高梨 七海 & 北原 心優 の場合 ③
生徒会室を出た私は、誰も居ない廊下を歩いてた。
「何で出て来たのだろう……はぁ〜 ワケ分かんない、何時までも学校に居ると誰かに捕まるから帰ろ」
そのまま下駄箱へ向かい自分の名前が書いてある扉を開けると、靴が見えない位に小さな箱がいっぱい入ってた。
「……ここまで来ると、流石としか言えない」
そのまま無視するわけにもいかないので、私は仕方無く鞄の中へ全部押し込めた。
女子校特有と言えばそうだけど、私が貰う側というのがどうも納得がいかない。どちからと言えば、生徒会長や副会長とか七海なら分かる。あと、三年生で陸上部の先輩とか。私が貰う理由は何なんだろう?……考えるだけ無駄な気がしてきた。
そうして私は、靴を履き替えて玄関を出た。
校門を抜けると見知った顔が立って居た。
「……ここで、何してるのさ」
「何って心優を待ってた……それにしても、いっぱいだな」
私の向かう様に立って居た人物が、私の鞄を見てそんな事を言ってきた。
「欲しけりゃあげるよ、兄貴」
目の前に立って居たのは、近くの公立に通う私と二つ離れた兄。私が女子校に入学した時はかなり喜んでいたっけ。
「心優が貰ったのだから、俺は要らない」
「あっそ」
私は兄貴を無視して歩き出す。
「待てよ、一緒に帰ろう」
「………」
無視しているのにも関わらず、兄貴は私の隣に来て一緒に帰ろうとする。こうやって一緒に歩いていると、私がブラコンみたいで嫌なんだけど、それか兄貴の彼女と間違われたらもっと嫌だ。
私はひたすら兄貴を無視して、すたすたと歩く。
「そんなに機嫌悪くするなよ、モテる妹を持って俺は幸せなんだから」
「はぁ?何言ってるの!?同性にモテたって嬉しくないよ」
何言ってるのやら、理解し難いだけなんだが……なんか、このままじゃバレンタインデーが嫌いになりそう。
隣でやたらテンションが高い兄貴をほっといて、私は一人家へと帰った。
「来年もこんな感じなのかな……」
やはりバレンタインデーは嫌いになりそうだった。
ここまでで、取り敢えず先生達と一緒のメンバーは終了です。
え?彩音の母親や親戚の人は?……大人なので、チョコレートじゃないでしょうね、きっと。18禁的な要素も有りそう……
ラストはやはり、この人達で締めて貰います。
バレンタインというよりホワイトデーだよね、彼らなら。