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路上で消えた友情

作者: ねこーん

 中年男性を脅して財布を取った男が居た。それを見ていた少年たちは、勇気を出して捕まえに行った。しかし、不運なことに男は凶器を持っていた。一人は胸を、一人は脇腹を。一人は亡くなり、一人は重傷。命を懸けて戦った少年たちを、「若い正義感、路上に散る。」で終わらせていいのだろうか・・・

                              ―――路上に散った正義感


 はぁ。

 溜息を一つ。現実にこんな話があるのが信じられないのだ。昔の新聞が置かれていたので読んでいたが、痛ましい事件が多い。朝から嫌な気分になってしまったが、今日も学校へと足を運ぶ。

 休むわけにもいかないしな…

 学校に着いた。この程度でいちいち休むほど、僕の心は弱くはない。学校は、なんとなく憂鬱だが。

「お!○○~!」

 自分の名前が呼ばれた。こいつは…鈴木だ。古くからの友人だから、声でもわかる。

「おはよう」

「今日は元気がないな?どうした。」

 挨拶しただけで体調が分かるのか、嬉しくもあり、キモチ悪さもあるような・・・

「まあ、ちょっと。今朝の新聞で痛ましい事件読んじゃって・・・」

「あー、朝から大変だな!まあ元気出せよ!俺がいるんだし!」

 この自信過剰気味なところが今となっては心地よさも感じてくる。心の支えのようなものなのだろうか。6時間もある授業を乗り越え、早く家に帰りたい。特に理由も無いのだが。


 キーンコーンカーンコーン・・・

 多くの人が賛辞を贈る、終わりの鐘が今鳴った。軽い挨拶を鈴木と交わし、足早に家へと向かう。鈴木とは家が正反対なため、一緒に帰ることはほとんどない。

 ただいま。

 家に帰っても帰ってくる言葉は無いので、心の中であいさつをした。いつものように、机には置手紙と数百円の小銭。これで夕飯を買うのだ。いつもは家の近くのコンビニを利用しているが、今日はなんとなく駅前の弁当屋で買ってみたくなった。事件を目の当たりにするまで、そう時間はかからなかった。


 あたりはすっかり暗くなっている。6時くらいだろうか。冬めいてきたために少し肌寒い。もう少し厚着で来るべきだっただろうか。そう言えば、こっちは鈴木の家の方向だな。

 ちょっと寄ってくか?

 やめておこう。この時間、鈴木が家にいるとも限らないし。第一迷惑だろう。そんなくだらない事を考えていた僕は、街灯が届かないような薄暗い道のりを歩いてゆく。曲がり角を曲がろうとした瞬間、何か音が聞こえた。

 ゴッ ゴソゴソ ~~~。

 話している、だけだったら何も問題は無かった。しかし、ゴッという鈍い音を僕は聞き逃さなかった。

 何かが起きている

 そっと、そーっと角から様子を見る。喧嘩…か?いや、一方的に殴られているようにも見える。殴られている男の顔が見えない。ふと、とても嫌な想像をしてしまった。鈴木か…?確かにこの辺りに住んでいるはずだが、だからと言って鈴木とは限らないじゃないか。

 助けよう

 助けなくては、たとえ鈴木じゃなかったとしても。何か悪いことが起こっているのは分かっている。高鳴る心臓を押さえつけ、勇気の一歩を出そうとする。今なら後ろを向いている。チャンスのはずだ。だからと言って、勝てるかどうかも分からない。

「助け・・・ぐ」

 鈴木だ。その途端に、僕は走り出していた。うなりを上げて、僕は右腕を振り下ろす。その腕は、男の後頭部に直撃した。やったか!?そう思う間もなく、男はこっちを振り向いた。ガッと首を掴まれ、足が宙に浮く。しゃがんでいたからか、身長は思っていたより大きかった。いつの間にか倒れていた鈴木が起き上がっていた。助けてくれ!っと叫ぼうとしたが、鈴木は走って逃げてしまった。男に放り投げられて、壁に叩きつけられた。衝撃で息ができない。目の前の男が刃物を構える。男に殺される恐怖よりも、友人に裏切られた衝撃の方が大きかった。

 鈴木・・・

 ひゅうっと音を立てて大きな刃物が振り下ろされた。


「 ー○○区で無惨な事件ー 昨日午後6時ころ、○○区で少年が刺され亡くなる事件が起きました。暴行を加えているところを目撃した少年は、犯人を止めようとしたところ持っていた刃物で刺され、亡くなりました。X年前の悲惨な事件を思い出します―――」

読んでいただき、誠にありがとうございます。本作は初めて作成させていただいた短編であり、やはり拙い部分も多々見受けられたかと思います。それでも、楽しんでいただけたなら幸いです。


誤字、文章としておかしい点がありましたら、ご指摘お願い申し上げます。

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