表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/84

005 テ、テレポートでここに!?

 次の日。

 俺はいつもより長く睡眠をとり、食堂でスパイダーボイルを食べた。

 ギルドの外に出ると、深呼吸をする。


「……ふぅ」


 右手に力を込めると、自分の家のリビングの風景を思い浮かべた。

 足元に優しい光を放つ魔法陣が現れ、それは次第に輝きを増していく。

 魔力が体から抜けていく感覚。

 力が削がれていき、徐々に体力が削られる。

 疲れてきた……。

 魔法陣が現れてから三十秒程。

 クラクラしてくる。

 すると、何かに弾かれるような感覚と共に、魔法陣が消えてしまった。


「はぁ、はぁ、」


 息切れが激しい。


「何かに……弾かれた?」


 その後も何度か試してみたが、やはり何かに弾かれて捉えられない。


「やっぱり地球からここまでは一方通行、なんだろうな……」


 リメア様が入口の世界だなんだと言っていた記憶が蘇る。

 やはり諦めた方が良いのだろうか。

 しかしここでまた閃いた。

 天界からここに来る時、リメア様は右手を上げて魔法的な何かを発動していた。

 ならば、天界だったら行けるのではないか。

 天界に行く必要など微塵も無いが、行けるのならばもう一度行ってみたい。

 俺は今度は行き先を天界に変えて、再びテレポートを試してみる。

 魔法陣が現れ、先ほどと同じように足元で輝きを増して行く。

 クラクラしてきたが、その後すぐ…………

 天界をがっちりと捉えた。

 すると俺の体が光に覆われていく──。

 疲れの溜まった体に力を込めて、前を見上げると。


 「んー、おいひい」


 床に寝っ転がり、ポテチを食べながらゲームをしているリメア様の姿があった。

 床にはでかいコーラのボトルも転がっている。


「……」


 俺はリメア様をみる。

 本当にリメア様だよな?


「…………」

「♪♩♫♬」


 音楽が聴こえてくる。

 聞き覚えのあるRPGのBGMだ。


「……………………」

「……?」


 やっと俺の視線を感じとり、こちらを向いたリメア様は


「ヘ!? あ、あなたは、えぇっとミミミツルさんじゃないですか。ど、どうしたんですか? というか、一体どうやってここに?」


 ものすごくわかりやすい動揺を始めた。


「いや、テレポートを試してみたら戻ってこれちゃったんですが……」


 てかこの女神様、ゲームしてたよな。

 普段からこうやってゴロゴロしているのだろうか。


「テ、テレポートでここに!?」


 リメアは驚いた声を出し、さらに動揺し始めた。


「あなた本当に地球からの転生者ですよね……? 少しステータスカードを見せて貰っても?」

「もちろん良いですよ」


 女神様ともあろうお方がこんなに動揺するものだろうか。

 自分になにか人間を超越した能力でもあるのだろうか。

 それとも欠陥ステータス?

 期待の反面、ここまで動揺されると心配になってくる。

 リメア様は深く深呼吸をし、ゲーム機を床に置くと、汚れていない方の手で俺からステータスカードを受け取った。


「これは……」


 リメア様はステータスカードを凝視する。


「魔法持久力がこんなに高いなんて……」


 魔法持久力? MPだっけか?

 未だにそのステータスの意味、よく分かって無いんだよなぁ。


「あの、そのステータスって結構大事だったりします?」

「この"魔法持久力"は読んで字の如く、魔法の続く持久力。自身の魔力の保有量、そして効果範囲を表しています。地球には魔力が存在しないですよね? だから、転生者の方は魔法系統のステータスがどうしても低くなってしまうのですよ。しかし……」


 再びステータスカードに目を向けたリメア様は、俺のステータスの表記に間違いが無いことを確認し、続けた。


「あなたの魔法持久力は、はっきり言って異常です。転生者が持つ保有量では無い。あの世界の魔法職の方たちと比較しても、かなり上位の保有量なのですよ」


 これは……!

 これは、チートというやつでは無いのか………!?


「ですが魔力自体は低いようですね、なぜでしょう?」

「え、あの……。魔力と魔法持久力って何か違いがあるのですか?」

「魔力は一度に使用できる魔力の量です。つまり"威力"と言ったところですかね」


 つまりそれはゲームで言う、MPはやたらあるのに威力は低い奴……ってこと!?

 なにそれ雑魚じゃん!!

 結局欠陥ステータスかよ!!

 期待した俺が馬鹿だった!!

 てか魔力とか魔法持久力とか分かりにくいんだよ!

 魔法威力とか魔力保有量とかに名称変えやがれ!!


「いや、待てよ? こう言うのは大体、使い道があるキャラのステータスだ。きっと俺にも、このステータスの使い道があるはず……」


 そんなことを頭の中で巡らせていると。


「ブツブツ……」

「……」


 声に出ていたのか、ちょっと引くような目で見られていることに気づいて我に返った。


「しかし本当に、天界まで人がテレポートしてくるとは思いませんでしたよ。それも約一週間前に送り出したばかりの転生者の方が」

「いや、僕も成功すれば良いなぁ程度の心構えだったんで、ここに再び来れたのは正直びっくりしています」

「こことあの世界は、地球のある世界と違って遮るものが存在しませんからね」


 やはり地球には魔法で戻ることは出来ないのか。

 諦めるしか……ないか。

 リメアは俺の顔を見て、突然何かに気づいたように


「ごめんなさい」


 と謝ってくる。

 あれ、俺哀しい顔でもしてたかな。

 あんまり自覚は無かったけれど、どうやら俺は思ってることが顔に出やすいらしい。


「なに謝ってるんですか。死んだのは僕の不注意のせいですし、死んだら終わりだと思ってたので、こうして転生することが出来ているだけでも感謝です」


 俺の言葉を聞くと、リメアは微笑んだ。

 そんな会話をしていると突然。


「リメア、そしてミツル君。君達に話がある」


 声が響き渡った。

 第三者の発言に俺が驚いていると、リメアはその声に対してこう答えたのだった。


「お父さん?」


 ……えっ! お父さん!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ