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027 魔鉱石の洞窟

 ダンジョンの中はジメジメとしていた。

 水が滴り、所々に水溜まりを形成している。

 そして洞窟自体が、淡く青色に光っていた。


「魔鉱石の洞窟か。スライムの魔力に反応しているようだな」


 ツユがそう呟く。

 魔鉱石ってなんだろう? この青く光っている石のことだろうか。


「ねぇリメア、ツユが言ってる魔鉱石ってなあに?」


 俺はリメアに耳打ちする。


「魔鉱石っていうのは、魔力に反応して発光する石のこと。洞窟全体が青く光ってるでしょ? あれ、全部魔鉱石」


 そんな神秘的な石があるのか。


「まぁ魔鉱石って言っても色々あるんだけど、金属みたいな石の分類っていう解釈でいいと思う」

「異世界にしかない石、ねぇ……」


 それを横から聞いていたカゲトが、顎に手を当てて頷いた。

 ツユを先頭に、しばらく道なりに歩いていく。

 すると、奥から偵察スライムが三匹やってきた。


「今度は俺が」


 俺はそういうと、マジックボールを放つ。

 二匹は命中して溶けたが、一匹外してしまった。

 その一匹が、奥へと逃げていく。


「はぁ!」


 残っていた一匹を、リメアがマジックボールで見事に仕留めた。


「もうミツルったら、外してんじゃないわよ」


 リメアがやれやれと言った感じで言ってくる。


「いやぁ、ごめん」

「三匹中二匹、か。まずまずって所だな」


 まずまず、かぁ。

 マジックボールも練習して、精度を上げといた方が良いな。

 それから更に奥へと潜る。

 道に沿って歩いていくと、開けた場所に出た。


「待て」


 ツユが立ち止まる。

 そのまま手で、近くの岩場を指差した。

 それに従い、皆同じ岩陰に隠れる。


「ビッグスライムがいた。少分裂期に入ってから結構経っているらしい。サイズが小さいからな」


 岩陰からそうっと顔を出して、それを見る。

 ドデカくて青い、ゼリーのような生物が一匹、広場の中央に鎮座していた。

 その周りを小さな偵察スライムが彷徨う。

 スライム、あれが実物か。

 初めて見た(当たり前)。

 あれ、本当に生き物かよ。

 かつて小学校の祭りで作った洗濯糊製のスライムそっくりだ。

 今見ている奴は、俺のお手製スライムと違って綺麗な球体だが。

 それにしても、感慨深いなぁ。

 色んなゲームでお世話になった、序盤のザコ敵。

 見慣れたようで初めて見たその生物に、感動を覚える。


「スライム、初めて見た……」


 俺と同じく顔を覗かせたリメアが、感嘆の声を漏らす。


「自由研究で作ったことあるぞあれ! 凄ぇデカいな!」


 ……カゲトもカゲトで、俺達とは違う方向で感動していた。

 そのでっかいスライムからは、小さな偵察スライムが、一匹、また一匹と産まれている。


「カゲトは良いにしても、お主ら、スライムを見たことが無いのか?」

「無いよ、俺異世界人だもの」

「私、女神だもの」

「…………そうか」


 …………そうか。

 ってなんだよ! なんでカゲトはすんなり受け入れたのに、俺が異世界人なこととリメアが女神様なことは理解してくれないんだよ!


「まぁいい。そんなことよりも……」


 ツユが視線をスライムに向ける。


「青いスライムだから、あやつの属性は水だな」


 水属性か。

 ……てか、ゲーム脳のおかげで属性とかすんなり受け入れてたけど、実際どんなものなんだろうか。


「ツユ、あいつはどう対処するの?」

「雷魔法でいけるな。だが、それだとお主らの成長度合いが分からん。だから、ここは別のやり方で倒すことにする」


 えぇ……。

 俺とカゲトの成長度合いとかどうでも良いから、ちゃちゃっと魔法で倒しちゃってくださいよ……。

 そんな俺の思いもつゆ知らず。

 ツユはバックパックから小さな鍋と、瓶に入った土を取り出した。


「ウォーター」


 鍋に魔法で水が注がれた。

 ツユはその中に、土を入れて混ぜる。


「ツユちゃん? 泥なんか作って一体何に使うの?」

「いやいやリメア、ここで泥は作らねぇだろ。きっとあのプルプルを倒す薬とかだ」


 リメアとカゲトが、ツユの調合を見ながら言う。


「いや、只の泥水だ」


 只の泥水なんかーい。

 ツユはその泥水を使って、泥団子を作っていく。


「ビッグスライムはな、分裂期の間は、体の中に不純物が入るのを好まないんだ。そこで、こいつを投げてやる。奴の体はなんでも吸収する割に、消化が遅い。だから、動きが鈍くなるんだ」


 ここでリメアがハッとした表情で続けた。


「分裂期の今なら、消化と分裂の両方にエネルギーを使うから、相当動きが鈍くなるはず。そこを叩くってことだね!」

「そういうことだ」


 なるほど、分裂も動きも遅くなったビッグスライムはカモってわけだ。


「でも、あの周りの偵察スライムはどうするの?」

「奴らはアホだから、一番最初に見た敵を襲ってくる。だから、囮として一人出て行って、残りの三人で横から叩けば良い」


 動きが遅いビッグスライムに襲われる心配も無し、なぁんだ、いけそうじゃん!


「…………で、誰がその囮になるんだ?」

「「「…………」」」


 カゲトの言葉に、皆一斉にカゲトの方を向く。


「お、俺?」

「当たり前だ。ナイトなのだから」

「カゲト、俺なんかより剣振れるし」

「よろしくね〜」


 カゲトは少し困惑したが、すぐに諦めて剣を抜く。

 俺は全員に、腕力増強と脚力増強の支援魔法をかけた。


「囮か……。死なねぇよな?」

「大丈夫だ。偵察スライムの消化能力は低い」

「多分肌に当たってもピリッてするくらいよ」

「本当かなぁ」


 カゲトは呟くが、顔は楽しそうだ。

 囮なのに、楽しそうなの凄いよな。

 俺もカゲトみたいなタフな人になりたい。

 俺の支援魔法に続いて、ツユがプロテクトを全員にかける。


「まずは私がこの泥団子を投げる。ビッグスライムが消化し切る前に、偵察スライムを殲滅。あとはビッグスライムを袋叩きだ」

「「「おー!」」」


「鈍くなるだけで動かないとは限らない。くれぐれも、偵察スライムに気を取られてビッグスライムの攻撃を食らうんじゃないぞ!」


 ツユはそう言うと、錬金術で作った泥団子をビッグスライムに投げつけた!

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