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6話

「媒体があったほうがいいかもね」


 なかなか魔法が上手くいかない、私を元気づけるようにナタリーさんが言いました。


「あの、媒体って何ですか?」


 ナタリーさんが説明してくれたところによると、支援魔道具のことで魔力に干渉し易くする為のサポートをしてくれる道具のことで、杖・指輪・腕輪・剣などがあるそうです。




* **




 ナタリーさんが「どうせなら、オーダーメイドにしましょう」と言うので、ナタリーさんの友達で特に装飾品としても人気がある指輪や腕輪の魔道具を作っている魔道具職人のソフィー・マーカットさんに作ってもらう交渉をすることになりました。


 そして翌日、ソフィーさんの工房にナタリーさんと一緒に行くことになったのです。ソフィーさんは美貌のエルフでピンクの目と髪のとても気さくな性格の方でした。


 私とソフィーさんの自己紹介が終わると、さっそくナタリーさんが魔道具のことをお願いしました。


「昨日やっと仕事が一段落ついたから作ってあげる」と言われ、今はどんな魔道具をオーダーするか細かく決めているところです。



「ブレスレットでバングル型がいいのね?ふむふむ」


 ソフィーさんが頷きながら言いました。


「そうです。バングル型がいいのですけど……、できますか?」


 私は期待に満ちた目を、ソフィーさんに向ける。ソフィーさんは二つ返事で「できるわ」と言ってくれたのです。


  金属部分はシルバーにし、媒体石はナタリーさんとソフィーさんに助言をもらい、モスアゲートにしました。モスアゲートは深い緑色をしていて植物の成長を促し豊饒をもたらす効果がある水晶だそうです。細工のイメージは植物のイメージで作って貰うことにします。


 「では、私は早速仕事にかかりたいと思いうわ」


 ソフィーさんが言うとナタリーさんが「今度ゆっくりと、お茶でもしましょう」と言いました。最後に私は「今日はありがとうございます」と言ってから帰ったのでした。




* **




 家につくとお腹が空いていたので、昨日焼いた天然酵母パンにハムとチーズと野菜を挟んで食べることにしました。さっそくキッチンで作りテーブルに持って行き二人で食べます。


「このパンは噛めば噛むほど味が出てくるし、もちもち感がくせになりそうね」


 ナタリーさんは「美味しい、美味しい」と言いながら食べています。私はこんなに喜んでもらえるパンが作れて良かったと思いながら、パンを堪能しました。


「今度からお店でパンを買うのを止めて、ルティアに作ってもらおうかしら」


ナタリーさんは天然酵母パンが、すごく気に入ったようです。もちろん私の仕事に、パン作りがくわわったのは言うまでもないことでしょう。



             ***




 食事も一段落すると近くのルービスの森に解熱剤の材料になるグナル草を取りに行くことになりました。

 

 ルービスの森は浅いところには、魔物も滅多に出ないそうです。森の奥深くには珍しい薬草もあるそうですが、奥深くには魔物もいて取りに行くのは素人には大変だと言われました。だから今日は森の入り口をちょっと行った所でグナル草を取ることになったのです。


「グナル草の特徴はギザギザで細長ことよ」


ナタリーさんが一本見つけたものを私に見せながら説明してくれました。


「これは乾燥させると、解熱剤になるのよ」


ナタリーさんは薬草を見つけるとその特徴と効能を教えてくれます。私はグナル草を緑魔法で栽培できないかなと考えました。


「このグナル草を家で栽培してみようかと思うのですが」


私は今見つけた細長くてギザギザの草を、数本袋に入れながらナタリーさんに行ってみた。


「そうね。栽培には難しい草だけど、ルティアの緑魔法で栽培できるかもしれないわ」と言うことで多めにグナル草を集めることになりました。


 私は早く緑魔法を自由自在に操れるようになりたいなと思います。そうすれば植物も自分で自由に作ることが出来るからです……。


 そしたら、食べ損ねた苺を栽培するために、苺の種を一番に作ろうと思います。でも、植物を作るのは緑魔法の中でもイメージするのが大変で上級にはいるみたいです。だって自分の知識がそう警告しているのだから大変難しいことなのでしょう。


 そんなことを考えながらも薬草もだいぶ集まったので帰ることになりました。


 そんな私達の前に獣が一匹現れたのです。それは、狼に似た大きな鋭い牙と爪がある魔物でした。私達は運悪く魔物と出会ってしまったのです。


「ルーウルだわ!ルティアは私から離れないで」


 私は自分の足が震えさせながら、ナタリーさんの言葉を聞いました。そんな私にナタリーさんは「大丈夫よ」と言いながら攻撃態勢に入ったのです。ナタリーさんが杖を振ると炎の矢が現れ魔物を一撃で倒してしまいました。魔物は悲鳴をあげながら倒れたのです。ナタリーさんは魔物から大きな鋭い牙と爪を切り取っているようですが、私は気が緩み地べたに座り込んでしまった。


 「さあ、帰るわよ」


 ナタリーさんは何事もなかったかのように笑顔で言いました。その時の私はナタリーさん強すぎだと思いました。そして、やっぱり早く緑魔法を自由自在に操れるようになろうと心に誓ったのでした。



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