032 殴っても良いですか
「ミツル! 来たか!」
集合場所に行くと、コンマさんがいつもの格好で手を振っていた。
なんか、コンマさんと会うの久々な気がする。
まだ三、四日くらいしか経ってないんだけどな。
この世界に来てからはずっとお世話になっていたから、その影響かも知れない。
「コンマさーん!」
俺は手を振ってコンマさんに返事をする。
コンマさんは合流すると、俺の後ろをついて来た3人を見て言う。
「ミツルのパーティーメンバーか?」
「はい、左からカゲト、ツユ、リメアです」
「「「はじめまして」」」
俺の紹介とともに、三人が挨拶をした。
「ふーむ」
コンマさんはカゲト、ツユ、リメアの顔を一人ずつじっくりと見ると
「美少年、美少女、美少女……」
最後に、一番右に立っていた俺の顔をまじまじと見つめ、にっこりと笑い……。
「……..よし、じゃあ行くか!」
「ちょっ、コンマさん! なんですか! なんか言いたいことがあるのなら言ってください!」
「いや、俺は君の親しみやすい顔も好きだよ」
「殴っても良いですか」
俺だけパッとしない顔だとか言いたいのだろうか。
失礼な。
***
そんなこんなで合流し、いつもの採集地へと向かう。
その道中。
「そういえば、ツユって、どんなスキル覚えてるの?」
俺は疑問に思っていたことを問う。
ツユの覚えてるスキル、知らないもんね。
「私か?確かに、仲間のステータスは知っておいた方がいいか。すまない。パーティーを組んだ事が無くてな。すっかり忘れていた」
そう言ってツユがステータスカードを見せてくる。
リメアとカゲトも、それに目をやった。
ええっと、なになに……?
スキル
・暗視
・空間把握
・天候変化耐性
・トラップ感知
・水面知覚
・猛毒察知
・香敏化
・霊体接触
・浮力獲得
・錬金術
・スラッシュ
・スパーク
・スプレッドサンダー
・ウォーター
・ファイア
・ウインド
・ストーンフォール
・プロテクト
・腕力増強
などと記されている。
「探検家の基本スキルと、主要属性の基礎魔法は覚えている。あとは、一人での行動が多いので、身を守る為の防衛魔法と支援魔法だな」
いっぱい覚えてるなぁ。
まぁそりゃそうか。
この世界で生きてるんだ。
一週間とちょっと前に転生してきた俺とは訳が違う。
「お主ら三人とも、スキルの数が極端に少ないよな」
だって、俺達全員、この間ここに来たばっかりだし。
「リメアは回復魔法。ミツルは支援魔法、カゲトは防衛スキル。もっと覚えるべきだ」
「いや、もっと覚えるっつったって、どうやってだ? 教えてもらえる奴もいねぇのに」
カゲトが疑問を口にする。
まぁ、そうだよね。
それに対して、リメアが答えた。
「何言ってんのカゲト。スキルってのは教わってばっかりじゃなくて、自分で探ったりするものだよ?」
そういえば、そんなこと言ってたな。
『魔法って意外と簡単に出せるものだよ』って。
スキルも、魔法と同じように、自分で探れってことだろう。
「特にカゲトは、まだスキル一つしか覚えていないよな」
「あぁ、まぁ……」
「私が帰ったら教えてやる。自分でも、探ってみるんだな」
「は、はぁ……」
カゲトが話についていけていない。
こいつがファンタジー脳になるには、もう少し時間がかかりそうだな。
そんなこんなしていると、コンマさんから声が掛かった。
「みんな、着いたぞ」
そこには見慣れた採集地が広がっていた。
「よし、始めるか!」
クエスト、開始!
***
「いやぁミツル、良いパーティーメンバーに恵まれたな、それじゃ!」
「ありがとうございます! それではまた!」
あの盛大なフラグはなんだったのだろうか。
何事もなく、薬草採集のクエストを終えることができた。
俺達はコンマさんと別れると、俺達は受付へと向かう。
「おぉミツルさん、無事に帰って来れましたか!」
「本当に、何も起こらなくて良かったですよ」
結局何も起こらなかったじゃないか。
あんまり脅かさないでほしい。
「何も無かったようで、こちらもホッとしてます。はい、こちらは報酬です。パーティーメンバー全員分で5000ルン。雑魚が出てこなくなった件については未だ調査中っすから、結果が出次第お伝えします」
「分かりました」
俺達はそのあと、夜ご飯を食堂で食べギルドの倉庫で寝た……のだが。
次の日、それは起こった。




