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023 天界への定期報告①

 私は神聖術のオールテレポートを使い、天界に戻ることに成功した。


「はぁ……はぁ……まさか天界に来るのにここまでの魔力が必要だったなんて……」


 まさか、普通の魔法の四分の一程度しか魔力を使用しないはずの神聖術でこれほど疲れるとは。

 普通のテレポートで戻ってきたミツルは、一体死に際にどれだけの魔力を吸収したのだろうか。

 私はふらふらしながらもそんな事を考える。

 そしてゆっくりと顔をあげて……。


「おぉリメアか、初めての課外任務は順調か?」


 そこにはポテチを咥えて"私のデータで"ゲームをプレイしている父の姿があった。


「ああ! ちょっとお父さん!? なんで私のデータでプレイしてんのさ! セーブデータ三つ作れるんだから、自分の作ればよかったのに!」


 私が声を張り上げると、お父さんは口を尖らせる。


「父さんは一番上のデータがやりたかったの! と言うかリメア、なんだこのセーブデータは。イケメンキャラクターばっかりじゃないか。しかもいちいち攻撃するたびに"君は僕が守る"とか"俺の後ろが安全地帯だぜ"とかクサい台詞を」

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 私は咄嗟にお父さんからゲーム機を取り上げてまくしたてる。


「別に良いじゃない! こう言うのが趣味で悪かったですねぇ!」


 するとお父さんはハハハと笑い


「冗談だよ冗談。相変わらずいじりがいがあるね」


 ふざけた父親だ。


「むーー」

「まぁまぁそんなに怒るなって。それで、あの件、何か手掛かりは見つかったのかい?」


 お父さんが、今度は真面目な顔でそう問いかけてくる。


「そうだ。そのことなんだけど……」


 私は昨日のことを事細かに説明した。

 なぜか召喚獣が世界をまたいでの召喚魔法を使用したこと。

 それによって召喚されたカゲトのこと。

 お父さんは私からの説明を聞いてから、ゆっくりと口を開いた。


「世界をまたいでの召喚……か」

「うん」

「とりあえず、そのカゲト君は大丈夫なんだよね?」

「大丈夫。言語習得の神聖術をかけておいたから」

「うむ。神隠しの被害者を見つけたら、引き続き頼む。しかし……」


 お父さんは顎に手を当て、唸る。


「ミツルくんの件といいその召喚獣といい、一体二つの世界の間でなにが起こっているんだ……?」

「やはり、何者かが"神格化"の機会を召喚獣に与えたとしか……」


 お父さんはしばらく考え込んだあと、こう答える。


「神格化を促せるのは神だけだ。可能性があるとすれば……」


 お父さんはここで躊躇った。

 おそらくこの後に続く言葉は"神の堕天"だろう。

 しかしお父さんはこの言葉を口にしようとしない。

 私自身、そう思いたくは無い。

 ここ数百年で天界から姿を消した神は──





 ──私の母親だけだから。




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