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第六話 勇者はパーティを組む

仲間になりたそうな目でサトルを見ている。

「ふわぁ〜あ、やっぱり寝るならベットだよなぁ」


 久しぶりのベットで快眠したサトルは勢いよく伸びをした。本当ならもっと惰眠を貪りたいところではあるが、サトルは金欠で余裕がない。冒険者組合へと向かうべくサトルは手早く着替え、食堂へ向かった。朝食も期待以上の品が並び、いつも以上に食べてしまうのであった。


 冒険者組合に着いたサトルはまずは受付嬢の元へ。昨日の受付嬢の娘が今日も同じ場所で仕事していた。


「おや、おはようございます。サトルさん」

「おはよう…え〜と、名前聞いてないねそういえば」

「あら、そうでしたか。私はセレステ。ご存知のとおり王国冒険者組合の受付担当です。今後ともよろしくね」

「あらためてよろしくね、セレステさん」

「ええ、それで今日は何の用事できたのかしら?」

「実はすでに金欠でして、依頼を受けたいんですけど」

「なるほど、そうでしたか。どうやら私依頼についての説明も忘れていたみたいですね」

「そういえば聞いてませんね」


 どうやら名前の件といい少し忘れっぽいようだ。王国の受付嬢がそんな雑でいいのかとも思ったが、仕事能力より顔が優先なのだろう。


「え~、ではまず依頼の種類について説明させていただきます」

「お願いします」

「まず、依頼は大きく分けて3種類あります。常時依頼、指名依頼、緊急依頼の3つですね」

「ほうほう」

「常時依頼はその名の通り常時、依頼を張り出しているものですね。組合で受注する必要が無く、指定されたものを持って来ればその場で換金いたします。薬草や街道付近の魔物の討伐などが主ですね」

「魔物の場合は何を持ってくるのですか?」

「魔物の種類が分かる物なら何でもOKですよ。基本的にゴブリンなどの亜人族なら耳、スライムなどは体の一部ですかね」


 この辺も現実だからこその自由度だなぁ。ゲームだと最初から何の素材落とすか決まってるし。

 未だにゲーム気分が抜けていないサトルは説明を聞きながらそんなことを考えていた。


「指名依頼は商隊の護衛任務などの、受注が必要な依頼ですね。基本的にはランクと人数が依頼者から指名されるので、その条件に合った人が受注することができます。もちろん名指しでの依頼もありますけど」

「てことはもしかして、指名依頼はEランクは受けられない?」

「そうですね、わざわざEランクを護衛に依頼する人はいませんから」

「ですよね…」

「緊急依頼は事件などが起こったその場にたまたま出くわした時に使う制度です。事後でも依頼扱いにできるのでランクを上げる為にもぜひ利用してくださいね。突発的な事件なんてそうそう出くわしませんけど」

「まあそれもそうですね」


 この受付嬢はさりげなくフラグをガンガン建てている気がするのは俺だけなのだろうか。この世界でフラグなんて言葉ないから大丈夫かもしれないが。


「それじゃあ常時依頼をやりたいので、今出てる常時依頼の内容教えてもらっていいですか?」

「ええ、いいですよ。今出てるのは、ポーションの材料になる薬草の採取と最近増えてきた亜人族の討伐です。まあいつも通りですね」

「それじゃあ薬草の方は自信ないし、討伐依頼こなすことにします。色々と教えていただきありがとうございました」


 サトルは勿論、この世界の草を見てもどれが薬草でどれが雑草なのか分からない。それにそもそも自分のレベルアップも兼ねて依頼をやるのだ。わざわざ戦闘が起こらない依頼をやる気にはならなかった。


「ちょっと待ってください!まさかお一人で討伐依頼をやるおつもりですか!」

「え、ええ。まだこの街に来て日も浅いですから」

「薬草採取ならまだしも討伐依頼を一人でやるなんて自殺行為ですよ!亜人族は群れを成して行動します。いくらサトルさんが強くても囲まれたら勝ち目がありませんよ」

「それは確かに」


 確かにどんなRPGでも基本的にパーティーを作っていた。いくら勇者が強くても回復役や魔法で遠距離攻撃する人は必要なのだ。


「じゃあどうすればいいんですか?」

「どこか既存のパーティーに入れてもらうのがベストですね」

「なるほど…」


 ここでサトルが乗り気でないのには理由があった。それは前世から引き継いでいる内気な性格である。高校時代友達が一人もいなかったサトルには、いきなりパーティーに入れてくれと頼むのは難しいと感じていたのだ。しかしそこに救いの手が現れる。


「ねえ、君。良かったら僕たちとパーティーを組まないかい?」

「え?」


 突然声をかけられたサトルは驚きながら振り返る。そこには少し年上くらいの3人の男女がいた。


「突然ごめんね、僕はノリト。一応三人で組んでるパーティーのリーダーだ。前衛で戦士だよ。よろしくね!」

「俺はモノル。後衛から弓での支援が本業だ。一応性能は低いがヒールが出来る」

「私の名前はコルモっていいます~。攻撃魔法が得意で魔法使いやってます。よろしくお願いしますね」


 そういって一人一人自己紹介をしていく三人組。ノリトは金髪の美青年だ。腰からショートソードを下げており、盾も装備している。片手剣みたいな戦闘スタイルなのだろう。モノルは青髪でクールな印象を受ける青年だ。ノリトよりも体は細いが無駄が一切無いといった感じだ。職業で言うとレンジャーが近いのだろうか。揃いも揃ってイケメン揃いだ。この世界の人間は本当に腹が立つ。


 そしてコルモは…デカかった。いや、身長は12歳の俺より小さいのだがある体の一部がデカいのだ。それはもう前世で見たことが無いほどに。一瞬富士山を思い浮かべてしまうのは日本人の性だろう。銀髪のツインテールで顔も恐ろしく可愛い。喋り方に似てなんだか全てがフワフワしている。


 余りのインパクトに若干呆けているとノリトから声がかかる。


「で、君の名前はなんていうんだい?」

「あ、ああ。僕はサトル。一応戦士です。こちらこそよろしく!」

「よろしくね。それで話を戻すんだけど、今から僕たちはゴブリンの討伐に行こうと思っていたんだけどご一緒にいかがかな?僕達は一応三人でパーティーを組んでいるんだけど前衛が足りなくてね。それで君を見かけたから早速誘ったわけさ」

「なるほどね、でもどうして僕が戦士ってわかったの?」


 そういうと三人の目線が一点に集まる。ああ、そういえばバカデカい剣を装備していたんだった。重さがわからないのでつい忘れてしまうが。


「そりゃもちろんその剣だろ。そんなデカい剣装備して平然としてるなんて目立たない方が無理って話だ」

「それは確かに…」

「同じ戦士としてもその剣でどうやって戦うのかとても気になるね!」

「確かに気になります~。ホントにその剣で戦えるんですか?」


 そう言いながら近づいて剣を触って確かめてくる。身体が近寄りすぎて体の一部分が当たっている。これで狙ってないなら相当な天然だ。圧倒的な破壊力の前にサトルは完全に思考停止していた。


「こらこら、あんまり素手で剣にさわちゃダメだろ」

「確かにそうですね!サトルくん、ごめんなさい~」


 そういってようやく離れるコルモ。数秒経ってサトルはようやく再起動した。


「いや、別に触っても大丈夫だよ。それはともかくほんとにパーティーに入っていいの?」

「うん、こちらこそ大歓迎だよ!それじゃあこれからは同じパーティーだ、一緒に頑張ってSランク目指していこう!」


 こうしてサトルは運よくパーティーメンバーを見つけることができたのであった。サトルは準備が出来ており、ノリトたちもできていたためそのままゴブリンの出現情報がある街道に向かって歩み始めた。

今回はついにヒロイン(仮)登場でしたね!

女キャラ書くの苦手なので皆様の評価が不安です…

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