不運で幸運な冒険者
予定では3話にくっついてた部分です。
オーガの村に来てからもう3年が過ぎた。
狩りにも慣れて、1人でガイアスやレッドウルフを数匹1度に相手をしても勝てるようになっている。オーガ達はみんな良い奴ばかりで、俺が初めて1人で狩りをした時なんて、村人全員で祝ってくれたりもした。
この村は本当に居心地がいい。
だけど、そろそろ人間が恋しくなってきたりもしている。
拠点にしていた街には少なからず知り合いもいるし、故郷の両親も多分生きているだろう。
それに最近になって考えるんだが、クエストを受けて3年も行方不明の場合、死んだ事にされたりしないだろうか?
流石に死亡扱いは嫌だし、今なら森を抜けるだけの実力があると思うから、俺は1度森を抜けて故郷に帰ることにした。
「本当に行くのか?」
「すぐに帰ってくるかもしれないけどね。まぁ、里帰りみたいなもんだよ」
迷いの森から街道までの道のりはジャラモさんが知っていたみたいでお願いしたら地図を書いてくれた。今の俺ならモンスターにだって囲まれない限りはなんとかなるから大丈夫だ。
マッフルは少し寂しそうだったけど、こいつは最近彼女ができて何時もイチャイチャしてるので、すぐに元気になるだろう。
俺はこの3年で使い込まれたメイスを握りしめた。
ジャラモさんに造ってもらったこのメイスは3年間、俺をずっと守ってくれた。
幾度となく鍛えなおされたメイスは、今ではミスリルやアダマンタイトで強化された頼れる相棒になっている。
相棒のズシリとした重みは3年前の俺だったら絶対に扱えないレベルの重さだと思う。それを俺は軽々と持ち上げて肩に担いだ。
「じゃあ、行ってきます」
「せっかく戻るのだから、頑張って来い」
マッフルの言葉には答えずに俺は森へと入っていく。
マッフルやジャラモさん、オーガのみんなに見送られて俺は自分の故郷に向かって歩き出した。
ギルドにも顔を出さないといけない。あいつらはどうしてるかな?
・・・
結局人間に嫌気がさして直ぐに帰ってきてオーガの村に永住することになるんだが、それはまた別の話
俺は一般的に見れば不幸な冒険者だったかもしれないが、マッフルに出会えて、そして村のみんなに出会えた俺は幸運な冒険者だったんじゃないかな。
今ではそう思う。
主人公のカウルくんはオーガのオガ美ちゃんと結婚して幸せに暮らしましたとさ