蒼から緑へ2
「Lが?」
「あぁ、例の奴らはLが今は抑えてくれてるからいいが、Lがティアの姿が見えなくて心配してたぞ?」
例の人達は例年通りなようだ。
それを毎年Lが大事にならないように、上手く納めてくれている。今もそうしてくれているようだった。その上、自分の姿が見えないことに、不安を感じているのだろう。彼に私を探すように言付けたのだろう。
「そうだね、Lにばかり負担をかけられないね。村に戻ろうか。」
その場の大樹を背に歩みを進める。
なだらかな丘に生える草花が、くるぶしの上の背丈まで生えており、少し歩きづらいが構わず進む。
青々と艶やかに生えている草花は、風が吹くと波をたて「サーッ」という音と共にしなる部分から光を放つ。
目映い緑色の絨毯には所々で黄色い小花が咲いているのが見える。
「そういえば・・・」
くるりと元来た道にある、樹の側に立っているタクミを見る。
タクミは先程の場所からこちらを見ている。こちらと、自分を呼びに来た彼の二人をだ。自分を探しに来た彼は、こちらの後を追おうとして、丁度、二、三歩踏み出したところなようだった。
「タクミは、今日はその親戚の人の家に泊まるの?」
そうタクミに向かって呼びかけるが、一瞬の間、沈黙が流れる。
「あぁ、その予定だが。」
「そっか、なら今夜の泊まる場所はあるんだね。今日はこの辺りはカエサルのお祭りで、遠くからきたお客さんで宿が満杯ならしいから。万が一、親戚の人のお家に泊まることが難しくなったら、ミキュリナ村の村長さんのお家を訪ねるといいよ。」
歩き始めた彼は慌てて此方に駆け寄ってくる。
「ティア!!なにを言うんだ!?こんな見ず知らずの奴に村長さんの家を案内するなんて!?」