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044 西に位置する国だ

 俺とツユも、リメアの元へ向かう。


「ちょっとリメア、一人で動かないの!」


 俺はリメアを咎める。


「だって、この人達に聞けばって提案したのはミツルじゃない」


 それはそうだけれども。

 この人、めっちゃ疲れてそうだぞ?

 後にしてあげた方が良いのでは……。

 リメアは俺の心配をよそに、話を続ける。


「私は冒険者のリメアと申します。実は私達、今回の襲撃を起こした奴を捕らえたいと考えていまして」


 今までクッタリとしていた団長が、それを聞き真剣な面持ちになる。


「ほう?」

「何かこの周辺で似たような事件だとか、起きていたりしませんか?」


 リメアの問いに、腕を組み考える団長。


「なんでも良いんです。どんな些細な事でも」


 団長は少し考えた後。


「グラス。何か知ってるか」


 瓶底メガネの団員に、声を掛けた。


「そうですね……。前例の無い事ですからなんとも……」


 グラスと呼ばれた団員は、困ったように首を傾げた。


「そう、ですか……」


 リメアが項垂れる。

 まぁ、しょうがないか。

 ギルマスもゾンビの襲撃自体、前例が無いと言っていた。

 そうそう手掛かりを掴めるはずもないよね。

 だから調査団が来たわけだし。


「ディテクでの失踪事件はどうだ?」


 突然、横から声が掛かる。

 調査団の鎧に身を包んだ男は、それでも屈強な肉体を思わせる巨体であった。


「ツユ、ディテクって?」

「ディテク公国。この国の西に位置する国だ」


 ディテク公国、か。


「その話、詳しく聞かせてください」


 リメアが、その屈強な男に問う。


「ある日突然、町から何十人もの人が消えたって話だ。それ以上は知らん。俺も風の噂で聞いたくらいさ。あの国の情勢なんざ、俺達にゃ知ったこっちゃ無いしな」


 男は、すまんと言った感じで頭を掻いた。


「それってゾンビ襲撃と関係あります?」


 グラスと呼ばれた男が、訝しげに言う。


「どんな些細な事でも教えて欲しいってこのお嬢さんが言ってただろ?」

「それでいくと、俺も一つあるぞ」


 次に口を開いたのは団長だった。


「ルベ村でゴブリンの襲撃があったんだ」

「団長、それは失踪事件よりも関係ないと思いますよ……」


 調査団内で笑いが起こる。


「皆さん、ありがとうございます」


 リメアがぺこりとお辞儀をした。


「あぁ」


 団長はニカっと笑ってそれに応える。


「そうだ、ギルドマスター!」

「はい、どうなさいましたか?」


 団長の呼びかけに、ギルマスが飛んできた。


「団員皆クタクタなようだから、調査は明日からにしても良いですかな? 雨も降りつづいておりますし」

「げっ、聞いてないんですけど……」


 なんか今ギルマス『聞いてないんですけど』って言ったよな。

 げっそりした表情になってるし。


「ん? なにかおっしゃいましたかな?」

「い、いえいえ何も。この町の宿は五つしか部屋を用意できないのですが、倉庫でよろしいですか?」

「屋根があるだけでもありがたいですとも。是非そうして頂けると助かります」


 話を終えると、ギルマスが裏へと戻っていく。


「仕事が……増えた……」


 すれ違い様に、ギルマスの悲痛な独り言が聞こえた。

 お仕事お疲れ様です……。



 ***



 と、言う訳で。

 図らずして時間ができた俺達は、図書館へと向かっていた。


「プロテクトって便利だよなぁ本当」


 ツユが傘の代わりにプロテクトを頭上に張って、雨を防いでいる。

 今はカゲト不在だけど、これなら四人までなら多分入れる大きさだな。


「防御魔法は覚えておいて損は無いぞ? 自衛手段は持っておいた方が良い。今度教えてやる」

「マジで!?」


 やったぜ!

 しばらく歩くと、図書館に到着した。

 大きな扉を開けて、中に入る。


「リメア、ミツル、ここでは静かにな」

「分かってるよ。ミツルはともかく、ツユちゃんは私をなんだと思ってるのさ」

「おいちょっと、それ俺に喧嘩売ってるの?」

「だってミツルには常識がないじゃない」


 なんだと!?


「俺に常識がないのはリメアが転生の時にこの世界のこと教えてくれなかったからじゃないか!」

「だから前も言ったように、常識って言うのは自分で……」

「館内ではお静かに」


 司書の人が俺達の元にやってきて、言い放った。


「「ご、ごめんなさい!」」


 謝る俺達を見たツユは。


「……ほらな」


 そう言って、鼻で笑った。

 ちきしょう! 何も言い返せねぇ!

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