043 二人に話があるんだった
「ん〜! うまうま」
リメアが骨付き肉を両手に持ってがっついている。
「んもんも……うまいな、これは!」
ツユも、カレーをバクバクと口に放り込んでいる。
そして俺も……。
「はふはふ……はふはふ……」
あったか〜いふっくらお米のお魚定食を頬張っていた。
朝ご飯を食べていないからなのか、昨日の事でとても疲れていたからか。
いや、おそらくどっちもだ。
食べ始めると止まらなかった。
そしてお米! メニューに焼き魚定食と載っていたのは前々から気づいていたのだが、節約のため、スパイダーボイルで我慢していたのだ。
しかし今日は、緊急クエストの報酬が入る。
こりゃ食わずにはやってられん!
「はふはふ……で、は、かげほはおひふけはひははふほ?」
「ミツル、飲みこんでから話せ」
俺は口いっぱいのご飯を飲み込むと。
「で、さぁ。カゲトは起きる気配はあるの?」
同じく、ツユがカレーを飲み込んでから答える。
「カゲトは魔法持久力が壊滅的だからな。もしかしたら、夜までぐっすり寝ているかもしれん」
「そうなんだ……」
俺はお肉に夢中の女神を眺めながら。
「まぁ、みんな生還できて良かったよ」
安堵の溜息を吐く。
「なにひっへんのほミツル。あたひがほんははんはんひひふはへはいははい」
リメアがリスみたいな顔で言ってくる。
「その割には一番に魔力切れで倒れたけどね」
「はほははひほひひへひはははっはは、はふははっはひゃはひの」
うっ、まぁ、確かに。
「その……まぁ……ありがとう。あの時は助かったよ」
俺の感謝の気持ちを聞き、ドヤ顔になるリメア。
「ふっ……よろひい。……ゴックン。まったくもう、ミツルったらツンデレなんだからぁ」
「ツンデレじゃねぇよ!」
「お主、今のでよく聞き取れたな……」
ツユが頬杖をつきながら俺達を眺めている。
カレーはすっかり食べ切ったようで、お皿の中は空っぽだ。
「そうそう、それでね、二人に話があるんだった」
突然、リメアが真面目な顔で言ってくる。
……両手に骨付き肉を持ちながら。
「「話?」」
「うん。実は……」
***
「「クエスタを追いたい!?」」
リメアの話の内容は、こうだった。
俺が転生する要因を作ったのは、ゾンビ男……クエスタかもしれない。
だから、奴を追いたい、と。
「何言ってるんだリメア。我らだけで敵う相手では無いぞ!?」
「そ、そうだよ! 命懸けだったでしょ!」
「それは、そうなんだけど……」
少し俯き、続ける。
「ミツルが死んだのは、魔力のせいでしょ? そしてあの男は、世界を跨いで魔法を送り込む程の技量がある。神格化しているかも知れないし……」
神格化……? なんだ、それは。
「それに私の存在を認知してたのも、きっとお母さんが関係して……」
「「お母さん?」」
リメアはそこまで言うと、ブンブンと首を横に振り。
「と、とにかく! 私はあいつを追いたいの。その為には、情報がいる」
ツユが腕を組み、唸る。
「う〜む……。情報、か……」
「調査団の人達に聞いてみるってのは?」
我ながら名案を思いつく。
「その手があったか! グッジョブ、ミツル!」
リメアがサムズアップしてニコッと笑う。
「では、私は図書館で奴の事を調べようと思う」
図書館、か。
「俺もツユについて行こうかな」
この世界のこと、もっと知れるかもだし。
「おっけー! 決まりだね!」
リメアは肉を食べ終え、立ち上がる。
俺とツユも、リメアに続いた。
***
階段を降り、再び一階へと向かう。
降りたところで、ちょうどギルドのドアが開かれた。
「お疲れ様です、調査団の皆さん」
ギルドマスターが出迎える。
ぞろぞろと入って来たのは、調査団だったようだ。
それぞれが高級そうな鎧を身に付けている。
「急に降り出しましてな。しかし、なんとか時間通りにたどり着く事ができましたぞ」
そう話すのは、調査団の団長だろうか。
口髭を生やした、初老の男だった。
「えぇ、時間通りですね。流石です」
ギルマスが、両手をモミモミしながら返答する。
「ささ、とりあえず、そちらの椅子に掛けてお待ち下さい」
ギルマスが、一階に常備してある椅子とテーブル群を指差し、言った。
調査団の人達が、ぞろぞろと椅子の方向に歩む。
今まで座っていた冒険者達が、椅子を立った。
それに『ありがとう』とお礼をし、座る調査団員達。
……ふと思ったけど、この町、親切な人多いよな。
ギルマスが、あたふたと裏に戻って行く。
「ねぇリメア」
俺はリメアに声を掛けようとして、姿が見当たらないのに気がついた。
「ねぇツユ。リメアはどこいった?」
「リメアなら隣に……あれ? どこへ行ったのだ奴は」
ツユが辺りを見回す。
「あ、居たぞ」
ツユが指差した方向を向くと、すたすたと調査団長の元へ歩くリメアの姿が。
「すみません、お伺いしたい事があるのですが」
リメアが、疲れてクタクタなご様子の調査団長に声を掛けていた。




