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第六話 魔術師は再び冒険者となる

久しぶりに新キャラ登場です!

 関所にて通行証を手に入れていたサトル達は難なく帝都に入ることができていた。帝都の城下町を歩きながらサトルとコルモは今後の課題について話し合う。


「とりあえずの当面の目標はとにかく目立たないことだね」

「そうですね~。サトル君の力がバレたらまた大騒ぎになっちゃいますから~」


 サトルは世界を転々として行くつもりなので大騒ぎになっても逃げればいいのだが、追いかけられながらの国巡りはしたくなかった。なので極力、力を隠すことにしたのだ。


「で、今日からの計画なんだけどまずお金が無いね」

「結局逃走費用にほとんどのお金使っちゃいましたからね~」


 ゾンロイから大金を貰っていたサトル達であったが、それでも旅支度をしたらほとんど使い切ってしまった。テントや調理器具などだけならばそこまで掛からないのだが馬が高かったのだ。安い馬で逃走中にへばってしまうといけないのでゾンロイ紹介の貴族や騎士が乗るような馬を取り扱っている店で購入したのだ。


「まあ先立つものは必要だしお金を稼ごうと思うんだけど、やっぱり冒険者が一番いいのかな?」

「私もサトル君も素質で化け物になってますし、一番手っ取り早いんじゃないですか?」

「やっぱりそうだよね。冒険者プレートも新しく欲しいし、冒険者になろうか」

「はい~私はどこまでも付いていきますよ~」


 こうしてサトル達はあまり深く考えずに冒険者になることに決めたのであった。


「あ、そういえば冒険者組合の場所聞いてなかったね。何処にあるか聞いてこないと」

「待ってください、サトル君!私何処にあるか知ってますよ~」

「そうだったんだね。じゃあ案内よろしくね、コルモちゃん」


 コルモの案内に従って歩き出す二人。王国と違って帝国の冒険者組合は中心地にあるようだ。


「あ、ここのお店の武器はとっても有名なんですよ~」

「そうなんだね。まあ僕はこの武器があるから今は必要ないけどね」

「そこのお店のお料理はとっても美味しいですよ~」

「よく知ってるね。帝国って初めてじゃなかったっけ?」

「そうですね、初めてじゃないですよ~」

「そうだったんだね。そういえばコルモちゃんの故郷って何処なの?」

「え?いや、それは・・・あ!冒険者組合が見えましたよ~」


 そう言って小走りになり強引に話を中断したコルモ。あまりに不自然な対応に鈍感なサトルも気づく。


 どうやら故郷の話はしたくないようだけど何なんだろうか。そもそもどうして俺の旅についてきているのかよく分からんし。


 女性経験も対人経験も少ないサトルは人の気持ちを察することができない残念な子であった。徐々にコルモが離れてしまっているので、サトルは考えを中断し早歩きになった。


 -----------------------


「着きましたね~。ここが帝国の冒険者組合ですよ~」

「王国よりも大きいなんて、正直驚いたよ」


 帝国の冒険者組合も2階建てであったがとにかく敷地が大きい。王国の冒険者組合は前世の少し大きい住宅程度であったが、帝国の冒険者組合は前世の都会にある市役所程度の広さがある。


「帝国は王国よりも冒険者育成に力を入れていますからね~。他国からも多くの冒険者志望の方や腕試しに冒険者の方が来るみたいです~」

「なるほどね。でも何で帝国は冒険者育成に力を入れているのかな?」

「やっぱり王国と比べて人口が少ないからじゃないでしょうか?少しでも戦力を増強しておきたいんだと思います~」


 サトル達は冒険者について話しながら、冒険者組合の中に入った。するとちょうど出ていこうとしている人にぶつかりそうになる。


「失礼。通してもらえるかな」

「あ、すいません」


 サトルが道を譲り去っていく人、それは獣人族だった。黒髪のロングで腰あたりまで髪が伸びていた。身長はサトルよりも高いし、顔立ちも大人びているので年上だろう。何より頭の上に生えている耳と腰から出ているしっぽが特徴的だった。


「綺麗な人でしたね~」

「僕、獣人族は初めて見たよ。あの耳は何の耳かな?」

「さあ、何でしょうか~?私も兎系と犬系しか見たことないので分かりませんね~」


 初めて見た獣人族に興奮したサトルがコルモと話していると、酒場スペースから先輩冒険者らしき人がやってきた。


「おいおいおいおい、お前ら冒険者志望のガキか?この街の冒険者を目指してる奴でセリーエを知らないなんて驚きだぜ」

「実は今日帝都に着いたばかりで。セリーエさんについて詳しく教えてもらっていいですか?」

「なるほど、田舎から来たのか。なら知らなくてトーゼンだわな。いいぜ、色々教えてやるよ」


 先輩冒険者は快諾し、立ち話も何だと言って席にサトル達を連れていき話だす。


「セリーエは帝都の冒険者の中で色んな意味で一番の有名人なんだよ」

「色んな意味?」

「まずはあいつの種族だな。獣人族で冒険者ってのは帝国じゃそこまで珍しくないんだが、あいつは特別だ」


 サトルは獣人族の冒険者が珍しくないと聞いて驚いていた。サトルの生まれ育った田舎は勿論、王国でも奴隷くらいでしか獣人族を見ていなかったからだ。獣人族に対する扱いも王国と帝国では大きな差があるようだ。


「この帝国に移り住んでいる獣人族の大半は兎人族、犬人族なんだが、セリーエは獅子人族。つまりライオンだな」

「獅子人族なんですか!?この大陸にいるなんて驚きです~」

「コルモちゃん、獅子人族知ってるの?」

「はい、この大陸の遥か東方に位置する大陸に住んでいる種族らしいです~。基本的に他の国や種族と関わらないみたいなんですよね~」


 どうやら獣人族と一括りに言っても色々あるようだ。多分獅子人族は立地的に外界と関わるのが難しいとかも理由にあるのだろう。


「ふふふ、それだけじゃねぇぜ。聞いて驚くなよ。セリーエはなんとあのブシドーの使い手でもあるんだ!」

「ええ!?あのブシドーですか!?現代に使い手が存在したんですね~」

「ブシドー?一応聞くけどそれって何なの?」

「獅子人族にのみ伝わるカタナと言われる武器を使う職業の人ですよ~。何十年か前はこの大陸にもカタナ職人の獅子人族の人がいて、ブシドー扱う人間族の人もいたんですけど最近は全く見なくなりましたね」


 ブシドー、カタナ。これまた前世の人が関係ありそうだな。何で獅子人族にだけ広まっているのかは分からないけど…


 サトルはまたも前世の人間が転生した証を見つけてしまってうんざりしていた。正直他の転生者と会いたくはないので嬉しくなかったのだ。


「という訳でセリーエはすげぇ有名なのさ。今はCランク冒険者だがあの調子だともうすぐBランクになるだろうな。まあセリーエの情報はこんなもんだ」

「貴重な情報教えてくださってありがとうございます」

「いいってことよ、じゃあお前さんたちも頑張れよ」


 面倒見のいい先輩冒険者のおかげでサトル達は色々と情報を仕入れることができた。そういえばこの世界ではいい人としか会ってないなとサトルは考えながらカウンターに行く。受付嬢は王国と同じように全員可愛かった。


「帝国の冒険者組合へようこそ、冒険者登録ですか?」

「はい、お願いします」


 流石に2回目なので用紙の説明は省いて貰って書き進めていくサトル達。ステータスチェッカーのことは他言できないので書かずに前衛で戦士ということだけ書いておいた。


「はい、記入漏れはありませんね。お二人での登録ですがパーティーメンバーの募集は如何されますか?」

「あ、パーティーメンバーは間に合ってるので大丈夫です」

「よろしいのですか?2人の少人数パーティーは危険ですし回復役もいらっしゃらないようですが…」

「大丈夫です」


 正直サトルも2人でのパーティーは怪しいかなとも思ったのだが、新しくパーティーメンバーを入れてしまうと力加減を間違えた時などに誤魔化しにくいのでしょうがなく二人で行くことにしたのだ。戦力的には申し分ないのでそこは問題ないのだが。


「左様ですか。ではこちらが冒険者プレートになります」

「ありがとうございます」


 こうしてサトル達はまた冒険者となったのであった。後にこれのせいで厄介ごとに巻き込まれると気付かずに…

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

ブックマーク、感想お待ちしております!

次回更新は7月15日を予定しています。

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