Part 1 ♡1
ピンクは見た目のよくわからないいきものでした。チコちゃんはそれをペットショップでパパに買ってもらい、意気揚々とチコちゃんの家へ帰りました。ピンクはすぐにピンクと名付けられ(それは見た目がピンク色だったからです!)チコちゃんはピンクのお腹のところにちょこんとついているQRコードをよみ取ると、さっそくピンクのデータをスマホで調べてみました。するとどうでしょう! チコちゃんは叫びます。
「この子、『かわいさ』が30しかない!」チコちゃんはピンクを床にぺしっと投げつけました。ピンクの体が床ではずみます。もしピンクがふかふかの体毛で覆われていなかったら、ピンクは大けがをしていたことでしょう! チコちゃんは言います。
「いらない!」
チコちゃんのパパは困りました。ねえ、そんなことを言ったら、ピンクが可哀想だよ。チコちゃんのパパは言いました。でもチコちゃんは意見を曲げませんでした。「いらないったら、いらない!」
「どうして?」
「だって――」チコちゃんは言おうとしていた言葉をのみ込んで、ついには泣き出してしまいました。こうなったら困るのはパパです。
「わかったわかった」と、チコちゃんのパパは言います。「そこまで智子が言うなら、ピンクはパパの会社のひとにひきとってもらうことにしよう」
「わーいパパ大好き!」チコちゃんはそう言ってパパに飛びつきました。驚いたのはチコちゃんのパパです。「智子は甘えんぼさんだな」とは言っても、やはりチコちゃんのパパも嬉しいのか、満足げな表情を顔にうかべています。ただひとり、すみっこでとり残されたピンクだけが可哀想でした。ピンクはなんとも言えない哀愁のただよう表情をうかべて、パパとチコちゃんを見ていました。とそこへ「智子ー、パパー、帰ってきたよー」チコちゃんのママが帰って来ました。ピンクがすがるようにママの元へ駆けよります。ママはピンクを拾い上げて、おなかにQRコードがあることにまずおどろきました。「なんでこの子、お腹にバーコードが付いてるの?」
「QRコードだよママ」チコちゃんがそれを訂正します。「この子ね、マンガの登場キャラクターなんだ。ピンクっていうの。マンガだとこの子たち一人一人に、決まった能力があって、それがこのコードをスマホで読み取ると、画面に表示されるの。でもこの子、『かわいさ』がたった30しかない!」
ママはチコちゃんの話とチコちゃんのいる時代に、おいて行かれそうに感じました、いえ、ママはすでに時代にとり残されているのかもしれません。しかしなんとか話をあわせようと、「その30っていう数字は、すくない方なの?」チコちゃんに尋ねました。
「すくないよ!」チコちゃんは声を張りあげました。「こんな数字じゃ、ピンクは進化できないよ!」
「進化っていうと」チコちゃんのママの頭に、昔、チコちゃんのママがパパから買ってもらった、モンスターをボールで捕まえて戦わせるゲームの内容がふっとよぎりました。でも違うのでしょう。ママは訊きかえしました。「進化っていうのは、スマホの中でするものなのかな?」
「違うよ」チコちゃんが得意げに言いました。「この子たちは『かわいさ』が300を超えると、繭を作って冬眠するの。それからその繭を破って、人間になって出てくるの」
その答えに、ママもちょっと興味が湧いてきたようです。
「じゃあ、ママと一緒に、この子の『かわいさ』、300まで上げてみようか?」
「うん!」
*
ピンクのエサやりはチコちゃんのパパが担当しました。ピンクがなるべく『かわいく』なるようにと、ママはここで力を発揮します。ピンクのたべるもの(ピンクの場合、「エサ」とは呼ばないのです。「エサ」ではすこしもかわいくないからです)はナッツ類、それもヒマワリの種と決まりした。だって、ピンクがそれを口の中に入れて、もぐもぐほお張っている姿は、それはそれはとても愛嬌があるじゃありませんか。ピンクもそれを分かっているのか、食べる時にはきちんとこちらを向いて食べてくれることもあり、また、食べてくれないこともあり、まあ半々の割合でした。一度目の食事のあと、さっそくチコちゃんは、ピンクを腹ばいにして胸のQRコードで『かわいさ』があとどれくらいか計ってみました。スマホ画面に測定中の文字がうかびあがり、ピンクの兄弟たちが画面の上でうで立てをしたり、おどったりして、姿をこちらにアピールしてきます。さて、ピンクの『かわいさ』がどれくらいだったか、チコちゃんが期待に胸をふくらませ、画面をのぞきこむと、出ました。27の数字です。予想以上の少なさ――それも以前より下がっているではありませんか――にチコちゃんはがっかりして、
「ピンクー、おまえなー」と、ピンクに愚痴をいいはじめました。「お主、まじめにやっとんのかー?」
しかしそんなピンクに強敵が現れ、チコちゃんをのやる気をがぜん、勢いづかせることになりました。お隣に住んでいるお姉さんが飼っているハムハムとクラスメイトのまこっちゃんが飼っているパパイヤです。特にハムハムは強敵でした。「おいら、ハムハムって言うんだぜ」お姉さんのうちに遊びに行ったとき、ハムハムはチコちゃんに言ってのけました! それはチコちゃんにとって軽い――いえ、軽くない――衝撃でした。それはこのどうぶつに鈍器で頭をぶん殴られたようなものです。そうです。このよくわからないいきものは、『かわいさ』が100を超えると、人の言葉を解すようになるのです。そのことをチコちゃんは忘れていたのでした。しかし、このハムハムは話せば話すほど生意気なやつで、
「ヨオ、なんかくれよ」
チコちゃんは、
(なんだこいつ! 全然かわいくない!)
と、思わず叫びそうになったほどです。チコちゃんは闘争心にうち震えながら、家へ帰りました。だってハムハムみたいなまるでかわいくないやつに先を越されて、人間になられたらたまったものじゃありませんからね。翌日、チコちゃんはピンクを連れ、まこっちゃんのうちに彼女が飼ってるパパイヤを見に行きました。パパイヤはどうやらメスのようです――このよくわからないどうぶつに性別があれば、の話ですが。かわいさも100を越えているようで、そしてなにより丁寧で、チコちゃんにも非常に親切な受け答えをするので、チコちゃんは、パパイヤにとても好感を持ちました。けれどチコちゃんはそんなパパイヤに、悪いと思いながら、ついあら捜しをしてしまいます。
(もっと頭の悪い子の方が良かったなあ――うちのピンクみたいに)
そのことに気付いたチコちゃんはホッと胸をなでおろしますが、パパイヤが心配そうな声で、
「チコちゃん、どうしたプリン? 元気ないポロロ」
「ううん大丈夫だよパパイヤ」
言うと傷つくから黙っていましたが、こいつヘンな喋り方だなあ、とチコちゃんは思っています。そんな行儀のいいまこっちゃんのパパイヤや(そして行儀の必ずしも良くない)お姉さんのハムハムですが、二匹ともふたりの家族からの評判は散々でした。パパイヤの『かわいさ』が100を切るまでは友好的だった、まこっちゃんのママは、言葉を話すどうぶつというのにいまだなれてくれず、パパイヤを蛇かつのごとくきらって、パパイヤがいる部屋には決して入ろうとはしません。それよりひどいのがあの態度の悪いハムハムでした。なにせ、いつもあの調子ですから。お姉さんはハムハムを家に置いておくのに、毎日、彼女の両親とけんかするありさま。ハムハムの『かわいさ』があと59で人間になると知った、お姉さんのママは、なんと、ハムハムを殺そうとしました。それに声をはりあげて抵抗したのもやはりお姉さんです。お姉さんは母親に、
「人殺し!」
と、言いました。すると、
「ハムハムは人じゃないでしょ。けど本当に人になったら、うちでは面倒を見切れないから、保健所に連れていってもらうのよ」
「それが人殺しなのよ!」
すると、
「そうだぜ、そうだぜ、おいらもそう思う。おいら殺されたくねえよおー」
ハムハムがやけに茶化した調子でいうので、お姉さんはつい笑ってしまい、ほら、ハムハムもそう言ってるわよ、と言いましたが、お姉さんのママには逆効果だったようです。いよいよ火に油を注ぐ結果になってしまいました。
「明日捨てます!」お姉さんのママはハッキリ断言しました。「ハムハムはうちにはいられません!」
*
「じゃあねハムハム……」その日の夕方、お姉さんはそっと言って、ハムハムを窓から逃がしました。
「でもリコ、おいらがいねえと、何もできねえだろ。いいのかよ。おいら別にいいんだけどさ」
「いいのよ。あっ、ママが来る! 早く行って!」
「あばよ。おいら、ここにいてなかなか楽しかったぜ」
そういい残してハムハムは行ってしまいましたが、行き先はそのお隣の、チコちゃんたちが住んでいるお家でした。それにだれよりも憤慨したのが、誰あろうチコちゃんです。ハムハムが可哀想だと思ったからではありません。このとげとげしい話し方をするハムハムが嫌いで、しかもそいつが家に来て、「おいらここに住みつくことにしたぜ。よろ」と宣言したから、チコちゃんは怒っているのです。しかも、
「こいつ、ピンク色してて、ブタみてえだな」
ハムハムは言いました。
それに怒ったのがチコちゃんです。チコちゃんはハムハムをひっつかんでこらしめようと、両手を伸ばしてハムハムを捕まえようとするのですが、ハムハムはそれを、いたって簡単にすり抜けてしまいます。なにせ命がけの逃げです――しかしハムハムの方にはチコちゃんと違い、いたって余裕というものがありました。今年で130㎝になったチコちゃんと、体調10㎝にも満たないハムハムは、どうやら互角のようです。ハムハムは逃げながら「お前そこでつっ立ってないで、何とかしろよ」と、ピンクに呼びかけました。ピンクが、
「わたし? ぼく? どうすればいい?」
と、いうと、
「ピンクが喋った!」チコちゃんが飛びあがって驚きます。ハムハムを捕まえてとっちめることなど、彼女は忘れてしまったようでした。「すごーい! どうやったのハムハム?」
「し、知らねえよ」
ハムハムもこれに動揺しているようでした。それもその筈、自分が言葉をおぼえ始めたとこのことを、ハムハムも覚えていませんでしたから。つい乱暴な口調なって、ハムハムは返します。
「ヨオ、兄弟。お前は男だ」
「やめて!」
チコちゃんがハムハムに割って入りました。「この子はかわいい女の子にするんだから!」
「ヘイ、ブラザー」
「やめてってば!」
このへんないきものは初めのうちは性別というものが決められていません。その育て方によってオスになったりメスになったりする、まことに不思議ないきものなのです。で、チコちゃんは当然この子をメスにしたいと望んでいるわけですけれど、それに茶々を入れてハムハムが邪魔をします。どうやらハムハムは、ピンクにはオスになってほしいようでした。
「ハムハム、じゃまをしないで」
「いやあーだね!」
なにこのムカつく感じ? チコちゃんの脳裏に、クラスメイトの男子からからかわれた時のことが思いおこされましたが、クラスの男子さえ、この口な達者なハムハムと比べたら、まだしも紳士であると言えるでしょう。しかしヒマワリの種を数粒やると、ハムハムはすぐに黙ってしまいました。こうしてハムハムを黙らせる手を見つけたチコちゃんは、今後それを積極的に活用していくことに決めました。そしてそれは、実際、有効だったのです。
*
チコちゃんはハムハムの挑発には乗らずに、とりあえず、ピンクのお腹のQRコードでピンクの『かわいさ』を計ってみることにしたのですが、何と驚いたことにあれから数字が40も伸びて、ピンクの『かわいさ』は67になっていたのです。ピンクにしてみれば、これは上出来な数値でしょうが、
「だっせー。雑魚やんな」
ハムハムは言います。チコちゃんもそろそろハムハムのあつかいに慣れてきたのか、
「だまってて」
と、それにいい返しました。ハムハムはそれからもピンクに酷いのです。「ヨオ、雑魚ピンク」などと言って、右も左もわからないピンクを困らせます。まったく。
「ハムハムはピンクをいじめないで!」
チコちゃんはついに、声を張りあげて、ハムハムにいいました。するとハムハムにもそれがつうじたのか、
「はあーい。わーったよ。たくっ……」
その時です。
チコちゃんのママの声が一階から届いてきました。チコちゃんは大あわてで一階に降りようとしますが、慌ててハムハムに言います。「ハムハムはついてこないで!」
「なんでだよチコー?」
「ママが怒るからだよ!」
「なんでチコのママが怒んだよ」
「そういう態度とるからでしょ!」
そう言うと、チコちゃんはハムハムを置いてピンクと一緒に、一階に降りて行ってしまいました。けど、ハムハムはその一瞬の隙を見はからって、ドアのすき間からチコちゃんの部屋を逃げだすと、階段をポンポンはねて一階まで来てしまいました。チコちゃんは、ママのつくったハンバーグとお野菜のばんご飯を食べているところでしたが、ハムハムの姿を見ると、それはもうぎょっとしました。チコちゃんのママは上機嫌で――それはピンクが少し言葉をおぼえたからで、このことに彼女は大変感銘を受けていたのです――、ピンクに一々質問をしては、こたえが返ってくるのが面白いらしく、「じゃあピンクちゃんも今日からうちの子ね」と言ったとき、ハムハムの姿を足もとに見つけたのでした。「あらこの子は?」
「おいらハムハムだぜ」
「どこから来たの?」
「隣のお姉さんのうちがおいらを飼えなくなったから、おいらここに来たんだ。なあ、ここにおいてくれよ」
お姉さんというのがお隣のリコちゃんだということは、チコちゃんのママにも大体検討が付きました。ハムハムがここまで饒舌にしゃべれることにも、チコちゃんのママはとても感心しました。けれどそれとこれとは話が別です。ここまでうまく話せるならなおさら、自分勝手に路傍に捨てていいという訳にはまいりません。いちど家族にむかえ入れたなら、責任をもって、最後まで飼うのが筋というものでしょう。チコちゃんのママには、どうもそう思われたのでした。
「お隣のおばさんに私言ってみるわ。ハムハムそれでいい?」
「やだよ。おいらあのばあさん嫌いだもん」
「ハムハム、そんな事は言わないの」
「これ旨そうだな。おいらこれもらった!」
ハムハムはそう言うと、チコちゃんの皿の上にのっかっていたソーセージを、チコちゃんから横取りして、バクバクうまそうに食べ始めました。そのお行儀の悪いことったら! チコちゃんとママはすっかりハムハムに呆れてしまいました。「もっとお行儀よく食べなさい――ピンクみたいに」
そうです。ピンクは大人しくて、とてもお行儀のいい子なのです。ですがハムハムは、
「まずそうに食うなあ」ピンクに言いました。
チコちゃんのママは少しムッとなりましたが、まあしょせんはどうぶつのいうこと、いくら言葉をわかっていても、どうぶつはどうぶつ。この家の長、ママとの上下関係はゆるぎません。こればかりは絶対です。チコちゃんのママは大人の余裕を発揮していいました。「ハムハムがそんなにおいしかったなら、ママもうれしいわ」
「おいらを飼ってくれるんだね?」ハムハムはすかさず言葉尻をとっていいました。
「しょうがないわ」ママはあきらめて言いました。隣の席でチコちゃんがうらめしそうな目でママを見ていました。「チコ、そんな怒らないの。ハムハムが嫌い?」
「おいら嫌いだな」
「ほら、こんなこといってるよ! ハムハムはすこし生意気なんだよ」チコちゃんは怒った口調でいいました。「わたしそう思うな」
「おいら行くあてがないんだよ」
「たのみ方があるでしょ」
「だって、おいら人間じゃないから」ハムハムはあいかわらず、ものを口に入れたままはなしします。「こんな風にしか話せないんだ。でもおいらが人間になったら、少しはましになると思うよ」
「それホント?」
「ホントホント。いっとくけど、ぜんぶのよくわからないいきものが、人間になれる訳じゃないんだぜ。人間になれるのは、なにかを持ってる、ひと握りのよくわからないいきものだけなんだぜ。言葉をおぼえずに終わるやつもいれば、少し話せるようになって終わりってやつもいるんだぜ。マ、大方、ピンクはあとの方だな」
「ピンクは人間になれるもん!」
「イヤ、なれねえな。おいらそう思うぜ」
「なれるったらなれるもん!」
ハムハム、とチコちゃんのママが言いました。「ケンカは止して。もしあなたがうちにいたかったら、智子とケンカはダメ。智子もいい?」
「はあーい」
チコちゃんとハムハムは口をそろえていいました。ピンクはレタスをもぐもぐと食べているところでした。野菜が好きなのでしょう。さっきからピンクは、肉をひとくちも食べていませんでした。おいしい? とピンクは自分に問うようにいいます。「これ、なに?」
「レタスだよ、ピンク」
「肉食えよ」
「ハムハムはだまってて!」
「野菜なんてそんなうめえもんじゃねえのにな」ハムハムの減らず口は止まりません。とまあ、その日はこのような感じでくれていき、チコちゃんはその晩はピンクと、そしてハムハムと一緒にベッドで眠ったのです。二匹の毛なみのもふもふな感じが、チコちゃんにはとてもここちよかったのですが、その夜中、いきなり「おい!」という、ハムハムの乱暴な声でチコちゃんは目を覚まされたのでした。
「コノヤロー! 重いぞ!」
「あ、ごめん」チコちゃんは謝りましたが、昼間のこともあるので差し引きゼロという感じです。なにせハムハムは悪口を言い過ぎています。チコちゃんはもう今後20年分くらいの悪口を、すでにハムハムから言われてしまったように感じています。ハムハムの口の悪さは一体だれに似たのでしょうか? ハムハムがお隣のお姉さんに似たとは、チコちゃんにはとても思えませんでした。きっと、生まれつきなのでしょう。
「すこしはダイエットしろよ」
あいかわらずのハムハム節ですが、そのいい方に、チコちゃんは少しムッときてしまいました。
「もうハムハムとは寝ない!」
「おいらもチコと寝んのはいやだな。だって、ヘンなにおいするもんな。人間て」
「えっ、そんなにおいするの? ハムハムの匂いじゃない?」
「おいら清潔だし」
チコちゃんはハムハムが今日、というかいつものことなのですが、お風呂に入っていないことをよく知っていますから、すかさずそれに反論します。もうこれで鬼の首をとったとでも言わんばかりの勢いです。「ハムハムはお風呂に入らないでしょ!」
「あー? そだっけ?」
するとハムハムは急にしらばっくれだしました。お隣のお姉さんにもよく使っていた、ハムハムの戦術その一です。
「しらね」
「ハムハムもう寝てよ。わたしつかれたから」
「おいらなんなら一日中しゃべれるぜ」
チコちゃんはちょっと声のトーンを冷たくしていいました。「ハムハム、寝て」
「あいよ」ハムハムはいいました。
いっぽう、ピンクは二人の話を横で聴きながら、もうぐっすり眠っていたところです。窓の外にはお月さまがきらきらとかがやいて、こちらを眺めていました。今夜も平和で、何ごともないまま、彼らはねむりに落ちました。よい夢を、見ることができるといいですね。