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第一話 勇者は目覚め、記憶が蘇る

同日投稿です。

文才が無く話が遅々として進みません。

 目を覚ますとそこは見知らぬ、いや見知った天井だ。俺はもう既に8年間ここで暮らしているのだから。どうやら意識が途切れる間際神様とやらが言っていた事は本当だったようだ。前世の記憶もあるし名前も覚えている。


 俺の名前は、サトル・ロル・モーリス。名前は何故か前世と同じ名前なのだが、これも神様とやらの力なのだろうか。名前が変わる違和感がないからいいのだが明らかに名前だけ浮いている気がする…


 今日は俺の転生してから8年目の誕生日。神様の粋な計らいで赤子時代は記憶が戻らないようになっていたようだ。赤子の時代に記憶が戻ったらパニックになるだろうからな。


 段々とこの世界の情報も思い出してきた。どうやら俺は貧乏貴族の三男のようだ。貧乏貴族の名にふさわしく領地もかなり少ない。このままいけば長男のルーカスが全て相続するだろう。次男のポマードは剣術の才能があるらしく騎士学校に通うらしい。


 つまり俺は8歳にして窮地に立たされている。領地も相続できず親は二人分の騎士学校のお金は出せない。俺に残された道は商人になるか冒険者になる事だ。


 冒険者と言えば聞こえがいいが詰まる所傭兵だ。依頼を受けて護衛したり素材を採取したり。まあファンタジー世界ではよくある話だな。


 そんな状況だったが俺は都合がいいと思っていた。なにせ俺は勇者になる男だ。領地経営なんてやってられないし、騎士なんて型苦しいことやってらんない。俺はさっさと勇者としての道を歩みたいのだ。


 そんなことを考えていると母親が俺を呼びに来たようだ。今日は俺の誕生日、ささやかだが誕生日パーティーをやるのだ。貧乏貴族というだけあって専属のシェフなんか存在しない。料理を作るのは母の仕事だ。


「サトル、準備できたわよ。お父様も来てるから早くいらっしゃいね」

「分かったよお母様。今行くね!」


 …あらかじめ言っておくがお母様は記憶がない時に俺がそう呼んでいたのだ。断じて俺が前世からそうやって母を呼んでいる訳ではない。口調を8歳までの物に合わせると精神的にくるものがあるな…


 俺はそんな事を考えながら1階の食堂に向かった。


「おお、サトル。久しぶりではないか。元気にやっておったか?」

「お父様、お久しぶりです。風邪などに掛からず、元気に過ごせております」


 食堂について話しかけて来たのは勿論父のエリルだ。貧乏暇なしという格言の通り、父はひっきりなしに領地を駆け回っている。特に今年は領主交代の年だ。色々と根回しが大変なのだろう。


「お前も今日で8歳か。そろそろ将来どうするかは決めたのかね?」

「はい、お父様。お、いえ、僕は冒険者になろうかなと思っています」

「冒険者か…。無理して危険な道に行かなくても商人という手もあるんだぞ?」


 親心で危険な冒険者にさせたくはないのだろう。父親は少し止めたそうな雰囲気を出している。ここで親を説得しなければ勇者の道が遠ざかる。なんとしてでも説得しなければ。


「お父様。僕は今までお父様の書斎の本をたくさん読みました。そこで僕は知ったのです。世界は未知で溢れていること、そして世界は魔王によって危機に晒されている事を。僕は世界を見てみたいのです。そして世界を救うとまではいかなくても人類を守りたいのです!」

「サトル…。そこまでお前は考えていたのだな。なら私はこれ以上何も言うまい」


 心にもない事を言ったまではよかったが後から考えると8歳時の台詞じゃないなこれ。


「それはともかく誕生日をおめでとう、サトル。大層な物は買ってやれないが何か欲しいものはあるか?」

「訓練用の剣が欲しいです!」

「はっはっはっはっは。やる気も十分といったところか。では、我が領地の鍛冶屋にお願いしてお前にピッタリの剣を用意させよう」

「ありがとうございます!お父様!」


 これで訓練することができるな。いくら勇者とはいえ訓練は肝心。RPGのレベル上げのように強くなれればいいのだがその辺はどうなんだろうか。俺はそんなことを考えながら久しぶりのご馳走に舌鼓を打った。


 1週間後ついに念願の訓練用の剣が届いた。父の言葉通り俺の身体に合わせて作られた剣だが、しっかり刃がついておりこれなら魔物も狩れるだろう。不思議なのが剣を持っても全然重さを感じないことだ。いくら小さいとはいえ、いわば金属でできた棒だ。柄もしっかりとした木を使っているから軽いはずがない。まさか身体も鍛えてないのに筋力が高いのだろうか。それともこれが勇者適正とやらの力なのか。そんな事を考えていると次男のポマードが俺を見つけて近寄ってきた。


「やあ、サトル。どうやら親父の言っていた剣が届いたようだね」

「はい!とても軽くて大きさもピッタリで感動しました!」

「うちの領地は小さいけれども優秀な鍛冶師がいるからね。どれちょっと貸してみてよ」

「はい、どうぞ。兄様には小さいと思いますけども」


 確かに1週間でオーダーメイドの剣を作るのは凄いことだなと考えながらポマードに剣を貸す。するとポマードは目を見開いた。


「お、重い…。こ、これがサトルには軽いっていうのかい?」

「え、ええ…。剣ってこれより重いと思っていたのですけれども」

「ああ、なるほど。ほかの剣を持ったことが無いからだったか。多分素振りをする前提で作ってあるから重めになっているんだろうね。これで素振りしてたらかなり筋力がつくんじゃないかな」

「なるほどそうだったのですね。教えていただきありがとうございます!」

「いいってことだよ。じゃあ剣術練習頑張るんだよ!」


 そういってポマードは去っていった。このときサトルは気が付いていなかった。それは剣の重さを感じないのが勇者適正の所為などではなく、単純に筋力がカンストしているからだということに…

毎度読んでいただきありがとうございます!

感想を書いてくれる聖人の方々にもチート能力が授かりますよう祈っております。

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