんでまた」


 ギルマスの疑問に、今度はリメアが答えた。


「クエスタをとっちめるんですよ!」

「あのゾンビ野郎を、ですか? と言うかリメアさん、そのクマどうしたんですか?」

「クマはどうでも良いんです! とにかく、あいつの手がかりを追うんです!」

「なんでまた」


 再びの問いかけに、今度はツユが答える。


「ミツルとリメアには、奴を追う理由があるのだ」

「そうですか……」


 転生者だの女神だの言いたくないので、ここで引き下がってくれて助かった。


「ディテクにもギルドはあります。あそこもここと同様、治安は良いのですが……」


 ですが?


「騙されたりしないよう、用心はして下さいね」

「は、はい」


 そうだな。

 用心に越したことはない。


「皆さん、お気をつけて」


 受付に座るギルマスに手を振り、ギルドを出る。

 そして町の西門に向かうと、ミルドさん一行に鉢合わせた。


「おはようございます。皆さん方、これからクエストですか?」

「いえ、これからディテク公国に」

「ディテク? ここから歩くと五日くらいか」


 ルクスさんが肩を組みながら言う。


「お前が走れば一日で着けそうだな、ルクス」


 それを揶揄うように、ヒスイさんが言った。


「ルナちゃんともしばらくお別れかぁ……」

「お気を……つけて……」


 リメアがルナの手を掴み、ブンブン振っている。


「では、またな」

「おう! 探検家の姉ちゃん!」

「皆さん、お気をつけて!」

「皆、気をつけるのだぞ」

「では……また……」

「「「「さようならー!」」」」


 ミルドさん一行に別れを告げて、アドベルンの西門を(くぐ)った。


これにて、第一章は完結となります。


ここまで読んでくれた方、ブックマークや評価、感想などをいただけると、作者が小躍りして喜びます。


さて。第二章は、ディテク公国に向かうミツル一行。隣国で起きた、『転移事件』とは一体……。

是非、ご期待ください!


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