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第十三話 魔術師と勇者は四天王を討つ

これにて二章完結です!

 遂に四天王との戦いが始まったサトル達。四天王のフダルはサトルが転生者と知っていて戦いを挑んできている。フダルには勝つための何かがあるに違いないのだ。


 しばらく睨み合いが続き静寂が続く。このような相手は初めてなのでサトル達は迂闊に動くことができないのだ。この静寂を破ったのはフダルであった。


「中々慎重な"転生者"ですね。ではこちらから行かせていただきましょう!」


 そう言ってついに纏っていたローブを脱ぐフダル。深く被っていたフードのせいで正体が分からなかったフダルの姿は


「「・・・・」」

「どうした、私の偉大なる姿に怯えて声も出ないか!」


 あまりの驚きに言葉も出ないサトルとセリーエ。コルモは知っていたので平然としているが。


 ローブの下に隠された姿を一言で表すならスライム。人の姿に変形しているスライムだった。スライムであるため常にゲル状の物体は蠢き続け、一秒以上同じ姿であることはなかった。


「ま、魔王の四天王がスライム!?」

「凶暴なスライムなんて聞いたことがないが…」

「私をそこら辺のスライムと一緒にしてもらわないで欲しいものだね。私は偉大なる魔王様に作られしスライム族の中の頂点であるぞ!」

「・・・・」


 スライム族の頂点と言われてもピンと来ないサトル。どのゲームでもスライムは強いイメージが無かったのだ、


「ふん!まあいいでしょう。私の力を見てその見くびった態度を改めさせてやりましょう」


 そう言ってフダルはおもむろに両手のようなものを前に突き出す。そこからいきなり大量のゲル状の液体が生まれていく。サトル達は警戒し一歩後ろに下がる。数秒も経たないうちに液体が人型になっていく。現れたのは二人のコピーされたフダルだった。


「ス、スライムが増えた!?」

「ふっふっふ。私の素質は二つ名と同じ無限増殖。私のオリジナルの身体がある限り私は永遠に増え続けます!」

「そんなバカな!とにかく早く止めなければ!」


 サトルとセリーエは絶望的状況になる前にフダルのオリジナルを止めようとする。しかし当然、フダルのコピーがサトル達を邪魔しに来る。


 フダルとサトル達の間に入り込んだスライムが体術を仕掛けてくる。サトルは咄嗟にかわしスライムを斬りつける。スライムの上半身が吹っ飛び消え去る。これでフダルの元に行けると思ったサトルであったが


「クソッ!もうコピーが出来てるのか!」


 既にフダルの前に新たなコピーが生まれておりまたサトルに襲い掛かってくる。セリーエも倒したようだがすでに遅くまたコピーと戦う羽目になる。まさに無限の名にふさわしい能力であった。


「私のこの能力は素質によるもの。つまり魔力も体力も消費していません。この意味が分かりますね?」

「なんという凶悪な力だ!これが四天王の実力だとでもいうのか!?」


 チート能力を持っているサトルやコルモも長時間戦闘を行うことは難しい。身体のスタミナが尽きることは無いかもしれないが長時間の先頭は精神的負担が大きすぎるのだ。勿論チート能力を持っていないセリーエはサトル達よりも厳しい状況である。


「サトル君、セリーエさん!離れてください~!」


 コルモの声の意図を瞬時に理解し離脱するサトル達。サトル達がいなくなったことで魔法を放つことができるようになったコルモは、スライムの密集した場所に魔法を撃ち込む。


「ファイヤーストーム!!」


 先ほどと同じ炎の竜巻がスライムたちに襲い掛かる。荒れ狂う炎で中は見えずただ炎が踊り狂う。コルモの魔法終わり跡形もなく炎が消え去ったそこには


「だ、誰も倒せてない・・・」


 無傷とまではいかなかったようだが依然として立ち続けオリジナルを守るスライムの姿があった。


「ふっふっふ。コピー達に魔法は無駄ですよ。コピー達は私の無限増殖以外の素質を8割程度の力で受け継いでいるのですから」

「なっ…そこまでの力があるなんて…」

「そんなのインチキですよ~!」

「"転生者"の仲間に言われたくはありませんねぇ。まあどうやらそこの"転生者"はパワー型の素質か何かを持っているようですね。残念ながら私の増殖スピードに追い付くことはできていませんがね」


 まさかここまで四天王が強いとは思ってもいなかったサトル。パニックになりひたすらコピーを倒しているが一向に数が減らない。


「サトル君落ち着いてください!フダルにも何か弱点があるはずです!」

「ふふふ、無駄ですよ。この陣形はまさに無敵!私の元に来て攻撃しない限りはこの増殖は止まりません。つまりコピー達が私を完全に守っている以上、私には指一本触れることはできないのです。つまり私に敗北はあり得ない!」


 フダルは勝ち誇り得意げに戦術を話す。そしてこのときサトルに電流が走った。


「そうか、直接フダルを攻撃すればいいんだ!」

「ふん、気でも狂ったのですか?この陣形を崩して私の元に来るなどとッ!」


 フダルが喋っていたとき突如フダルの身体にバスターソードが突き刺さる。サトルは速度999+[S]を利用して目にも止まらぬ速さで移動し背後からフダルに斬りかかったのだ。流石は四天王といったところか一撃は耐えてサトルから後ずさるように距離を取る。


「バ、バカな!私の後ろに回り込むなどと!?そんなことが出来る訳が」

「こっちも最大限チート能力を使わせてもらっただけだ!これで終わりだ!」


 もう一度フダルの身体にバスターソードが突き刺さる。バスターソード抜くと同時にフダルは膝から崩れ落ち最後の言葉を口にする。


「ああ、魔王様。今度の"転生者"は規格外です。しかし貴方様なら必ずや世界征服出来ると信じております…魔王様に栄光あれ…」


 フダルはそのまま倒れて人型でなくなっていく。同時にコピー達も消失し跡形もなく消えていった。


「…私たちは勝ったのか?」

「勝ちました!魔王四天王に勝ちました~!」


 感極まったコルモはサトルに抱き着き泣き出してしまう。自分の部族と親の敵なのだから色々と思うところがあるのだろう。サトルは危険物が押し付けられていたがコルモをそっとしておくことにした。


「セリーエさん。危ない戦いに付き合わせてしまい申し訳ありませんでした」

「何を言っているのだ君は。こいつらの狙いは帝都。どちらにしろ私はこいつらと戦っていただろう。しかも魔王四天王が紛れ込んでいたのだ。君がいなければ帝都の冒険者全員いても全滅だっただろう」


 確かにそうなった可能性は高い。フダルのコピーは並みの冒険者では倒せないほどの強さだったのだ。帝都が襲撃されていればあっさりと占領されていたかもしれない。


「それでこの件はどうやって報告する?国を揺るがす事態だから軽率な報告はできんぞ」

「僕たちは出来れば名前を出さないでほしいです。少し無理があるかもしれませんがセリーエさんが一人で倒したって事に出来ないでしょうか?」

「ふむ…どうやらあまり表舞台に出たく無いようだな?"転生者"という言葉が関係ありそうだがこれについては後で聞く事にしようか」


 こうして魔王軍の帝都襲撃作戦は失敗に終わり、結果として多くの人の命を救ったサトルであった。セリーエに頼み名前を伏せてもらったので、これで厄介ごとは無いだろうと慢心するサトル。しかしサトルがいくら頑張ろうとも厄介ごとはつきまとう。それはサトルに厄介ごとが集まってくるからなのであった。

今回もお読みいただきありがとうございました!

最近忙しくなり実は時間があまり取れていません。

大変申し訳ないのですが一週間ほどお休みさせていただきまた書き溜めしたいと思います。

次回更新は8月7日を予定してます。

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