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episode1木枯らしの少女

投稿が大変遅くなり申し訳が立たない今日この頃………(次早く投稿するとは言ってない)

気長に待っていて下さりありがとうございます。




「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅう~~~~~_____あっ///」


随分と間の抜けた音が室内を走り抜けた。

笹木の腹の虫が鳴りやむ事は無い。


笹木の超常使用限界まで大体三十二秒。





****     ****








両者共に超常限界が近ずく中、刻々とリミットは迫ってくる。

一方管制室では静寂が場を支配していた。戦闘の余波による衝撃波で点灯を繰り返す蛍光灯は今にも事切れそうだ。

今、リンデルバルドな掛けられた多大なる期待の念がバトルフィールドのなかで破られそうに見える。


当然ながらリンデルバルドは優秀なのだ……なのだが、ハーマンは英雄の後継は優秀なだけではいけないのだ。


優秀な奴などゴロゴロと転がっている。




笹木もその‘‘優秀な人間‘‘の一人、




英雄とは唯一無二でなければならないのだ。




残念だが奴は期待外れも良いところだろう_______



ここに置いておく価値はもう存在しない。



この判断を下したこの男にはまるで三日月の様な笑みが湛えられていた。


「ちっ_____役立たずが」


リンデルバルドの廃棄がほぼ決定事項となった時管制室の中から荒々し口調の男が速足で管制室を出て行く。

自動ドアが閉まるころには既にその男の姿は無かった。








***    ***    *** 



【巨大樹の(ふもと)




黄金に輝くハーブに指を絡め女は音を奏でる。

巨木の幹に寄り添うように置かれる墓石の上に腰かける女は妖艶(ようえん)な微笑を浮かべ声を紡ぐ。


『むか~し、むかし♬』


女はまるでそれが意味の無い石ころの様に足を墓石に打ち付けリズムを刻む。


『緑豊かな自然の星が♪赤い涙を流しました。ああ坊や、可愛いカワイイ私の坊や♬』


光に照らされた髪が光りその髪は緑にも青にも見える。それはさながらカメレオンの様に変幻自在であった。


『どうか悲しまないで、その瞳を赤く染めて_________』


女が足を打ちつける墓石には花が添えてあった。

ほんの数刻前に変えたばかりの真新しい花。


誰かのその花を踏み抜くと女は忽然と姿を消した______________










***    ***    ***





【木枯らしの少女】




世界は暗闇でできている。

それは底の無い沼の様で暖かく見えて心を(むしば)む。

それはきっとずっとずっと昔からそうなんだろう。


世界は暗闇でできている。


千郷(ちさと)ー早く下りてきなさーい。今日から高校でしょう。初日から遅刻とか止めてよぉー」

「はーい。わかってるよ、今行くー」


少女は鏡の前で髪を纏める。

クルミ色の髪は肩あたりでカールし学生服に身を包んでいた。

琥珀色の瞳は光を反射し千郷をより可愛らしく見せる。


千郷はドタドタと慌ただしい音を立て階段を駆け下りリビングにいる母を見つけると勢いよくリビングのドアを開けた。


「お母さん行ってきます!!」

「はい、いってらしゃい。これお弁当ね」


母は千郷のお弁当を手渡すと一杯のコーヒーをすする。


「ありがとぉー!」


気前の良い返事と共にガッタンゴットン騒々しく千郷は学校に向かった______


「もう、あいかわらずね………」


そうぼやく母の顔は日に出の様に暖かかった。














千郷の入学式が終了して直ぐのころ千郷のクラスではガイダンスが行われていた。


「おはようございます、皆さん。そして新しく入学した方も進学した方もこれからよろしくお願いします。私は世良拓穂(せらたくほ)


世良先生は黒板に名前を書くと人当たりの良い笑みを浮かべた。いかにも‘‘いい先生‘‘そうだ。

窓から入り込む滑らかな風が千郷の頬を撫で千郷の髪を優しく揺らす。


「皆さんももうご存じだと思いますがこの学校についてご説明しますね。このティファレト・ゼクス管制(かんせい)軍予備(ぐんよび)国際履修国際履修(こくさいりしゅう)高校について」

「この学校は小、中、高、大とエスカレーター式なのはご存じですね。そしてこの学校のすべての生徒達、つまり君たちの最終目標は管制隊へと至ることです。当然編入や途中進学の生徒は小学からわが校に所属している生徒よりも不利になりますが______そんなものは関係ありません。ここにいる皆さんは等しくエリートです。ですのでっ」

「プックク…」

「何ですか波江野(はえの)君。なにか言いたいことが?」

「いいえ、なんでもありませ~ん」


意気揚々とするその態度は人の琴線を凄く刺激しそうだ。

それに、波江野君はガイダンスの前まで波江野君の前の席の子のゴミをこっそりぶつけていたし___


世良先生のお話の途中も頭に手を組んで机に脚まで乗っけていてろくなことをしていない。

正直ああいう人は嫌いだ、好きな人もいないと思うけど。


「そうですか、では姿勢を直してしっかり聞いてください。貴方もですよハーマン君、何時まで寝ている気ですか…」

「え、あぁ」

                            

まったくあの子もなんで自分は注意されないと思ったんだろう?ま、いいや。


「話を戻します。皆さんが目指している管制隊昇格試験となっているWGLが運営するトーナメント、ヘミスフィアの出場は高等部校内順位における上位100名の参加が認められます。校内順位はもう既に決まっていますので後に配布される端末にて確認してください。生徒登録などの個人情報も入っているので失くさないでくださいね」


なるほど失くしたら一冠の終わりなわけか。これは気お付けなければ_______


「これから一年間、普通の高校としての行事や部活もありますのであまりこの学校の特殊性に捕らわれず青春を楽しんでください。今日はこれでお終いですが部屋造りや買い物もしなければならないでしょう。早めに寮に行くことをお勧めします。それでは」


世良先生はガイダンスを終えるとさっさといなくなってしまった。

世良先生と同じ様に直ぐいなくなってしまった者もいた。さっき白昼堂々寝ていて波江野君にゴミをぶつけられていた子だ。


取り合えず暇になってしまった、私五十嵐。

そこはかとなく自然に視線を教室中に漂わせるともう既にコミュニティーが形成され、幾つかの塊がある。

そんな中に千郷の真反対側に一人の女子生徒が千郷の目に止まった。

冷徹の美姫と言っても過言ではない薄水色よ水縹色(みはなだいろ)の混ざった様なまるで熱帯地域の幻想的な海の様な髪と瞳の色をした少女。


やっぱり一貫校なだけあってグループできるの早いなぁ~。

でも私はラッキー、友達に成れそうな人発見!

哀れな一人っ子よ、私と友達になろ~う。


千郷はてけてけと少女の方に寄っていくと少女の机の前に回り込み少女の机に伏せ話かけた。


「ねぇ、私と友達にならない?」

「ん。なんで?」

「ふぇ!?」


次もお楽しみに!!

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