6/7
蒼から緑へ
「この人は・・・」
何と言えばよいのか。
今しがた此処で昼寝をしていた人とでもいうべきか?自分のお気に入りの海と空を綺麗だと誉めてくれた人だと言うのか?
どう答えれば、彼は安心してくれるだろうか?
「オレは東の村、『エンドル』の国から来た、タクミだ。ここで眠ってたが、先ほど目が覚めたばかりだ。」
悩んでいると、隣にいた黒髪の青年は、自ら名乗のり、手を差し出す。
「エンドル!?そんな遠方から、こんな辺境の地になぜわざわざ来たんだ?」
差し出された手には目もくれず、彼はタクミの顔を睨む。
タクミは少し驚いた様子をみせたが、直ぐに気をとりなおして、差し出した手をもとの位置に戻す。
「この付近の村のミキュリナ村に親戚がいるばずなんだ。その人を訪ねに行くところさ。」
「親戚、ね。」
なおもタクミの顔をジロジロと見つめる彼の目は瞬き一つしない。
やがて気が済んだのか、タクミから視線を外す。
「まぁ、いいや。それより、ティア、Lが探してたぞ?早く帰ろうぜ。」