第二話 武士は英雄となる
投稿日間違えてました…
遅れてしまい申し訳ございません
帝都に戻ってきたサトル達は魔王軍が攻めてきた事の事後報告をするため冒険者組合に向かっていた。サトルの能力がバレないように魔王軍の大半を倒したのはセリーエという事にするつもりだ。
冒険者組合の前に着くと中がかなり騒がしい。大体何故かは予想がつくが中に入って、入口付近にいた冒険者に理由を聞くことにした。
「あ、セリーエさん!どこに行ってたんですか!緊急事態ですよ!」
「緊急事態とは何があったんだ?」
「じ、実はですね。何と草原側から魔王軍が侵攻してくるらしいんです!詳しい規模は分からないそうですがインプだけでも1000体は超える大規模部隊だそうですよ!」
予想通り誰かが遠くから魔王軍を見ていたようだ。すぐさま冒険者組合に報告するため帝都に戻っているからサトル達の戦闘する姿は見られていないであろう。
「その件について組合長と話したいことがある。組合長は今どこにいるか分かるかい?」
「ここの会議室で帝国騎士団の隊長と会議を行っているはずですが…」
「なるほど。ありがとう」
組合長がここの建物にいることも分かったので受付嬢に事の次第を伝えに行く。
「あ!サトルさん達とセリーエさん!魔王軍侵攻の話聞きましたか?」
「ああ。至急組合長に伝えなければ無い事がある。組合長を呼んでくれないかな?」
「分かりました!」
流石この街で一番の有名人と言われるだけあって、受付嬢は急いで組合長を呼びに行った。これだけ有名人であればいい隠れ蓑になるだろうと少しゲスなことを考えるサトルであった。
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帝都冒険者組合会議室。そこはまさに戦場であった。数十年ぶりの魔王軍による本格的な侵攻。会議室がパニックになるのも当然であった。
会議室にいるのは現在いるのはまず帝都の物流を管理している産業大臣と軍事全般を担当している防衛大臣。帝国の6個ある騎士団の1番隊隊長と2番隊隊長。そしてこの私、帝国冒険者組合長のべスカーだ。
他の4人が真剣に防衛方法を話し合っている中、べスカーは心の中で大きなため息をついていた。
ハァー…何故よりによって私の代で魔王軍が攻めてくるのだ。何故私が貧乏くじを引かねばならんのだ!
べスカーは現在帝国の冒険者組合長になっているが、王国のゾンロイと違い元冒険者ではない。世渡りの上手さでこの役職に就いた男なのだ。帝国自体もまだまだ新興国家であり人材不足なのが主な原因だった。
べスカーが心の中で愚痴を言っていると突然会議室のドアがノックされる。誰も来る予定が無かったため不審に思いながらもべスカーは返事をする。
「誰だ?今は重要な会議中だぞ?」
「会議を邪魔していまい申し訳ありません。実は冒険者のセリーエさんが組合長に話したいことがあると」
「何!?セリーエがやっと来たのか!すぐさま会議室にお通ししろ!」
現在の帝都の冒険者の中で一番強いと噂されるセリーエの到着に歓喜するべスカー。これで防衛時の陣形の話などを丸投げできると画作するベスカーであった。
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受付嬢に連れられ会議室に向かうサトル達。まさか会議室に通されると思っていなかったため少し困惑していた。普通は他の部屋に通すような気がするのだがこれもセリーエの有名さゆえだろうか。
会議室に着き、中に入るサトル達。そこには鎧を着こんだ2人の男と高そうな服を着こんだ貴族風の男が3人いた。
貴族風の中でも一番痩せている男が立ち上がり喋りだす。
「おお!よく来たなセリーエ君。このような緊急事態に君が来てくれてありがたいよ。皆さんの中でも知っている人は多いと思いますが紹介しておきましょう。あの獅子人族でありブシドーであるセリーエさんだ」
「紹介ありがとうございます。実は魔王軍侵攻の件について至急伝えたいことがありまして」
「ほほう、何だね?どんな些細な事でも報告してくれ」
「実は…」
セリーエは少し言いづらそうにしている。実際いくらBランク並の冒険者とはいえ一人であの軍勢を殲滅することは不可能である。特にセリーエは魔法使いではないため空中に上がられると何もできなくなってしまうからだ。
中々話し出さないセリーエを不審に思った騎士の一人が声を上げる。
「どうしたんだね?我々に残された時間は少ない。用が無いなら出ていって貰おうか」
「…実は我々3人で魔王軍の殲滅に成功したので報告に参りました」
「「「「「・・・・」」」」」
会議室が静寂に包まれる。セリーエはもう覚悟を決めた様子だった。先ほど声を上げた騎士が真っ赤になって怒鳴ってくる。
「貴様!ふざけているのか!帝都の危機的状況にそんなふざけた報告をしに会議室に来たのか!」
「いえ、嘘ではございません。私と後ろにいるサトル達とで偶々現場に居合わせたためその場で魔王軍を殲滅しました」
「私をおちょくっているのか!たかが冒険者3人で魔王軍を殲滅できる訳がないだろう!」
至極まともな反応であった。自分が同じ立場だったなら同じ反応をするだろう。しかしここは認めてもらうしかない。
「本当の事なのです。信じられないとは思いますが」
「そこまで言うか。ならもうじき先ほど出した偵察隊が帰ってくるはずだ。その報告を聞いてからにしようじゃないか。もしその時偵察隊が魔王軍を見ていたら…処刑で構わないな?」
「構いません」
「なっ!?処刑とはやりすぎではありませんか!?」
先ほどセリーエを紹介した男が驚愕の声を上げる。何故かセリーエに死んでほしくないようだ。
「何を言っているか。この一番大事なときに虚偽の情報を流し我々を陥れようとしているのだぞ。処刑で当然だろう」
「し、しかしですね…」
騎士の男を何とか止めようとしていると、そこに慌てた様子で会議室に兵士が転がり込んでくる。
「ほ、報告します!現在帝都に侵攻中であった魔王軍が殲滅されていました!」
「何だと!?それは本当か!?」
「はい、インプや魔族の死体が多数散乱していました」
「そうか…。セリーエ殿、疑ってしまい申し訳なかった。帝都を救った英雄を疑った自分が恥ずかしい」
騎士の男が頭を下げて謝罪してくる。いくら騎士の男に非があるとはいえ一介の冒険者に頭を下げるのは驚きであった。
「いえ、お気になさらないでください。大事なことは罪のない帝都の民を守れたことですから」
「そう言っていただけるとありがたい。では偵察隊、至急城に行き報告を!」
「はっ!」
慌ただしく会議室を出ていく兵士。そこからはトントン拍子だった。
打ち合わせ通りセリーエが大半を殲滅、サトル達はそれの補助を行った事にして報告した。魔王四天王のことは言うか言わないか迷ったが、報告してしまうとまたややこしくなるので報告しないことにした。
詳しい話は再度帝都の城で聞くことになりその日は解放された。とりあえず宿屋に帰って作戦会議をしようと思っていたところで先ほどの痩せている男が話しかけてきた。
「少し話したいんだがいいかな?」
「勿論いいですが…」
「では応接室まで着いてきてくれたたまえ」
その男に連れられて応接室に入るサトル達。促されて座ると目の前に紅茶(製法まで同じかは分からないが味と名前はほぼ同じ)が前に出された。
「そういえばサトル君達には自己紹介がまだだったね。この冒険者組合の長をやらしてもらっているべスカーだ」
「僕はサトルといいます。隣のコルモちゃんと最近冒険者になりました」
「話したいこととはセリーエ君の冒険者ランクについてだが、本当はAにしたいところなのだが如何せん情報がまだ少なく現場も混乱している。ここはBランクで一度手を打ってくれないだろうか?」
「分かりました。Bランクでお願いします」
「まさかそんなにあっさりと了承してくれるとは思わなかったよ!ありがとうセリーエ君!」
冒険者にとってランクが一つ変わるだけで天と地ほどの差がある。ベスカーはAランクにしろと言われろと予想していたようだがセリーエはあまりランクに興味が無かったため何も言わなかったのだ。
こうしてはれてセリーエはBランク冒険者となり帝都での英雄となったのであった。
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次回更新は8月11日を予定しています。




