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029 全く、コイツも多分バカだな。

 マジックボール! マジックボール!

 くそっ! 避けられて全然当たんねぇ!

 ツユはウォーターで、リメアもマジックボールで応戦するが、ほとんどの攻撃が避けられる。


「ガー! ガー!」


 まずい! 反撃が飛んでくる!


「プロテクト!」


 ツユの声で、俺達の頭上に防御魔法が展開される。

 プロテクトによって、風魔法が防がれた。

 俺もそれに合わせて、脚力増強の支援魔法を全員に掛ける。

 だが、強化された脚力を以てしても、カラスを振り切ることはできない。

 飛ぶとかずるいぞ。

 正々堂々走って勝負しやがれ。

 鳥相手にそんなことを考えながら。

 カゲトを見て、未だに魔鉱石を抱えて走っていることに気づいた。


「おいカゲト、そんなビカビカ光ってる石早く捨てろ! それを狙ってるのかもしれないぞ!」


 俺の怒声に気づいたカゲトが。


「え? あ、あぁ、これか! よし!」


 と、抱えていた魔鉱石を全て捨てる。

 するとカラスは一斉にその魔鉱石へ飛んで行き、漁り始めた。

 魔鉱石の色が、薄紫色から緑色に変わる。


「ゼェ……ゼェ……この世界のカラスは……なんでこうも……攻撃的なんだ……」

「そりぁ……ハァ……ハァ……魔物がいる……世界よ? ……動物だって……たくましく……なるわ……」


 息が苦しい。

 ツユは、へとへとな俺とリメアを見ると。


「お主らは体力もつけた方が良いな」


 と言ってくる。


「なんだ、貧弱だなぁ。このくらいで息切れするなんて」


 逆にカゲトはなんでそんなにピンピンしてるんだ。

 と言うか。


「誰のせいだと……ゼェゼェ……思ってるんだ……! ゼェゼェ……お前が石抱えてた……せいだろ……ゼェゼェ」

「い、いやぁ、それは……すまん」


 全く、コイツも多分バカだな。



 ***



 そんなこんなでしばらく歩き、俺達四人は依頼主の農家の方の家に到着した。

 俺は家の扉をノックする。


「クエスト達成致しましたー」


 しばらくすると、オーバーオールを着た農夫が顔を出した。

 あれ? この人、どこかで見たことある顔のような……。


「あ! お爺さん、この間の!」


 この人は! 俺がこの世界に来て一番最初に話しかけた老夫婦のお爺さんじゃないか!


「はて、どこかで会いましたかな?」


 あれ、忘れられてる?

 すると奥から、お婆さんも出てきた。


「いやぁ皆さん、ありがとうございます……あら、アナタこの間の!」


 良かった、お婆さんの方は覚えていてくれたようだ。


「はて……」

「アンタ! ボケてんじゃ無いわよ。この間、ギルドの場所を訪ねてきた子じゃない」

「ぬ……あっ、あぁ〜! あの時の坊主か! どうだい? ここでの暮らしは」


 お爺さんの方も、思い出してくれたらしい。


「はい、ここはとても良い町ですね、パーティーメンバーにも恵まれ、今は冒険者として日々頑張ってます」


 俺は笑顔で答える。


「ねぇねぇ、このご夫婦ってミツルの知り合い?」

「この方達に、リメアにこの町に送ってもらって一番に話しかけたんだ。リメアが教えてくれなかったギルドの場所を教えてくれた親切な人達さ」

「何よ、まるで私が親切じゃ無いみたいじゃない」

「え、違うの?」


 リメアがムッとした顔になる。

 俺達の喧嘩勃発しそうな雰囲気を見兼ねたのか、


「まぁまぁ、お二人さん。そうだわ、少し待っていてね」


 お婆さんは一度家の中に戻ると、サツマイモを四つ持ってきた。


「ウチで栽培しているアドベルイモよ、良かったら持っていってください」


 アドベルイモ。

 サツマイモとは違うのか? 見た目はほぼサツマイモだな。


「良いんですか! ありがとうございます!」


 俺はお礼を言うとアドベルイモを受け取った。


「はい、これは依頼達成の報告書ね。サインはしておいたから」


 今度はお爺さんから依頼達成のサインを受け取る。


「確かに受け取りました。ありがとうございます」

「いやいや、こちらこそありがとうねぇ」

「これからもよろしくねぇ」


 俺達四人は老夫婦に別れを告げ、ギルドへと向かった。


「世間は狭いなぁ」


 俺は老夫婦の優しさに触れ、穏やかな気持ちでギルドに向かっていたのだが。


「で、さっきの話の続きだけれど。私のどこが親切じゃ無いって?」


 なんだよ、その話まだ続けるのか。


「なんの説明も無しに異世界に飛ばしたところとか」

「異世界転生できただけでも感謝しなさいよ」


 それはそうなんだけれども。


「うん。それは勿論感謝してるよ。でも、もうちょっと説明とか欲しかったかなぁって」

「女神は忙しいのよ、それくらい我慢しなさい」

「ゲームで?」

「ゲームで」


 やっぱり、俺にも文句を言う権利くらいあると思う。


「お主ら、本当に仲が良いな」

「「どこがさ(よ)」」

「そーゆーとこだよ」


 いや、どーゆーとこだよ。

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